2017.05.28  「本日休載」
 今日、5月28日(日) は 休載します。

   リベラル21編集委員会

2017.05.27  前川文科省前事務次官の証言は衝撃的だった、安倍首相の G7サミット行きはこれが最後になるかもしれない            読売は「完黙」!   
広原盛明(関西在住 都市計画・まちづくり研究者)

5月25日、安倍首相は例の如く昭恵夫人と手をつないで政府専用機のタラップを上った。首相が最も得意とする華やかな外交舞台への出発なのだから、満面の笑みを浮かべて手を振ったものの、その心中は如何ばかりか。当日は週刊文春の発売日、各紙の広告欄には「『総理のご意向』文書は本物です」、「文科省前事務次官独占告白150分」との宣伝文句が大きく踊っていたからだ。

前川氏は朝日の取材にも応じ、その内容は1面トップで「加計学園 『総理のご意向』文書、前次官『担当課から提示』」との大見出しで伝えられ、この他、3面と31面で詳しい解説記事と一問一答が掲載されている。これらの記事を読めば、疑惑の全容が余すところなく解明されており、菅官房長官の「総理のご意向文書=怪文書」発言などは木っ端微塵に吹っ飛んだと言えるほどだ。毎日も日経も同様の趣旨の記事を載せている。

傑作なのは、安倍首相の御用新聞・読売の扱い方だ。産経の方はそれでも申し訳程度の小さな記事を片隅に載せているが、読売の方はどこを探しても見つからない。私は、安倍首相の勧める通り目を皿のようにして読売を「熟読」したが、どこを探しても加計学園の「カ」の字も見つからないのである。前川発言はどう書いても安倍首相の疑惑を深めることにしかならないので、何も書かないことにしたのだろう。これでは「完落ち」ならぬ「完黙」(完全な黙殺)ではないか。

新聞は「ファクト」(事実)を伝える媒体なのに、これほどの大ニュースを1行も報じないのはどうしてか。戦時中の大本営よろしく読売には内部に「検閲組織」があり、安倍首相に傷がつくような記事はすべてカットされる仕組みになっているのだろうか。事実を伝えない新聞などもはやまともなメディアとは言えないし、ジャーナリズムとしては自殺行為そのものだ。これでは読売に対する不買運動が起ってもおかしくない。

前川氏は25日午後、改めて記者会見を開いた。今朝の新聞はまだ全部見ていないが(読売、産経がどう伝えるかが見物)、毎日は1面、3面(分析・解説)、29面(社会)の各角度から問題を掘り下げ、社説でも「『加計学園』問題で新証言、もう怪文書とは言えない」と主張している。主旨は以下のようなものだ(要約)。

(1)菅官房長官は、「総理のご意向」文書を「誰が書いたかものか分からない」などと述べ、「怪文書」扱いにし、さらに「首相からの指示は一切ない」と否定している。文書の調査をした松野文科相も「存在が確認できなかった」と発表している。
(2)しかし当該文書は、文科省事務方トップの前川氏の証言で、「昨年秋に獣医学部新設を担当する専門教育課から説明を受けた際に受け取ったもの」であることが明らかになり、前川氏は「あったものをなかったとはできない」と言明した。また、「まっとうな行政に戻すことができずに押し切られ、行政がゆがめられた」と指摘した。
(3)事務方トップの新証言で、文書が存在するかしないか、怪文書なのか本物なのかといった問題の局面が変わり、いまや当該文書は「総理の意向」に基づくものか、内閣府の忖度(そんたく)によるものなのかが問われる事態になった。
(4)前川氏は国会の証人喚問に応じる意向を示しており、野党も国会での参考人招致や証人喚問を求めている。しかし、官房長官は依然として否定的な発言を続けており、与党は参考人招致でさえ反対している。国会の場で前川氏に証言してもらい、真相を明らかにしなければ国民の疑問は解決されない。

「森友疑惑」に引き続く「加計疑惑」の進展によって、ことはもはや個々の事件(疑惑)の解明に止まることなく、安倍政権そのものの信任が問われる事態にまで発展してきている。「前次官、官邸に反旗」(毎日、5月26日)、「文科前次官、異例の告発」(日経、同)との見出しにもあるように、安倍政権を支えてきた官僚機構の一角が崩れ、さらにそれが拡大しつつある。官邸や与党が国会による疑惑究明を拒否し続ければ、この動きはさらに高まり、内部告発や秘密文書のリークが相次ぐ事態に見舞われることになるだろう。

これが官僚機構の本丸・財務省の反乱にまで及べば本格的な政変になるが、目下まだその兆候は見られない。しかし「一寸先は闇」の政界のこと、文科省前次官の反旗によって事態の局面は明らかに変わった。安倍首相の帰国を待っているのは「追い風」から「向かい風」への風向きの急変であり、世論の急変である。すでに内閣支持率の低下は始まっているが、それが本格化するのは安倍首相の帰国後であろう。
2017.05.26  国会論議の不毛を逆照射する対話
 ―『吉本隆明 江藤淳 全対話』(中公文庫)を読む

半澤健市 (元金融機関勤務)

 本書は、1965年から1988年の間に行われた、吉本隆明(1924~2012)と江藤淳(1932~1999)の対談の全記録である。五回の対談のタイトルは、「文学と思想」、「文学と思想の原点」、「勝海舟をめぐって」、「現代文学の倫理」、「文学と非文学の連理」であり、文学論義を軸にして、戦後思想、歴史認識、国家論、知識人論、サブカルチュア論、米軍占領論など、テーマは多岐にわたる。
親本は2011年に中央公論新社から出版。文庫化にあたり吉本へのインタビュー(2009年)や内田樹・高橋源一郎の解説対談が追加されている。

《左右対立ではない内在的対話》
 従来、江藤は右、吉本は左の評論家として評価されてきた。たしかに、二人の対話には緊張があり考えの衝突があるが、論争は相手への内在が強く意識されており、各回ともに不思議なケミストリーが醸し出されている。そこが特に面白い。本稿では、「現代文学の倫理」(雑誌『海』1982年4月号)の知識人論争に注目したい。
夏目漱石の研究から出発した江藤は、この対談以前に、米国に滞在して米軍の対日占領政策の研究に注力していた。『一九四六年憲法―その拘束』などはその成果である。吉本はこれらの研究についていう。
■交戦権がないと、万が一というようなことが国家と国家の間に起こった時、戦術、戦略上、どんなに不利なことがあっても、それを制し、抑止することができないんじゃないか、従ってこの条項を変えなくてはいけない。しかも江藤さんはこの問題について実証的に調べてこられたわけですね。それによると、もともとこれは連合国の占領軍がその政策上、日本の敗戦後の国家主権を制限しようというモチーフで歴然と設けた条項なんだから、国家主権を考える時にこの条項を変えるのは当然じゃないか、という論旨だと思うんです。この問題提起は、戦後日本の政治過程論とか統治形態論とかのレベルでいえば一つの業績として評価できる立派なものだと思うんです。しかし、江藤さんが、半年も一年もかかって調べて、確かにこうなっているんだろうと実証するほどの意味があるのかと考えると、その点は疑問に思うんです。(中略)

江藤さんから見ると、ぼくは理想主義者で、空想的、抽象的に見えるかもしれないけれど、ぼくは江藤さんが逆に非常にリアリストすぎると思うの。つまりこれは自民党でも社会党でも共産党でもいいんですが、彼らが政権を握れば、もういかようにもできる事柄、つまり知識人はせいぜい示唆を与える程度の役割ぐらいしかできないというようなことについて、あまりに熱心に追究するなんてことは意味ないんじゃないか。ぼくの知識人像というのはもっと根本的な問題、例えば国家、つまりいかなる国家であろうと、歴史のある時代に実現し、また歴史のある時代がくれば、きっとなくなってしまうだろう、そういう相対的なものなんだといういうようなことについての明瞭な認識、そういうことをピチッと決めていくみたいな、そういうことに携ったほうがいいんじゃないか■

《江藤の60年代論は「政治の時代」を強調》
 江藤は、1969年12月24日の『東京新聞』に「一九六〇年代を送る」というエッセイを書いた。そのなかで江藤はエリック・ホッファーという米国人のアフォリズムを、日本の文学者の精神状況にあてはまるものと感じて、引用した。それは次の通りである。
「一民族が外国の支配下に委ねられると、その民族のもつ創造性はおおむね、貧寒なものになる。これ〝民族的天才〟の無能化によるのではなく、外国人の支配に関する憤激があまりに強いため、民族をひとつのものにまとめすぎ、その結果、潜在的に創造的な個人は、かれらの力を完全な実現に必要な明確な個性を獲得できないからである。かれの内面生活は、大衆の感情と関心事にもっぱら刺激され形成される。多数の未開人部落のようにかれは個人として存在するのではなく、かたまった集団の一員としてのみ存在する」。いささかわかりにくい文章だが、占領された国の文化は様々な掣肘とそれへの反発によって、本来の自立的文化が開花できないと言っているのだろうと読んだ。
これを前置きにして、江藤は六〇年代論を展開する。吉本の江藤批判に対する応答となっている。
■六〇年代というのは、今からふり返ると良い時代だったという人もいるかも知れないけれども、実はきわめて政治的な十年間だった。つまり岸内閣の日米安保条約の改定に始まり佐藤内閣の沖縄返還交渉の終わった十年間です。私はその『東京新聞』のエッセイの中でなによりもまず文学者は、この政治的な文脈と、それと裏腹の所得倍増政策下の経済成長に左右されてきた、といっています。「これを」要するに、安保騒動と所得倍増計画によってはじまった一九六〇年代は、文学者にとってもまた政治と商業の十年間であった。ために文学そのものは疲弊し、おおむね解体と崩壊の一途をたどりつつあるというのが私の判断であり、・・・したがっていよいよ政治と商業にいそしみ、早いところ行きつくところまで行ってしまったらどんなものだろうかというのが私のいつわらざる感想である」と。その後に起こったことは、ほぼ正確にこの予感の通りでした。戦後の日本人は、第二次大戦の戦勝国の支配下にある知的、言語的空間で生きることを余儀なくされている。そういう状況の中ではどんなにそういうものが存在しないかのような顔をしてみても、人はなかなか「創造的な」な「個人」にはなれない。「憤激」の表現は、たとえば六〇年安保の騒ぎのような形をとることもあれば、異常な経済成長という形をとることもある。また通俗的な平和主義への同調という形をとることもあるし、一見高踏的な、その実、怠惰で無責任な政治に対する蔑視という形をとることもあるけれども、いずれにせよこれらはすべて「憤激」のさまざまな表現であることに変わりはない。(中略)

《私がなぜこんなことをしているのか》
 私(江藤)がなぜこんなこと(占領政策検証)をしているのか、それは結果的にある持続を確かめたいからです。つまりズバリ何かと言えばすぐピーンと通るようなそういう公明正大な知的空間を再建したいと私は思っているのです。まあ吉本さんは、そんなものはすでにあるとおっしゃるかもしれないけど、私はそうは思わない。そういう知的・言語空間を再建するためには、非常に面倒な論証の手続きがいるんです。いまや戦後三十七年も経ってしまいましたからね。
ぼくは吉本さんが理想主義者といわれたことはよくわかりますが、どうもあなたの理想主義にはラディカリズムが足りないような印象を受けます。型通りの理想主義といいますかね。ひょっとすると私のほうがもっとラディカルな理想を実践しているのかも知れないと思っているんです。■

江藤は、戦後の言論空間がGHQの占領政策がいかに日本の文学者―さらには日本知識人―を洗脳し、日本人の自立精神を奪ったかを実証しようとした。それは「ナショナリズム」を主軸にした戦後再審の意図があった。国家の共同幻想性を論ずる吉本への批判をも内包していた。

《対談の内在性と先見性》
 私がこの対談集を読んで強く印象に残ったのは次の三点である。
第一は、江藤の六〇年代論の画期性である。
第二は、相互理解への努力である。
第三は、いまここにある危機との関係である。

第一。1960年代の高度成長は戦後日本の明るい時代であったいうのが世間の常識である。私もそう思っている。すなわち、「政治の10年」の50年代に続く経済の時代である。高度成長の終焉をどこに見るかは判断が分かれる。長く見ればバブル崩壊の90年までの30年間、短く見ても第一次オイルショック崩壊までの14年間はある。
しかし江藤は、60年安保から72沖縄返還までで、政治の季節とする。しかも言論空間は、占領下だというのである。
なるほど、自覚していないほど恐ろしいことはない。米原子力空母に付き従う自衛隊の護衛艦―性能は新鋭空母―のテレビ映像を見ていると、江藤のラディカリズムが吉本の「型通りの理想主義」を凌いでいる。

第二。二人の論者は、激論を交わしているが、レッテル貼りの批判はしていない。戦後民主主義者が、今日のように説得力を失った理由はいくつかある。相手の立場を理解しようとせず、内在的な批判を怠たり、レッテル貼りをしてきたのは、そのひとつだと思う。江藤のナショナリズムが、ほとんど人種主義に傾斜していると批判するのは容易だが、リベラル側が江藤的言説に正面から対決してきたかといえば覚束ない。

第三に、二人のテーマが、今日の危機を先取りしていたことである。文学論争ではあるが、話題は戦後の思想・言説全般に及んでいる。私の事例紹介でわかりにくい読者は、是非本書に当たって二人の対話を熟読して欲しい。60~70年代の新左翼運動における吉本隆明の圧倒的な人気は何であったのか。近代日本が次々と輸入し消費し廃棄してきた新型理論の国産版であったのか。むしろ江藤のナショナリズムが鈍い光を放って読者を離さない。(2017/05/21)

『吉本隆明 江藤淳 全対話』(中公文庫)、2017年、1000円+税
2017.05.25  「相棒」について考える
   小山の教育通信 [2017.5月-3]

小山和智(グローバル化社会の教育研究会事務局長)

5月21日から 双子座(Gemini) に入ります。カストール&ポルックスの仲の良い双子は、世界各地で「コミュニケーション能力と知謀・知略」の象徴になっています。

「相棒・相肩 (partner)」という言葉は、一つの駕籠や荷物を一緒に担ぐ相手のことだったのですが、“ペアになって仕事をこなす際の相手 (associate)”を指すようにもなります。これが、「片棒」から「共犯」へと進むと、人数も怪しさも増していきます。

相棒・相肩は 普通は一人ですから、「mate」が“対”の感じがしてピッタリ。商船の「First/Chief Mate (一等航海士)」は、船長(Captain) の“女房役”です。嫌な仕事や汚れ役、臨時の警察官の役も 負わされます(当然 拳銃を携帯)。その点、運転技師である「Engineer (機関士)」は、気が楽なようです。
なお、大型客船の場合、船長の補佐役は「Staff Captain (副船長)」と呼ばれます。主には、乗客の安全確保に関する職務をこなしますので、普通は 拳銃等を携行しません(注:船長室などに保管)。

因みに、古代の日本語では、配偶者(spouse) のことを「ツマ」(反対側の端)と呼び、男女の区別はありませんでした。漢字が輸入されて“夫・妻”の字が当てられるようになり、やがて女性のみに使われるようになりました。英語の「better half (妻)」も元は“親友”の意味で、男女は関係なかったそうです。

阿部泰尚さん(TIU総合探偵社) が、マンションやアパートの郵便受けに入る「NTT Flet's 光」のチラシについて 報告されています (5/12)。結論からいうと「NTTを騙る悪質な営業行為」でして、NTT自身は「Flet's 光」を戸別訪問や電話勧誘 (⇒迷惑電話) 等で 直接営業はしません。ただし、こうした“販売代理店”がまとめてきた顧客に対して“サービス提供は厭わない”姿勢です。

困るのは、訳のわからない機器やサービスを 契約させられ、(知らない内に) 高額な料金を払い続ける嵌めになることと、解約したい場合は消費生活センターか 弁護士に頼むしか 方法がないことです。引っ越した直後や、一人暮らしを始めたばかりの学生などが、まんまと騙されるのですが、学校・大学側の注意勧告も「NTT販売代理店」の“印籠”の前では 色褪せてしまいます。
この調査、10年前にやって欲しかったですね。無数の犠牲者を出して、一体 誰が儲けているのでしょう?

それでは、例によって他のニュースも。
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関西 かけはしセミナー2017

日 時  5月27日(土) 午前10時半~12時半
場 所  イオンコンパス大阪駅前会議室 (大阪駅前第2ビル 15F)
テーマ  『英語教育改革の現状と今後の展望』
      講師:藤田 保(上智大学言語教育研究センター教授)
※ 「入試が変われば…」といわれてきた日本の英語教育は 2020年の大学入試改革に向けて どう変わっていくのでしょう?
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関西「帰国子女教育を考える会」第76回研究例会

日 時  6月 3日(土) 午後2時~5時 (例会後、懇親会)
場 所  立命館中学・高校  (京都府長岡京市調子1-1-1)
テーマ  『SGH(スーパーグローバルハイスクール) 実践4年目を迎えて』
      発題:神戸市立葺合高校、大阪府立三国丘高校、立命館高校
※ 文科省SGH(昨年度までに 123校指定)で試みられた 様々な実践やカリキュラム等は、帰国生にとって どういう意味を持つのでしょう?
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「Captain」は 船長・艦長ですが、海軍大佐 という階級も意味します。陸軍では“大尉”、警察では“警部”となるし、各国で微妙に異なるので 困惑することもあります。なお、陸軍大佐は「Colonel」です。

『Strong in the Rain (雨ニモマケズ)』が 日本語で読めます (えにし書房刊)。悲惨な原発事故を経験しながら、未だに 同じエネルギー戦略の下で 原発再稼働を進める愚かさ、津波対策も 巨大防潮堤の建設という“土建需要”にすり替える狡さを、外国人記者が看破しています。

「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が 5月19日(金)、衆議院法務委員会で可決されました。「国会議員定数を半分に減らす」と国民を欺き、大多数の議席を確保したら、その約束は 放置して、特定秘密保護法制定、自衛隊法等改正を強行した上に、とうとうこの暴挙です。
共同通信は、国連人権理事会から任命された特別報告者 (U.N.Special Rapporteur) のジョセフ・ケナタッチ氏が安倍首相に緊急書簡を送って、警告を行ったことを配信しました。法案の「計画」や「準備行為」の文言が抽象的で、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる犯罪の中に テロリズムや組織犯罪と無関係のものを含んでいる危険を指摘しています。

5月25日(木)、ASIA-NETクロスナレッジ「伝える技術を鍛える勉強会」南部労政会館(東京都品川区)で開かれます。今回は「モンローの説得話」をテーマに取り上げ、現場で使える実践スキルの習得を目指します。

次のグローバル化社会の教育研究会(EGS)は6月30日(金)、聖学院中学・高校 (東京都北区)--- 同校の「21世紀型教育の実践」をテーマに話し合わせてもらおうと 準備中です。詳しくは、別便にてご案内します。

それでは皆様、ごきげんよう。

小山 和智 ( OYAMA, Kazutomo)
  http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/
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(過去のニュースは 下記をご覧ください。)
 http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/shijo-news.htm
2017.05.24 ■短信■
        今年も声なき声の会が「6・15集会」

 57年前の日米安保条約改定阻止運動(60年安保闘争)の中で生まれた市民グループ「声なき声の会」による恒例の「6・15集会」が、今年も開かれます。だれでも参加できます。

1957年に発足した岸信介・自民党内閣は日米安保条約改定案(新安保条約)の承認案件を60年の国会に上程。社会党(社民党の前身)、総評(労働組合の全国組織)、平和団体などが「改定で日本が戦争に巻き込まれる危険性が増す」と改定阻止運動を展開。これに対し自民党は衆院本会議で承認案件を強行採決。これに抗議する労組員、学生らのデモが連日、国会議事堂を取り巻いた。
 千葉県柏市の画家、小林トミさんらが「普通のおばさんも気軽に参加できるデモを」と思い立ち、6月4日、「誰デモ入れる声なき声の会 皆さんおはいり下さい」と書いた横幕を掲げ、新橋から国会に向けて行進を始めた。沿道にいた市民が次々と加わり、300人以上になった。その人たちが結成したのが「声なき声の会」だった。
 6月15日には、全学連主流派の学生が国会南門から国会構内に突入、警官隊との衝突で東大生の樺美智子(かんば・みちこ)さんが死亡。抗議の声の中、新安保条約は6月19日に自然承認となった。
 その後、声なき声の会は「安保条約に反対する運動があったことと樺美智子さんのことを決して忘れまい」と、毎年6月15日に集会を開き、集会後、国会南門で樺さんを偲んで献花をしてきた。2003年に小林さんが他界してからも6・15集会と献花は続いており、今年で57回目。
 今年の6・15集会の日時と会場は次の通り。

日時:6月15日(木)18時00分~20時00分 
場所:早稲田奉仕園セミナーハウス101号室 
東京都新宿区西早稲田2-3-1。電話 03-3205-5411
地下鉄東西線早稲田駅から徒歩5分
   URL  http://www.hoshien.or.jp/seminar/
献花:集会終了後、国会南門まで移動し、故樺美智子さんに献花(21時頃)
                                (岩)
2017.05.23  トランプ政権を上回る安倍政権の暴走、「森友・加計疑惑」はなんのその、共謀罪法案の強行採決に突っ走る安倍政権は破局しかない
広原盛明(関西在住、都市計画・まちづくり研究者)

 トランプ大統領の側近、フリン元補佐官のロシアとの秘密交渉を調査していたコニーFBI長官が電撃的に「首」になった。馘首に踏み切ったトランプ大統領はいま、空前の国内世論の批判に曝されている。トランプ政権が事件をもみ消すために司法妨害をした事実が明らかになれば、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件にも匹敵する大事件となる。すでにその波紋は、ウォーターゲート事件をもじった「ロシアゲート」などとネーミングされて、アメリカ国内はおろか世界中に広がっている。

ことは政治事件の域に止まらない。昨今のニューヨーク株式市場の暴落にもみられるように、ロシアゲートは今やアメリカ経済の根幹を揺るがすまでの事態にまで発展してきている。アメリカ議会で予算執行の目途がつかなければ、雇用も福祉も大打撃を受けることになる。日本の株式市場もアメリカ政治の停滞に連動して翻弄され、安定的な経済運営が阻害される状況が続いている。

しかしその一方、トランプ大統領の「盟友」である安倍首相も負けていない。「森友疑惑」に加えて、かねてから話題に上っていた「加計疑惑」が5月17日の朝日新聞スクープによって暴露されるなど、安倍政権を取り巻く「黒い霧」はここにきて急速に厚みを増してきている。韓国の朴大統領と同じく「古い友人」や「腹心の友」が暗躍する世界が、いま漸く国民の前に姿を現そうとしているのである。

不思議なことは、これほどの暗闇に包まれた安倍首相が疑惑に一切答えず、改憲策動や共謀罪法案の強行採決にひた走りしていることだ。どんな証拠物件が暴露されても「知らぬ存ぜぬ」で押し通すその政治姿勢は、トランプ大統領に勝るとも劣らない強権的な政権運営であり、マスメディアの批判も国民世論の批判もまるで眼中にないとしか言いようがない。

韓国では激しい国民世論に押されて憲法裁判所が朴大統領を罷免し、「古い友人」たちは一網打尽に逮捕された。その結果、政権交代が実現し、文大統領が圧倒的な支持を得て前政権の腐敗体制の一掃に乗り出すことになった。司法や検察が果たすべき権能を発揮し、朴政権の利権構造や癒着関係を洗い出したことがその背景にある。「悪いことをすればお縄に掛かる」という、ごく常識的な世界がそこには生きているのである。

政権が交代すれば、政府の高級官僚が悉く変わるというアメリカの「スポイルシステム」の下でも、裁判所や検察は大統領府から独立した姿勢を維持している。司法省がトランプ大統領の意向を無視し、ロシアゲート解明のための特別検察官を任命したのがその一例だ。議会も与党(共和党)といえども大統領の言いなりにはならない。オバマケア廃止法案は共和党の賛成が得られず提出前に葬られたし、与党は特別検察官の捜査にも全面的に協力する姿勢だ。共和党内には早くもペンス副大統領への交代話が出ているという。

彼我の世界に比べて日本ではどうか。「安倍1強」体制の下で自民・公明の与党はもとより官僚機構からの見るべき反撃もなく、検察も警察もいっこうに動かない。国民全体の奉仕者であるはずの国家公務員が安倍政権の「究極の私兵」と化し、いまや野党や国民の目から安倍首相や昭恵夫人の「古い友人」や「腹心の友」を庇うことに必死だ。安倍首相の人を喰ったような発言や不遜極まる態度の背景には、このような「悪いことをしてもお縄に掛からない」という日本の政治・官僚機構の腐敗があり、そこに安住していられる安心感があるからだ。こんな事態を『官僚たちの夏』を書いた城山三郎氏はどう見ているだろうか。また、官僚としての矜持を失った先輩たちの醜い姿に若い官僚たちは何を感じているのだろうか。

それにしても、これだけの安倍政権の腐敗を前にして何も語らない読売・産経などの右翼ジャーナリズムや「アベサマのNHK」の体たらくは目に余る。NHKのニュースや報道番組などはもはや正視に耐えないレベルにまで堕ちているし、ニュース解説ときたらただ時間を潰しているだけの存在でしかない。国会討論会の司会は安倍首相の「鮨友」が仕切っていて、常に野党の発言を牽制し、与党の言い分を側面援助している。これでは国民世論が盛り上がらず、安倍内閣の支持率も自民党支持率も下がるはずがない。安倍政権の「1億総活躍社会」は「1億総馬鹿社会」と言い換えてもいいぐらいの惨状なのである。

だが「明けない夜はない」ように、暗闇はいつか晴れるし、黒い霧もいつまでも続かないだろう。それが何をきっかけにして始まるは今のところ残念ながらわからない。ひょっとすると、それは明日明後日にも起こるかもしれないし、このまま安倍政権が居座りを続けて日本全体が暗闇の世界に引きずり込まれていくかもしれない。そんなことを国民は許さない――と思いたいが、そう確信できないほど日本の暗闇は深い。誰か「正義の味方」が現れてバッタバッタと悪人どもを征伐してくれないだろうか。
2017.05.22  大使館のエルサレム移転、入植地新規建設を支持するな
  ―トランプのイスラエル、パレスチナ訪問

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

トランプ米大統領は、22,23両日、イスラエルとパレスチナを訪問、ネタニヤフ・イスラエル首相、アッバス・パレスチナ自治政府議長と会談する。

トランプの訪問に先立って、トランプの親しい友人で、トランプ人事で真っ先に駐イスラエル大使に任命された、ユダヤ系アメリカ人のダヴィッド・フリードマンが15日テルアビブの米大使館に赴任した。彼は、極め付きの親イスラエル派の破産処理専門の弁護士。かねてから、パレスチナ紛争解決のため米国を含め国際社会が堅持してきた、イスラエル・パレスチナ2国家による解決方式を否定し、イスラエル一国による全パレスチナ支配を主張してきた。フリードマンはすぐテルアビブからエルサレムに向かい、ユダヤ教徒の最重要な聖地である西壁(嘆きの壁)で祈祷した。

トランプは選挙中、米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転を選挙公約として発言、ユダヤ系保守派の喝采を浴びたが、就任後、訪米したネタニヤフ首相には大使館の移転を公言せず、その代わりのように、米国が公式には堅持してきたイスラエル・パレスチナ2国家による解決方式にはこだわらないと表明した。それは、パレスチナをユダヤ人国家、アラブ人国家に2分割し、エルサレムはどちらにも属さない国際管理都市とすることを1947年に国連総会が決定し、世界各国が尊重してきたパレスチナ紛争解決方式を否定する発言だった。
48年のイスラエル独立、第1次戦争の後、67年の第3次戦争でイスラエルは東エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ガザのほぼパレスチナ全土を占領、東エルサレムを一方的に併合し、西エルサレムと一体化して首都宣言した。しかし80年代から、イスラエル占領からの解放を目指すパレスチナ人の抵抗闘争が高まり、93年にラビン・イスラル首相とアラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長がワシントンで「パレスチナ暫定自治協定」に調印、イスラエルは67年戦争占領地から順次撤退することとなり、パレスチナ人の自治政府が発足した。しかしその後も、占領地のいたるところに軍に守られたユダヤ人入植地が建設され、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムはひどい虫食い状態になっていった。
さらに95年、イスラエルでラビン首相がユダヤ教過激派の青年に暗殺され、09年に強硬な右派のネタニヤフが首相に就任、自治地域と入植地やイスラエル領との間に高い壁を築いていった。

トランプ就任後の今年3月30日、イスラエル閣議は、東エルサレムに計2000棟の住宅建設を決定した。トランプ当選直後にネタニヤフ首相が決めた、5500戸の建設計画の一部だ。大規模な住宅地建設としては、約20年ぶりとなる。このイスラエルの入植地での建設計画について、国連安保理は昨年12月、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでの新規入植地建設は違法だとする決議を採択している(米国は棄権)。
トランプは、安倍首相に続いて訪米したネタニヤフに、2国間解決方式にこだわらないと表明、ネタニヤフを喜ばせたが、新入植地建設にはブレーキをかけるような発言をしたと伝えられた。ネタニヤフは、トランプ発言を無視したか、トランプの真意を承知していたのだ。今回のイスラエル訪問に、トランプはどんな土産を持っていくのだろうか。国際社会が一致して拒否してきた東エルサレムの領土化、首都宣言を米国が承認することになる大使館移転は、絶対に許せない。
2017.05.21  「本日休載」
 今日、5月21日(日) は 休載します。

   リベラル21編集委員会

2017.05.20   ▇短信▇
        止めよう!辺野古埋め立て 共謀罪法案は廃案に!
             6・10国会大包囲

 日本「復帰」も基地被害が絶えず、在日米軍専用施設の面積の7割が集中している沖縄に、新たな基地を造ることは許されません。しかし、4月25日、日本政府は辺野古の埋め立て区域を囲む護岸工事に着手しました。人々の思いを踏みにじり、美しい海を殺す暴挙をやめさせなければなりません。
 戦争をする国づくりの法制度が戦争法であり、そのための最前線の基地が米軍と自衛隊の共同使用を視野に入れた辺野古新基地建設です。そして戦争をする国づくりに反対する市民運動、労働運動を弾圧するのが共謀罪(テロ等準備罪)法案です。
 わたくしたちの抗議の意思を示すべく、共に声をあげ、圧倒的な数の人々で国会を包囲しましょう。

 とき:6月10日(土)14:00~15:30
 
 場所:国会周辺(4つのエリアでリレートーク)

 主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(戦争させない1000人委員会=03-3526-2920/解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会=03-3221-4668/戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター=03-5842-5611)、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック=090-3910-4140/沖縄意見広告運動=03-6382-6537/ピースボート=03-3363-7561)、基地の県内移設に反対する県民会議=098-833-3218
                                (岩)
2017.05.19  習近平は北朝鮮の核ミサイル問題を解決できるか
 ――八ヶ岳山麓から(222)――

阿部治平(もと高校教師)

いいかげんな歴史認識
4月の米中会談のおり習近平中国主席はトランプ米大統領に、中国と韓国(コリア)の歴史について、「コリアは実は中国の一部だったことがある」と語ったと伝えられた(ウォールストリート・ジャーナル、2017・04・12)。
私はこれには驚いた。もちろん韓国の民間は色めき立ち、政府も反発した。だが米中両国政府とも習発言をはっきり否定しなかった。中国外交部報道官にいたっては、「韓国人はこれを心配する必要はない」という人を食った発言をした。私は、これを習発言が実際にあったことを示すものと受け取った。
漢王朝が紀元前後、朝鮮半島北半分を楽浪郡・帯方郡として支配したことはある。だが1259年モンゴルが高麗を征服し、20世紀初頭から1945年まで日本が植民地にしたほかに、朝鮮半島がまるごと外国の直轄領になった歴史はない。朝鮮王朝は、ベトナム・ビルマ・琉球などとともに明清王朝の冊封体制下にあったが、実際には独立していた。たぶん習近平は青春時代が文化大革命期に当り勉強する時間がなくて、ペキンの横町の老百姓(庶民)レベルの朝鮮認識しか持てなかったのである。
だが習発言は今日彼が考えているよりは、はるかに大きな重みをもっている。いいかげんな知識で朝鮮民族を見下してしまったのだから。

核心的利益はゆずらない
習近平の「中国の『核心的利益』を断固守る」という路線は、トランプの「アメリカ・ファースト」と一脈通じるものがある。習近平の「夢」はアジア、ひいては世界における覇者、アメリカと覇権を分かち合える国家であり、トランプは白人中心の強いアメリカの再構築である。
米中首脳会談においては、北朝鮮の核・ミサイル対策で「金王朝に最大限の圧力をかけるが、現体制はつぶさない」という方針で、習近平とトランプとは一致した。そこで習近平は北の核・ミサイル廃棄を請け負い、トランプはただちに貿易問題で譲歩し、中国を為替操作国とするのを中止した。
とはいえ、米中間には思惑において大きな違いがある。アメリカは、本心では北の体制崩壊を望むが、中国は本気で朝鮮労働党の一党体制を守ろうとしている。
その理由は、北の体制崩壊はただちに中国共産党の一党支配体制の危機をもたらすからである。北の金氏支配体制は中国にとって「核心的利益」である。
だから、人民日報の国際版環球時報「社評」は、アメリカが武力介入して北朝鮮の体制を崩壊させ、金氏王朝をつぶすことには反対して「米韓両軍が38度線を越えて北朝鮮に軍事進攻した場合は、中国はすぐに必要な軍事介入を行うべし」と主張した(環球時報2017・4・22)。ここが重要だと思う。
中国が北の核・ミサイル廃棄を求めるのは、北朝鮮の核保有によって、核不拡散条約NPTで保障された中国の核保有大国としての地位があやうくなり、同時に中朝両国が「血盟」関係からじょじょに敵対的に変化したいま、北の核とミサイルの開発は中国にとっても脅威となるからである。
過去、北の核実験は中朝国境から70キロという場所で行われ、核実験による地震で中国側の住民が逃げ出すという事態があった。そのうえずさんな核管理による放射能汚染も懸念材料である。
中国は韓国に対しても、その軍事力強化が中国の「核心的利益」の脅威になると判断すれば、友好関係という外衣をさっぱりと投げ捨て、断然強硬な対抗手段にでる。朴槿恵政権がアメリカのTHAADミサイル導入を容認すると、ただちに韓国からの輸入規制をおこない、韓流を排除し韓国への観光旅行を停止した。さらにはロッテグループがTHAAD配備用地を提供したことから、ロッテの菓子類への規制を強化し、老百姓にロッテ・ボイコットをやらせている。
こうして中韓蜜月時代は簡単に終った。このほど韓国大統領に就任した文在寅がTHAADミサイル維持やむなしとしたら、中韓関係のさらなる悪化は目に見えている。

南北分断こそ
朝鮮半島大衆の願いに反して、中国は南北統一を望まない。なぜか。
かりに北朝鮮主導で統一国家ができたとき、核と大陸間弾道ミサイルをもつうえに韓国の経済力をそなえた国家ができあがる。南主導ならば、鴨緑江・図們(豆満)江国境の中国の弱い腹部に、やがては中国よりは生活水準の高い民衆と民主主義政治の影響がおよぶだろう。
南北いずれの主導にせよ、統一国家は容易に中国のいうことを聞かない、完全な自立国家になるはずだ。そのうえ中国国内には、延辺朝鮮族自治州あたりを中心に統一朝鮮との統合を要求する動きが必ず生まれる。それは必然的に中国国内の他の少数民族運動を激励する。
だから中国にとっては、南北分断状態が好ましい。金氏一党支配のまま、緩衝国として北朝鮮を存続させ、中国主導で北の核を取り除いて骨抜きにし、北に改革開放路線をとらせられれば理想的である。

交渉相手をバカにしては
中国包囲網を築こうとした安倍政権の努力空しく、東アジアでの中国の急速な台頭とアメリカの覇権後退は否定のしようがない。だが中国がこの勢いで北の核・ミサイル廃棄をなしとげることができるだろうか。
中国首脳の意を受けた環球時報「社評」は、北朝鮮に対して「核とミサイル開発の一時停止から核の廃棄に進み対外開放の道を選ぶならば、中国が現体制を維持してやる」という論調で一貫している。
これだけでも北にとっては屈辱的なのに、中国はアメリカに尻を叩かれて「いうことを聞かないと食料や石油など戦略物資の貿易を制限し、経済の命脈を止めるぞ」と締上げる。
中国はこのように、朝鮮半島の両国とりわけ北朝鮮にたいしてほとんど外交儀礼を無視した威圧的言論を展開してきた。北が中国を名指しで非難し、「裏切り者」呼ばわりするのは自然のなりゆきである。5月14日中国が新たな世界秩序を構築しようとする「一帯一路」首脳会議開会の朝、金正恩がミサイルをぶっ放したのは、強烈な憤懣を爆発させたものである。
北朝鮮が求めているのは、中国の庇護ではない。完全な平等の中朝関係であり、アメリカとの直接対話であり、核兵器の保有が北朝鮮の絶対的独立を保証し、北が自由にふるまうことを国際社会が認めることである。
いままで内政の混乱から発言できなかった韓国も、これからは南北問題の当事者としてふるまうだろう。文在寅は蚊帳の外に置かれるのに甘んじることなく、米中露といった大国による問題解決を極力避け、主体的に北との直接交渉を追求するだろう。

いばらの道
中国は一時の成功によって自らを覇者と思いこみ、あまりに朝鮮民族の誇りを傷つけるふるまいにでた。裏ではどんな取引がされているかわからないが、表に出た限りでは、中国は北の反発によっていまや騎虎の勢い、降りるに降りられない状況に陥っているのではないか。
「金正恩は被害妄想だ」という米国連大使の発言があったが、アメリカの外交官がこんなことを言っているうちは何も生まれない。北朝鮮はせっせと核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイルの完成に精を出すだろう。そしてまた我々を震撼させるのである。
以前にも触れたが、中国が手を焼いているいま、結局はアメリカが北朝鮮に歩み寄って、韓国とともに北朝鮮と直接対話し、「核・ミサイル」と「米軍の朝鮮半島からの撤退」を材料に交渉することのほか道はないとおもう。それを軽佻浮薄のトランプ大統領のアメリカにできるか、これがまた大きな疑問である。