2017.07.21 稲田防衛相のPKО日報に関する国会虚偽答弁の発覚で、安倍政権の内閣改造作戦は台無しに
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)

 京都では祇園祭の季節を迎えて連日猛暑が続いている。昨年の祇園祭は「くじ改め」(山鉾巡行の順番を確かめる儀式)の前で観覧する機会に恵まれたが、今年はさすがの暑さに閉口してパスし、家の中に引きこもっていた。なのに、政界では安倍政権の失態が次から次へと暴露されて火が噴き、熱気はますます高まる一方だ。

 7月19日の各紙朝刊は、防衛省が南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を「廃棄」したとしながら陸上自衛隊が保管していた問題で、稲田防衛相が日報保管の事実を知りながら、防衛省・自衛隊幹部が事実を非公表にするとの方針を了承していたと伝えている。

 稲田氏はその後の国会で、日報が陸上自衛隊で保管されていた一連の経緯については「報告を受けていない」と説明し、「改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」とまで踏み込んで答弁していた。答弁は真っ赤なウソで、事実は、防衛省・自衛隊の最高幹部が集まった今年2月の緊急会議で、「廃棄」されていたとする日報が保管されていたことを公表するかしないかの討議が行われ、稲田防衛相が組織全体で公表しない(隠蔽する)ことに同意していたのである。

 稲田氏は、これまでもしばしば虚偽答弁の疑いで国会の追及を受けてきた。森友学園の顧問弁護士に就任していた事実も当初は「ない」と言い張り、法廷に出廷していた事実を突きつけられて漸く答弁を撤回し、自分の記憶に基づいて答弁したのであってウソをつくつもりはなかったなどの詭弁で、その場を切り抜けてきたのである(安倍首相が任命責任の追及を恐れて罷免しなかった)。

  今回も稲田氏は7月18日、このニュースを流した共同通信社の取材に対し、2月の緊急会議で非公表の方針を了承したかどうかの事実関係については、「ご指摘のような事実はありません」と書面で回答している。また19日午前には、防衛省で記者団に対し、日報を陸上自衛隊が保管していた問題について「隠蔽(いんぺい)を了承したとか、非公表を了承したとかいう事実はまったくない」と真っ向から否定した。菅官房長官も記者会見で、稲田氏から18日夜、電話で隠蔽を否定する報告を受けたことを明らかにし、「しっかり調査し、今後とも誠実に職務にあたってほしい」と激励したと言う。ウソの上塗りを平気で重ねる稲田氏や菅氏の態度は、ナチスのゲッペルス宣伝相も「真っ青」というところではないか。

 事柄の真偽は、今月24日に予定されている閉会中の予算委員会審議の場で明らかにされるであろうが、その前に稲田氏が辞任して雲隠れすることも予想される。新たな防衛相の任命はまずないだろうから、安倍首相あたりが防衛相を兼任することになるかもしれない。しかし、その場合においても安倍首相は説明責任および任命責任を厳しく問われることになる。国民の疑惑には丁寧かつ真摯に説明すると言っただけに、この際、これまでの国会審議のような居直りやすり替えは一切通用しない。針のむしろに座るほかないのである。

 安倍首相自身は「悪い時には悪いことが重なる」と思っているだろうが、このことは決して偶然に起こったことではない。これまでお友達内閣の度重なる弊害には目をつぶり、国政私物化の事実や責任を一切取ろうとしない積年の弊害が、ここにきて一挙に表面化しただけのことだ。来るべき時が来たのであり、自民党が安倍首相に追求が及ばないようにどれだけ野党の質問時間を削っても、国民は見るべきところを見ている。国民の信頼を失った首相はもはや「水に落ちた犬」同然なのであり、溺れるほかはないのである。

 とはいえ、予算委員会審議を何とか乗り切って水辺に這い上がったとしよう。そこで待っているのは、内閣改造という次の難関だ。安倍政権は支持率が落ちるたびに内閣改造を繰り返し、表面だけを変えて国民の目をごまかしてきた。でも、そんな姑息な方法はもう通用しない。死に体になった安倍政権と心中するような馬鹿な政治家はいないだろうし、いたとすれば、それは「閣僚不適格」の人材が集まるだけの話だ。すでに改造前の世論調査においてさえ、内閣改造に「期待しない」が過半数に達している。改造後の世論調査ではさらに決定的な民意が示されるだろう。

 思えば、長い道のりだった。だが、「権力は腐敗する」「絶対権力は絶対に腐敗する」との格言通り、安倍政権はいま音を立てて瓦解しつつある。各社の世論調査では支持率が30%台に急落し、不支持率が50%台に急上昇している。中には支持率が20%台に落ち込んだ結果もあらわれてきており、支持率回復の目途は全く立たない状態だ。「信なくば立たず」の世論の恐ろしさを初めて味わった安倍首相に対して、残された道は総辞職しかないだろう。有終の美を飾るといった表現には似つかわしくない人物であるが、「野垂れ死にだけはするな」との最期の言葉を送りたい。

2017.07.13 これは単なる思い過ごしなのか?
  
宮里政充 (もと高校教員)

 安倍晋三首相は「日本を取り戻す!」と叫んで第二次安倍内閣を発足させた(2012年12月26日)。彼のいう「日本」がどういうものなのかは閣僚人事やNHK経営委員の人選(いわゆるお友達優遇人事)、安保法制や共謀罪法案の強行採決、憲法「改正」への前のめりの姿勢など、実に分かりやすい形で明らかにされてきた。彼は日本会議(「美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を推進する民間団体」)を中心とする右派イデオロギーを背景に、日本という国を限りなく明治という「美しい国」に近づけていこうとしており、しかもそれを自分の在任中に成し遂げたいと思っている。私は国民がそういう安倍首相の政治思想や乱暴な政治手法に次第に慣らされていくことの危機感を持ち続けてきた。

 ところが、東京都議選の結果、自民党は惨敗した。国会運営の強引さ、森友・加計問題の真相究明回避の姿勢、連日マスコミを賑わせる閣僚や自民党国会議員の失態やスキャンダル、そして安倍首相自身の、国民に対する傲慢な姿勢――これらがいわば度重なるオウンゴールとなったのである。都民はこの目に余る現状に対し、都政を一挙に飛び超えて安倍政権に鉄槌を食らわせた。私の危機感はすっ飛んだ。だがそれは一瞬のことであって、私はむしろ以前よりも強い危機感を持つようになった。

 小池百合子都知事は安倍首相同様日本会議の会員であり、日本の核保有については、月刊誌『Voice』(2003年3月号)誌上における田久保忠衛氏(日本会議現会長)、西岡力氏(東京基督教大学教授)との鼎談の中で、「軍事上、外交上の判断において核武装の選択肢は十分ありうる」と発言し、その4年後には安倍第一次内閣の防衛大臣に任命された人物である。
 都知事選で自民党と袂を分かつ結果になったとはいえ、政治思想は安倍首相と首相を取り巻く「お友達」に極めて近い。さらに、彼女の腹心の部下である野田数(かずさ)氏は2012年、日本国憲法無効論に基づく大日本帝国憲法復活の請願を東京都に提出した人物である。彼はその請願書の中で「国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」すべきだと主張した。そして、小池百合子都知事は都議選で圧勝した翌日、彼女の一存で、「都民ファーストの会」の代表を彼に譲った。

 おそらく彼女は今後「都民ファーストの会」を軸にして新党を立ち上げ、国政へ進出するだろう。そして、そこへ国会議員をはじめとして多くの野望家が群がってくるのは容易に想像できる。最近の各世論調査(朝日・毎日・読売・NHK・日本テレビ)すべてが、ついに内閣不支持が支持を上回る結果を出した。政界再編もあるかもしれない。しかし、民進党を中心とする野党の勢力が伸びない限り、所詮は保守・右派同士の内輪もめに過ぎない。日本右傾化の流れはとどめようもないのである。

 小池百合子氏が日本の総理大臣になる日は来るのだろうか。私は、「自民党はもう終わった」と言い放った舛添要一氏を擁立して東京都知事に当選させた自民党なるもののしたたかさを思い出している。勢力関係によっては小池百合子氏を総理大臣に仕立て上げることなど、この党にとってわけもないことだ。そうなった場合、「小池百合子総理大臣」は安倍総理大臣とちがって憲法9条だけでなくもっと本格的な憲法「改正」への道を巧妙にたどり始めるだろう。まさか大日本帝国憲法を持ち出してくることはあるまいが。
 私の危機感は単なる思い過ごしなのだろうか。 (2017.7.11記す)
2017.07.11 核兵器禁止条約採択を心から歓迎する
世界平和七人委がアピール

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 核兵器禁止条約が7月7日、ニューヨークの国連本部で開かれた条約交渉会議で採択されたが、このことに関し、世界平和アピール七人委員会が同10日、「核兵器禁止条約採択を心から歓迎する」と題するアピールを発表した。
  世界平和アピール七人委は、1955年、世界連邦建設同盟理事長で平凡社社長だった下中弥三郎の提唱により、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして発足し、国際間の紛争は武力で解決してはならないを原則に、日本国憲法の擁護、核兵器禁止、世界平和実現などについて内外に向けアピールを発表してきた。今回のアピールは126回目。
 現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学者)、土山秀夫(元長崎大学学長)、大石芳野(写真家)、小沼通二(慶應義塾大学名誉教授)、池内了(名古屋大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家)、髙村薫(作家)の7氏。

 アピールは、採択された核兵器禁止条約を「核兵器廃絶に向けての大きな一歩」であり、「被爆者、日本国民にとっても大きな喜び」と評価する一方で、「日本国政府が自ら背を向けて退席し、国連本部外で行われた核兵器保有国と核の傘に固執する少数国の会合に参加し、さらに『条約には署名しない』と改めて表明したことは、歴史に残る汚点であり、核兵器廃絶を目指す世界の人たちに対して恥ずべき行動だった」と批判している。
 アピールの全文は次の通り。

核兵器禁止条約採択を心から歓迎する
世界平和アピール七人委員会


武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晉一郎 髙村薫
 私たち世界平和アピール七人委員会は、核兵器禁止条約交渉会議のホワイト議長をはじめ、今回の条約成立に力を尽くしてきた諸国と国際赤十字、多くのNGO、そして広島・長崎の被爆者、世界各地の核実験の被害者の長年の尽力に心から敬意を表する。

この条約が国連加盟193か国の3分の2に近い賛成122票、反対1票、棄権1票で採択されたことは、核兵器廃絶に向けての大きな一歩であり、長年にわたりその実現を願い、努力を続けてきた被爆者、日本国民にとっても大きな喜びである。

 大量破壊兵器である核兵器の持つ非人道性は議論の余地がなく、放出される放射線の影響は目標にとどまらず地球全体に広がり、長期間にわたって被害を与え続ける。日本国政府が戦争で核兵器を使用された唯一の国として貢献できる機会に自ら背を向けて退席し、国連本部外で行われた核兵器保有国と核の傘に固執する少数国の会合に参加し、さらに「条約には署名しない」と改めて表明したことは、歴史に残る汚点であり、核兵器廃絶を目指す世界の人たちに対して恥ずべき行動だった。

 自らの核兵器保有と核の傘依存を続ける一方で、他国の核兵器開発の糾弾を続けることは、非難の応酬を加速させるばかりか、核兵器使用の危険性を増大させ、国民の安全保障を損なうものであって、核兵器廃絶への道ではない。私たちは、日本国政府を含む不参加国が態度を変えて、現在と将来の世代のために、核兵器のない世界を実現させるこれからの行動に参加することを求める。

2017.07.08 安倍私党グループによる露骨な官僚人事で国家統治機構の正統性が揺らぐ、「お友達政治」(国政私物化)の影響は政権与党のみならず官僚機構全体にも広がり始めた
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)

 安倍首相は7月4日の閣議で各省庁の主な幹部人事を決めた。菅官房長官は記者会見で「適材適所」などと言い張っているが、その内実は安倍私党グループによる「森友疑惑」「加計疑惑」隠しのための露骨極まりない謀略人事だと言っていいだろう。その象徴が「森友疑惑」関係の一切の書類を隠蔽してきた佐川財務省理財局長の国税庁長官就任、および「加計学園」の獣医学部新設を「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと文科省を恫喝してきた藤原内閣府審議官が国家戦略特区担当を離れ、経済産業省に復帰したことだ。これで両氏は国会で追及されることもなく、日々ノウノウとして職務に専念できるというものだ。

 この人事は、菅官房長官と萩生田官房副長官(内閣府人事局長)が原案を作り、安倍首相が決めたといわれる。だが、萩田氏自身は「加計学園」の獣医学部新設を「官邸は絶対にやると言っている」「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた。今年(16年)11月には方針を決めたいとのことだった」などと文科省に早期開学を迫った張本人なのだ。アメリカのギャング映画などでは(日本のヤクザ映画でも)、事件の発覚を防ぐために親分が子分に金を握らせて「しばらく消えてもらう」と言い渡すシーンがよく出てくるが、まさにそれを彷彿とさせる人事ではないか。いわば、「安倍私党グループによる、安倍私党グループのための、安倍私党グループの人事」だと言ってよい。
 
 これに「総理の言えないことを私が代わって言う」と文科省に迫った和泉首相補佐官が古巣の国土交通省にでも栄転すれば、「加計3兄弟」(藤原、萩生田、和泉の各氏)の名声はことに高まったであろうが、国交省では和泉氏の然るべきポストを用意できなかったのか沙汰止みになったという。私としては、同じやるなら「加計3兄弟」が揃い踏みをして、国民の前に堂々とお披露目興行し、盛大な喝さいを浴びてほしかった。

 これら一連の人事を見ると、安倍首相が都議選の歴史的大敗を受けた翌日、7月3日朝に述べた「深刻な反省」はいったいどこに行ってしまったのかと考えさせられる。おそらく彼の「深刻な反省」の賞味期限は数時間ぐらいしかなく、翌日になればすっかり元の状態に戻っているのだろう。つまり「舌の根も乾かないうち」に、自分の言ったことが消えていく頭の構造になっているのだろう。でも、これは善意の解釈である。

  ことは簡単でないのでもう少し踏み込んで考えて見ると、彼の「深刻な反省」とは、実は森友疑惑や加計疑惑を隠し通せなかったことを反省しているのではないかと思われることだ。悪事を重ねた政治家がよく反省するように、いわゆる「わきが甘かった」ことを悔やんでいるのである。安倍首相は「お友達政治」なんて悪いとも何とも思っていない。それがバレタことを反省しているのである。とすれば、反省の結果として出てくる方針は、これ以上疑惑の究明が進むことを防がなくてはならないことになる。

  そのための布陣の第1弾が今回の官僚人事だった。両疑惑に関係した官僚を関係部署から外して異動させる。彼らが当該部署から外れれば、今後は「公務外」のことだとして言い逃れできる。当該部署の官僚たちも「引継ぎを受けていない」とか何とか言って責任を回避することができる。こうして時間がたつうちに、忘れやすい国民の脳裏からいずれこの疑惑は消えていく...。こういう時間シナリオが官邸内で想定されているのだろう。

  第2弾は、山本地方創生担当相が「加計学園」絡みの公文書は内閣府に存在しないと言い切っていることだ。山本氏は次の組閣で閣僚から離れることは確実視されているが、安倍私党グループの1員として加計疑惑はあくまでも「墓場まで持っていく」つもりなのだろう。担当大臣にここまで断言されると、内閣府内では「あった」と言えなくなる。加計疑惑の本命は内閣府なので、ここだけは「死守したい」との決意が透けて見えると言っていいだろう。

  第3弾は、「安倍首相抜き」の国会審議である。既に国会閉会中の委員会審議が開かれることは決まっているが、ことは首相自身に関わる事柄だけに「安倍抜き」では話にならない。まして野党の質問時間を議員数を根拠にして制限するような仕掛けまでが施されると、「審議に応じた」という外皮だけが残るだけで中身は空っぽになってしまう。「空っぽ」の審議を如何にそれらしく見せるか、安倍政権の命運がかかる疑惑だけに官邸の狙いはここに凝縮されている。野党の力量が試されるところだ。

  都議選後のこれら一連の安倍政権の対応から浮かび上がることは、官邸がどんなシナリオを書いても、その限界は所詮安倍私党グループ(利益共同体)の域から出られないことだ。お友達政治すなわち国政私物化の後を消すために幾ら粉飾を重ねても、国政の大義の前には覆い隠せない事態が生じる。すでに多くの国民は、安倍政権がどんな芝居を打つかということよりも、舞台裏でどんな脚本が書かれているか、どんな演出がほどこされるかに関心が移っている。支持率が急落した世論調査がそのことを物語っているし、今後の世論調査がさらに断固とした回答を用意するだろう。

2017.07.05 君は野田数(のだ・かずさ)を知っているか
―都議選結果は警戒を要す―

半澤健市 (元金融機関勤務)

《「都民」圧勝を正視しない能天気な人々》
 2017年7月3日の「報道ステーション」(テレ朝)で、キャスターの後藤謙次は、都議選の勝敗二党―自民と「都民ファースト」(「都民」)―の選挙戦後の対応に触れた。安倍首相の反省は具体策を欠き、小池知事は二元代表制原則を意識して、秘書の野田数(のだかずさ)に代表を譲った。後藤はこう言って小池の素早い対応を好意的に評価した。

野田への代表委譲は「都民」の内部規定では合法的らしい。しかし巨大な存在となった「都民」の代表を小池と野田の二人で決めたことに、有権者から疑問や批判が出ている。「小池が代表として都議選を戦ったことは何だったのか」というわけである。
早くもオポチュニスト小池の本性が出た。これが私の印象である。

《「都民」代表は安倍に劣らぬ右翼である》
 野田数とは何者か。結論をいうと、なかなかの「右翼」である。
「ウィキペディア」を信用して重要な項目を摘出して下記に掲げる。

■略歴
1973年 東京生まれ 早大教育学部卒
2000~01年 小池百合子衆院議員(保守党)秘書、00年衆院選立候補・落選
2003~09年 東村山市議(自民党)
2009~12年 東京都議(自民党、北多摩第一区)
10年から『正論』、『WiLL』、『SAPIO』等に執筆
2012年 地域政党「東京維新の会」結成(自民党離党)、都議会査団で尖閣海域視察
2012年 「日本維新の会」から衆院選立候補・落選
2013年 「日本維新の会」から都議選立候補・落選
2013年~14年 アントニオ猪木衆院議員秘書
2016年 小池百合子都知事選選対責任者、小池の知事当選後特別秘書となる
2017年 「都民ファーストの会」代表(6月1日から7月3日の間は小池)

■政策・主張
・2012年 日本国憲法無効論に基づく大日本帝国憲法復活請願を東京都議会に提出。
・「我が国の独立が奪われた時期に制定された」と現行憲法の無効を主張し皇室典範は「国民を主人とし天皇を家来とする不敬不 遜の極み」「国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」すべきことを主張。石原慎太郎東京都知事主導の東京都の尖閣諸島購 入に賛成し国による購入には反対した。
・新しい歴史教科書をつくる会から分かれて発足した日本教育再生機構の常任理事を務めた。

《代表交代は情報公開の上の民主的な決定か》
 ウィキペディアから私はなるべく事実を記した部分を抜粋したつもりである。
容易に分かるのは、野田数という人物は「右翼」的・「日本維新」的な思想の持ち主らしいということである。

小池旋風は、都政だけでなく国政にも、強い衝撃を与えた。
定数127名中、55名を擁する「都民」の代表が、現行憲法を否定し「大日本帝国憲法」の復活をうたう人物であるのを、読者は知っているだろうか。音喜多駿(おときたしゅん)「幹事長」も知らぬうちに再び代表になったのである。

「都議選結果は警戒を要す」は早くも深刻な現実である。「専門家」の多い知的集団の「都民」都議諸氏はどうお考えであろうか。(2017/07/04)

2017.07.04 安倍政権の終焉を告げる都議選の歴史的大敗、都民に審判されたのは自民党東京都連ではなく安倍政権そのものだった
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
                      
 全国注目の的、東京都議選が2017年7月2日投開票され、自民党が歴史的大敗を喫した。候補者60人を擁立して安倍首相をはじめ総力戦で臨んだ自民党は、過去最低の38議席を大幅に下回る23議席(現有57)に止まり、都議会議長や都議会自民党幹事長の現職幹部が揃って落選した。各紙の見出しが単なる「大敗」や「惨敗」ではなく、「歴史的大敗」「歴史的惨敗」とあるのはそれを示すものだ。戦後の都議選史上かってない自民党の大敗北であり、「空前」(絶後ではない)の出来事が起こったのである。

 公明党と選挙協定を結んだ「都民ファーストの会」が55議席(現有6)と圧勝し、公明党が全員当選の23議席(現有23)を確保したことも驚きだった。そんな嵐のような選挙情勢の中で、民進党が5議席(現有7)に後退したのに比べて、共産党が19議席(現有17)に前進したことは特筆される。野党第1党の民進党が首都東京でかくも振るわないようでは、今後、政党としての存在意義を問われることにもなりかねない。

 今回の都議選が安倍政権の審判選挙になったのは、幾つかの理由がある。第1は、都議選の日程を睨んで国会が理不尽にも閉会され、森友疑惑や加計疑惑の隠蔽はもとより、「共謀罪」の本会議採決が法務委員会の審議をすっ飛ばして強行されたことだ。国権の最高機関である国会審議が、安倍政権の私的思惑(国政私物化)によって蹂躙されたのである。国会閉会中にも新しい問題が出てくれば審議に応じるという安倍首相の口約束はその後、加計疑惑に関する萩生田発言など新資料が出てきたにもかかわらずにあっさりと反故にされた。憲法53条に基づく野党の臨時国会開会要求も握りつぶされ、何時になったら国会が開催されるか現在は目途も付かない。「安倍政権の横暴ここに極まれり」といった事態が国民の前に立ちはだかるに及んで、自公与党が国会での審議に応じないのであれば、都議選で決着付ける他はないとの空気が広がり、それが安倍政権に対する厳しい審判となったのである。

 第2は、豊田真由子議員(安倍チルドレン)による秘書への罵詈雑言や暴行事件、稲田防衛相(安倍首相の秘蔵っ子)の『自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いする』との憲法違反発言、そして下村自民都連幹事長(安倍首相側近、自民党幹事長代行)に対する加計学園からの〝闇献金〟騒動など、安倍グループによる不祥事件が都議選の最中に連続して暴露されたことがある。自民党は離党しても国会議員は辞めないでほとぼりが冷めるのを待つ(豊田氏)、憲法違反の発言をしても大臣を辞任することもなければ、罷免されることもなくそのまま居座りを続ける(稲田氏)、加計学園から献金を受け取ったことを認めながら〝闇献金〟であることは否定する(下村氏)など、安倍グループの厚顔無恥の面々に対して鉄槌を下さなければならないとの都民感情(国民感情)が一気に強まったのである。

 都議選の歴史的大敗後、事態を打開すべく与党側からは国会閉会中の委員会開催や臨時国会開催の話も出ている。しかし、森友疑惑や加計疑惑はもともと安倍首相の「お友達関係」による国政私物化の典型であるだけに、丁寧に議論をすれば国民の納得を得られるような類の案件ではない。議論すればするほど疑惑が深まり、安倍政権はますます泥沼に足を取られるだけのことであって、審議に応じればことが解決するような簡単な話ではないのである。おそらく「審議に応じる」といった話は当座の時間稼ぎのための口実に過ぎず、残された手段は、内閣改造(首のすげ替え)による「印象操作」しかないのではないか。

 問題は、内閣改造が成功するかどうかだ。新しい政策を打ち出すに当たってそれにふさわしい清新な閣僚を起用するというのが通常の姿であるが、今回の場合はそれとは根本的に違う。あまりにもお粗末な側近や閣僚を一掃するには大ナタを振るわなければならず、場合によっては「手術が成功しても患者が死んでしまう」ことになりかねないからだ。改造ポストは、都議選の歴史的大敗の戦犯である「THISグループ」(T=豊田議員、H=萩生田副官房長官、I=稲田防衛相、S=下村幹事長代行)をはじめとして、共謀罪でデタラメ答弁に終始した金田法相、加計疑惑隠しに走った山本地方創生担当相、公文書隠蔽に躍起となった松野文科相など枚挙の暇もないが、これら不良閣僚の摘出手術のためには相当な出血を覚悟しなければならない。

 だが、内閣改造で事態を収拾できるかどうかは予断を許さない。最大の問題は、内閣改造を断行しても肝心の「頭のすげ替え」だけはできないことだ。安倍首相自身が都議選大敗の元凶である以上、頭のすげ替えをしない限り内閣改造は成功しない。言い換えれば、「内閣総辞職」でもしない限り事態は根本的に収集できないということだろう。これは、安倍首相自身にとっても受け入れがたいことであるに違いない。だから、都議選後の事態収拾は長引くほかはない。臨時国会の開催もしない、丁寧な審議もしないし説明責任も果たさない、内閣改造はするがそれで目先が変わるほどの期待もできない...。安倍政権はいまや完全に行き詰まっている。

   小泉進次郎氏の入閣や橋下徹氏の起用なども噂されているが、彼らの起用如きで事態が変わるほど国民は馬鹿でないし、安倍政権の信頼が回復できるほどの効果も期待できない。それほど安倍政権の体質は腐っているのであり、信頼は地に堕ちているのである。さて、安倍首相はどうする。次の一手に関心がそそられる。


2017.07.03 これは保守大連立の補完である
 ―都議選結果は警戒を要す―
 
半澤健市 (元金融機関勤務)

 《小池派の圧勝と自民の惨敗》
 2017年7月2日の東京都議選で「小池派」は、定数127名中、79名を取り圧勝し、自民党は23名で惨敗した。
空中戦に強い小池百合子が、地方選にもこれほど強いと思わなかった。
しかし、東京はドブ板選挙が通用しない人間関係の薄い共同体である。有権者は空気に流される漂流民のような存在である。メディア利用を熟知する「渡り鳥政治家」に、東京は最適な舞台であった。
自民党が惨敗したのは良かった。安倍政治暴走へのブロックになるからである。安倍政権は年内持たないだろう。安倍以外なら誰でも良いと考えていた私もそう思う。

《小池は自民党員・日本会議である》 
しかし果たしてそうだろうか。
公明党は、チャッカリと23名を当選させた。そのコバンザメ性は天才的である。共産党は、国会であれだけ健闘したのに、2名増の19名に終わった。
小池百合子は今も自民党員である。最近まで日本会議国会議員懇談会の要職にあった。
彼女はこの国をどんな国にしたいのか。私は聞いたことがない。

2009年の政権交代選挙を、私は「二大保守党独裁の時代」の誕生と書いた。二大保守党体制は、民主党の分裂・退潮で変形したものの、改憲勢力は三分の二を占めている。今回の都議選は、この体制の強化となった。油断すると危ない状態の継続である。

《対立軸をアイマイにしてはならない》
 書生論と言われようと、何度でもいう。
護憲か改憲か。対米自立か隷従か。アベノミクスは是か非か。原発廃絶か再稼働か。
このいずれを取るか。それが日本の将来を決定するのである。(2017/07/03)

2017.07.03  タケシ風パロディ「あべ友学園問題を斬る」
盛田常夫 (在ブダペスト、経済学者)

 もう70の齢を前にするとさ、若い時とは違って、人を見る目が変わってくるんだよな。少し前までは政治家にならないかって誘いもあったんだけどね、そういう気持ちになれなかったね。正解だったよ。だって、政治家の世界とは肌が合わないもんな。政治家になったら好き勝手なことが言えないんでさ。いつも自分の気持ちや意見を抑えていなきゃいけないってのは、オイラの性にはまったく合わないよ。

 政治家って言うのはさ、「平気で嘘をつく」必要があるんでね、思ってもいないことをさ、シャーシャーと言える図太さがね。「嘘つきは泥棒の始まり」っていうけどさ、今じゃ「嘘つきは政治家の始まり」だよな。いつも嘘ばかりついていたら、人格が悪くなるね。政治家の下で働く官僚もたいへんだよ。あることをないことにしたりさ、言ったことを言わなかったことにしたりして、親分の面子を立てなきゃいけないからね。だから、優秀な官僚ほど政治家になりたくなるのさ。「今度はオレが政治家になって、官僚をこき使ってやる。馬鹿な政治家を見下してやる」ってさ。こういうタイプも人格が悪くなるね。こんな人ばかりが政治家になったら、政治はいったいどうなるだろうね。まるで、「狐と狸の化かし合い」になってしまうよ。
 オイラはさんざん右寄りだって批判されたこともあるけどさ、今の世の中、右も左もないよ。右でも左でも良いけどさ、やっぱり嘘偽りなく、本音を率直に語ってくれる政治家が懐かしいね。右でも高潔で知性のある人はいるし、盲目的で馬鹿なのもいるさ。いろいろだよ。左だって同じなんでね、教条的にイデオロギーを唱えている人なんて、魅力ないさ。それより本音で語ってくれる人の方が、人間として魅力的だよ。

 今問題になっている森友学園や加計学園、何か気持ちがすっきりしないね。オイラの見るところ、すっきりしないのは、ちまちましたことに大騒ぎしなければならないことなんだけどさ、その背後にある人間関係に人の性(さが)を見てしまうからだろうな。
 さんざん森友学園の教育を賞賛していたくせに、メディアで教育内容が暴露されると、手のひらを返すように知らんふりする「知識人」がいるのには驚いたね。右でも左でも、こういう「識者」は人として信用できないね。森友の幼稚園でさんざん教育方針を褒めそやし、1回の講演で80万円とか100万円もらっていたというじゃない。それも一度きりじゃなくてさ。何度も講演していたくせに、「名前を利用されただけ」なんてシャーシャーという「知識人」なんて許せるのかね。オイラに言わせりゃ、こういう輩は「政治屋知識人」だね。
 それにしても、安倍さんも潔くないな。器が小さいね。本当は宰相になる器じゃなかったのに、家系や派閥の力学で首相になってしまって、それに右派が勢いづいて、一生懸命盛り上げているって状態だな。国会の答弁を聴いても器の小ささが分かるよ。森友も加計も、かかわったというより、安倍夫妻が問題の当事者だよ。それを「私や妻が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と啖呵を切ってしまったから、自分で自分の首を絞めることになってさ。官邸は隠すのに懸命になっているけど、傍目には見え見えなんでね、一生懸命逃げているのが官邸だというのは小学生でも分かるさ。それどころか、問題の責任を官僚に責任を押しつけてさ、潔くないよ。器が小さいね。だから、世論調査で安倍内閣を支持しない理由に、「人柄が信頼できないから」(NHK世論調査)が多数を占めるわけさ。何でこの程度の人が宰相になっているのか、ってさ。

 それに比べて、小泉さんはすっきりしていたよ。頭も良かったね。安倍さんは、「劣等生のコンプレックスを抱えた宰相」だから、知性と高潔さに欠けるね。切れ味が全くないもん。もっともさ、オイラの見るところ、19世紀から20世紀にかけての啓蒙主義時代と違ってさ、今はさ、本当に賢くて知性のある人が政治家になるわけじゃなくてね、知性には欠けるけど悪知恵が働く人が政治家向きなんでね。それは世界を見てもそうだな。ロシアだってアメリカだって、知性があって高潔な人が大統領になっているとは、誰も思っていないもんね。その点じゃ、北朝鮮の馬鹿息子と大差ないさ。政治家は威張っているけど、その程度なんでさ。そういう政治家に国民が采配されてるってことだね。まぁ、自分たちで選んだんだから、仕方がないけどね。

 それにしても、菅官房長官の睨みや恨みは恐ろしいね。NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターの降板が突然に決まって、番組がなくなったのはさ、集団的自衛権にかんする菅官房長官へのインタビューで、畳みかけるように厳しい質問を繰り返したことが、菅官房長官を苛立たせたからというのがもっぱらの噂でさ。首相のお友達の会長を通して、現場に下りたんだろうね。そういう命令が。
 そういえば、この菅さん、記者会見で前川前文科省事務次官の「出会い系バー」への出入りを暴露し、事前にその情報を「読売新聞」にリークしてるよね。警視庁か、警察庁かしらないが、公安警察の刑事が尾行してるってことかね。これって、ロシアのKGBか、戦前の思想犯を摘発していた特高(特別高等警察)と同じだな。何度通ったかも調べられているんだから、恐れ入るよ。おいらなんかの素行なんぞも、調べられているんだろうな。事細かに何時何時間、ソープで遊んだとかさ。そんなこと、余計なお世話だけど、怖いね、権力は。
 そういえば、テレビ朝日の報道ステーションで、古賀茂明さんがコメンテーターを外された件も、官邸から陰に陽に、テレビ朝日首脳に脅しが入ったからっていうじゃない。政府に批判的なことを言ったら、民間企業でも放送法を盾に、脅すんだからね。権力をちらつかされると、縮こまってしまうんだね。だから、国連人権委員会任命の「報道の自由」特別報道官がさ、問題を指摘してるんでさ。

 官邸の警察筋の話、5月にレイプ告発した「詩織」さんの証言で、はっきりしたね。官邸には警察官僚が補佐官や秘書官として勤務してるから、この程度の情報を取るのは難しくないってことさ。山口敬之・元TBSワシントン支局長が準強姦罪で逮捕される寸前に、警視庁中村格刑事部長から中止命令が下された経緯も、今となっちゃ明々白々だね。中村部長は菅官房長官の秘書官だったっていうじゃない。彼が勝手に逮捕命令を取り消すことができるわけないんでさ、山口氏が内閣官房に泣きを入れて、官邸筋から中村氏に「なんとかできないか」って言われたんだろうな。アベノヨイショになれば、犯罪も揉み消されるって、今の日本、先進国なんだろうかね。
 それにしても、この中村格という人、古賀さんの降板の際も、菅官房長官に代わって、官邸からテレビ朝日に脅しを入れてきた人らしいね。菅さんから、「将来の警察庁長官だ」と持ち上げられているみたいだから、一生懸命に忠誠を示しているんだろうな。でも、おいらには、戦前の特高部長にしか見えないよ。自らを権力と同化させた権力の犬ほど、怖いもの知らずはいないね。時代が戦前なら、特高部隊を陣頭指揮して、「左翼」を摘発し拷問を加えたのだろうな。

 そんなことを考えていたらさ、「週刊新潮」(6月22日号)の中吊りに、<疑惑追及「女性記者」の身辺調査を指示した官邸の強権>というタイトルがあるのを見てびっくりしたね。東京新聞の社会部の女性記者が、頼りにならない他社の政治部記者を差し置いて、20分近く、菅官房長官の記者会見で食い下がって質問攻めにしたようだ。これがまた、菅さんの気に障ったようだな。菅さんを怒らせると、警察官僚を握っているから、警察権力が出てくるってわけさ。今の政権は、それほど日本を警察国家にしたいのかね。
 だいたい、大新聞の政治記者なんて、定期的に政治家と飲み食いしているから、鋭い追及なんてできないんでさ、それを見かねた社会部記者が、顔をしかめる他社の政治部記者を差し置いて、菅さんを追及したというのが事の真相のようだよ。あっぱれだね。けどさ、またぞろ、警察権力の行使だもんな。これに謀略罪が加われば、まるで戦前の特高と同じだな。KGBも顔負けだよ。

 独裁的な権力が成立する過程には政治家だけでなく、それを支える官僚や政権をヨイショするメディアや物書きがいるんでさ、それはどこの国でも同じだね。ヨイショしてれば甘い汁が吸えて、批判すると睨まれるのもね。
 でも言いたいね。日本には政治が解決すべきもっと大きな問題があるんじゃないの、って。政権批判に警察権力を利用する暇があるなら、もっと将来の日本社会が抱えている重大問題に真剣に取り組んだらどう、ってね。でも無理だろうな。今の政治を担っている人たちは、みな政治屋だからね。
将来の年金制度やインフラの維持管理、原発の廃棄処理、金融緩和策の後始末など、まったく頭にないね。悪知恵は働くけど、劣等生が造る政権では、将来日本の問題を解決するなんて、夢の夢だね。そういう政治家を選んできたのは国民だから、自業自得っていうことかね。おしまい。


2017.07.02    「共謀罪」法の強行採決を決して忘れない
         「声なき声の会」が6・15集会
   
岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 安倍政権が参院本会議で異例の強行手段により成立させた「共謀罪」法が7月11日から施行されるのを前に、同法が成立した6月15日に東京であったささやかな集まりで話し合われたことを紹介しておきたい。それは、反戦市民グループ「声なき声の会」が主催した恒例の「6・15集会」で、57年前の日米安保条約改定阻止運動(60年安保闘争)で死亡した東大生・樺美智子(かんば・みちこ)さんを偲ぶ集いだった。集会では「よりによって、樺さんが亡くなった日に、それも国会審議の慣習を無視した禁じ手で共謀罪法を可決・成立させた安倍政権は許せない。このことは決して忘れない」といった声が相次いだ。

 1960年、岸信介・自民党内閣が日米安保条約改定案(新安保条約)の承認案件を国会に上程。社会党(社民党の前身)、労組、平和団体などによって結成された安保改定阻止国民会議が「改定で日本が戦争に巻き込まれる危険性が増す」と反対運動を展開。これに対し、自民党が5月19日、衆院本会議で承認案件を強行採決したため、これに抗議するデモが連日、国会議事堂を取り巻いた。
 千葉県柏市の画家、小林トミさんらが6月4日、「誰デモ入れる声なき声の会 皆さんおはいり下さい」と書いた横幕を掲げ、新橋から国会に向けて行進を始めた。沿道にいた市民が次々とこれに加わり、その人たちによって「声なき声の会」がつくられた。
 6月15日には全学連主流派の学生が国会南門から国会構内に突入、警官隊と衝突して樺美智子さんが死亡。抗議の声があがる中、新安保条約は6月19日、自然承認となった。
 その後、声なき声の会は「日米安保条約に反対する運動があったことと樺さんのことを決して忘れまい」と、翌61年から毎年、6月15日に集会を開き、集会後、国会南門で献花を続けてきた。今年は57回目だった。
 
 今年の6・15集会は6月15日の午後6時から東京・新宿区の早稲田奉仕園セミナーハウスで開かれた。小さな部屋に集まったのは約30人。常連が多く、大半が中高年。若者の姿はない。それでも、初参加の人が2人いた。「初めての参加者がいてうれしい」と、会場から声があがった。

 この会は何かを決議するということはしない。その代わり、参加者全員が発言する。それも、何を話してもかまわない。「声なき声の会」との関わりや、自らの身辺のこと、地域で起きていることを報告する人もおれば、内外の政治情勢に対する感想や、平和への思いを語る人もいる。

 今年の集会には、いつもと違う空気がただよっていた。緊迫感をともなう重い空気が会場を被っているように感じられた。おそらく、集会に先立つこの日の午前7時40分過ぎ、国会で審議中の「共謀罪」法案が自民・公明両党よる参院本会議での強行採決で可決、成立したからではないかと私には思われた。

 参加者の発言でも、このことに言及した人が多かった。
 ある男性「今朝、国会ですごいことがあったと知った。与党が共謀罪法案を強行採決したというではないか。強く抗議したい」
 初老の男性「自民・公明のやり方は、委員会での採決を省略し、本会議場で委員長の中間報告後にいきなり採決というやり方で、驚いた。まさに、あ然、ぼう然だった」
 板橋からきたと名乗った男性「今朝の新聞を見てびっくりした。日本では民主主義がなくなってしまったのかと。共謀罪法案については、疑問点が究明されなくては、と思っていた。なのに、強行採決で成立させるとは。民主主義が死んだことに憤りを覚える」
 台東区から来たという男性「政治は本来、三権分立に基づいて行われなくてはならないのに、今は安倍首相がすべてを牛耳っている。戦前は治安維持法で大勢の人が殺された。共謀法についても不安を感じる」
 女性の反戦運動家「(共謀罪法案に反対して)昨夜は10時過ぎまで国会周辺にいた。安倍首相は強行採決をする日として、(樺美智子さんが亡くなった)6・15を選んだ。強行採決を6・15にぶつけたのだ。そのことに、怒りを感じる」
 
 強行採決の時、国会周辺にいた63歳の男性の報告もあった。
 「ここ数週間、国会周辺につめかけた。昨夜も11時から今朝の8時45分まで国会周辺で座り込み、『共謀罪法案は絶対廃案』と絶叫した。このため、一睡もしていない。家に帰ると寝込んでしまいそうなので、JRの山手線に乗って2周、この間車内で寝て、この会場にきた」
 「共謀罪法案は、朝7時45分に可決された。8時半、国会周辺にいた人たちで『共謀罪法は絶対廃止』と最後のシュプレヒコールをしたが、私は声が出ず、泣きそうになった。きょうから、死ぬまで『共謀罪法は絶対廃止』と叫び続けたい」

 日本の現状分析、将来展望を踏まえながら、「反戦」を目指す市民としてはこれからどう生きてゆくべきかといった視点から意見を述べた人もいた。そのいくつかを紹介すると――
 
 高齢の男性「57前と比べて日本は悪くなっている。日米安保条約はなくなっていないし、沖縄では新しい米軍基地の建設が進んでいる」
 60年安保闘争のころは高校生だったという男性「驕る安倍首相は久しからず。戦争への暴走を許すな」
 千葉在住の元教員の男性「教員時代、子どもたちには、幅広い視点で世の中を見てほしいと、教科書に書かれていること以外のこと、例えば農業や原発のことなどを話した。しかし、卒業後、彼らに会うと、私の価値観とは違った保守的な人間に育っていた。彼らにしてみれば、いい大学、いい会社に入ることだけが目標だったから、教科書以外のことには関心がなかったのだ。つまり、生活の物質的豊かさだけが彼らの関心事だったのだ。安倍内閣への高い支持率はそうした人間によって支えられている。その安倍内閣は、こうなってほしいと私たちが望んでいる方向とは真逆の方向に進んでいる。私は、これからも抗い続ける」
 1980年からこの集会に参加している女性「最近、ひょんなことから大学に入学したが、学生が真面目でおとなしいことに驚いた。そして、20代の学生の間で安倍内閣支持率が高いのにも驚いた。私自身は、安倍首相がやりたい放題なのが嫌でたまらないのだが、彼らは果たしてそれに気がつくだろうか。若者もいつか気がつくだろうと思いたい。その時、彼らに参考にしてもらえるようなことをしてゆきたい」
 10年前から参加している埼玉在住の男性「運動では、若い人は見かけない。しかし、細くても運動を続けてゆけば、つまり、種をまいてゆけば、運動は続いてゆくのではないか。だから、あまり暗く考えない」
 神奈川県松田町から参加した男性「集団的自衛権行使を可能にする安保法制に反対する運動に参加したが、阻止できなかったので、徒労感がある。が、毎年6月15日に、互いにどこにいるか分からない人たちが集まって国会へ行き、樺さんの霊に献花することの意味は大きい。それは細い灯かもしれないが、燃え続けると、パッと輝き出すかも知れない。私は、意地でも続けたい」
 高齢の男性「安倍首相は憲法9条に自衛隊の存在を追加すると言いだした。いよいよ改憲に向けた作業の始まりである。自民党も日本会議も本格的に動き出すだろう。われわれも先を見越して動き出さねば。われわれにはすることがいっぱいあるのだから」

 これらの意見をメモしながら、ひときわ私の心を捕らえた発言があった。それは、埼玉県でアパートの管理人をやっているという常連の男性のそれだった。
 「これまで、この集会に来て教えられたことがあった。それは、私たちにとって大切なことは『忘れないこと』と『続けること』ということだった。きょうは、もう一つ大切なことを教えられた。それは、『あきらめないこと』だ」

 声なき声の会の6・15集会は来年以降も続きそうである。
2017.07.01  安倍内閣支持率急落、「信なくば立たず」、政権の大義が失われた
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)

 6月23日に告示された東京都議選は早くも終盤を迎えている。序盤戦に行われた各紙の世論調査(6月24、25日実施)では、小池知事率いる「都民ファーストの会」の優勢が伝えられているが、投票先を決めていない有権者が4分の1から半数近くもあるなど、勝敗の行方はまだ定まっていない。選挙情勢が不透明になった背景の一つには、都議選直前(6月19日)に発表された各紙の世論調査で安倍内閣の支持率が急落し、その影響がどれほどの範囲まで及ぶか見極められないことがある。それに内閣支持率も、読売49%、日経49%、朝日41%、毎日36%と10%前後の差があって、どれが本当の姿に近いのか戸惑う人も多い。

 結論的に言えば、読売・日経は「重ね聞き」をするので支持率が高くなり、朝日・毎日は1回だけの質問なので支持率が低くなるのである。ちなみに「重ね聞き」とは、まず内閣の「支持」「不支持」を二択で求め、次に「言えない、わからない」と回答した人に対しては、さらに「どちらかといえば(お気持ちに近い方は)」と「重ね聞き」をして回答を促す調査手法のことだ。「重ね聞き」は、1回目の回答と重ね聞きの回答の両方を足して支持率、不支持率を算出するので、重ね聞きをしなかった場合(1回目だけ)に比べて数字が増える仕組みになっている。「支持」「不支持」とも増えるので結果は一見同じように思われるが、通常は「支持」が「不支持」を上回っている場合が多いので、支持率の伸びが大きくなるのである。

 この調査手法の最大の問題は、1回目の明確な支持・不支持(これを「確かな支持・不支持」という)と2回目の重ね聞きの支持・不支持(これを「なんとなく支持・不支持」という)が等しい重みで足し算されてしまうことだ。普通、「確かな支持・不支持」を1とすれば、「なんとなく支持・不支持」はその半分程度の重みしかもたない。「なんとなく弱い支持・不支持」2人分で1人分と数えるのであればまだしも、両者を量的に等しくカウントするとになると、これは明らかに「水増し統計」になる。事実、今回も読売・日経の内閣支持率は、朝日・毎日に比べて一段と高かった。読売・日経が調査手法を変えないのであれば、1回目と重ね聞きの内訳を記事の中で明確に区分し、読者を「誤解」させたり「誘導」(印象操作)したりしないようにしなければならない。

 前置きはさておき、今回のテーマは各紙の調査手法の違いを分析することではなく、安倍政権を支え続けてきた読売の世論調査においても支持率が急落した原因と背景を解明することにある。これまでの安倍内閣支持率は、安保法制の強行採決や閣僚の不祥事などによる一時的な支持率低下はあったにしても、その都度不思議にも回復し、内閣支持率は全体として高止まりしてきた。とりわけ、今年に入ってからというものは、内閣支持率が「森友疑惑」が発覚した3月を除いて全て60%台に乗せ、安倍首相が「何をやっても下がらない」と勘違いするほどの高支持率が続いてきた。

 読売の世論調査は、内閣の支持・不支持の理由として6つの回答を用意している。これをグルーピングすると、およそ3つのグループに分かれる。
 〇第1グループ、支持政党やそれらに対する相対的評価を基準にして内閣の支持・不支持を決める回答。「自民党中心の政権だから(支持する、支持しない)」「これまでの内閣よりよい、これまでの内閣の方がよい」がこれに該当する。
 〇第2グループ、内閣の政策やそれを担う閣僚に対する評価を基準にして支持・不支持を決める回答。「政策に期待できる、できない」「閣僚の顔ぶれがよい、よくない」である。
 〇第3グループ、首相個人の人格・能力に対する評価を基準にして支持・不支持を決める回答。「首相が信頼できる、できない」「首相に指導力がある、ない」である。

 これらの調査結果は、「支持する」「支持しない」の内訳および「支持する理由(計100%)」「支持しない理由(同)」の内訳が表されるので、読者は支持・不支持それぞれの場合の理由の重みを知ることができる。しかしここでは調査結果の全体構造を分析するため、回答数全体を母数(100%)にして6回答(支持理由3、不支持理由3)が回答全体に占める割合を算出し、その分布範囲(最低%~最高%)を示すことにする。たとえば、支持率60%、不支持率30%の世論調査の場合は、支持理由の「政策に期待できる」の全体に占める割合は〈支持率60%×支持理由16%=9.6%〉となり、不支持理由の「政策に期待できない」の割合は〈不支持率30%×不支持理由26%=7.8%〉になる。

 2017年1月から5月までの5回分及び2017年6月分調査の支持・不支持理由の結果(最低%~最高%)は以下の通りである。
【支持理由、1~5月→6月】
 〇「自民党中心の政権だから」最低4.3~最高7.2%(以下同じ)→5.9%
 〇「これまでの内閣よりよい」23.2~27.5%→22.5%
 〇「政策に期待できる」7.3~9.8%→5.4%
 〇「閣僚の顔ぶれがよい」0~0.7%→0.5%
 〇「首相が信頼できる」6.2~8.5%→7.3%
 〇「首相に指導力がある」8.5~13.4%→6.4%

【不支持理由、1月~5月→6月】
 〇「自民党中心の政権だから」5.3~6.9%→8.6%
 〇「これまでの内閣の方がよい」0.6~1.3%→1.2%
 〇「政策に期待できない」5.8~9.6%→6.6%
 〇「閣僚の顔ぶれがよくない」2.2~4.3%→2.9%
 〇「首相が信頼できない」5.3~10.7%→20.0%
 〇「首相に指導力がない」0.8~1.6%→0.4%

 支持理由からすると、安倍内閣は今年1月から5月にかけては「これまでの内閣よりよい(まし)」と思う「ソフトな保守支持層」(26%前後)と「自民党中心の政権だから」と考える「ハードな保守支持層」(6%前後)に支えられ、3割を優に超える安定した支持基盤を維持してきた。これに「政策に期待できる」(8%前後)、「首相に指導力がある」(11%前後)、「首相が信頼できる」(7%前後)と評価する「保守系無党派層」(26%前後)が加わり、全体としては6割を超える強固な支持基盤を築いてきたのである。しかし、支持率が急落した今回の6月調査においては、「ソフトな保守支持層」(23%)がやや減り、「政策への期待」(5%)が急減し、「首相の指導力」(6%)が半減したことの影響で、「保守系無党派層」(20%)が相当縮小したことが注目される。

 不支持理由に関しては、1月から5月にかけては「自民党中心の政権だから」(6%前後)、「政策に期待できない」(8%前後)、「首相が信頼できない」(8%前後)など、20%前半に低迷していたが、6月調査になって「首相が信頼できない」(20%)が一挙に跳ね上がり、全体として40%を超えるまでに増大した。不支持理由は、政策や閣僚、首相の人格や能力について敏感に反応するのが特徴で、「首相が信頼できない」「政策に期待できない」はその指標と言える。これに「自民党中心の政権だから」と拒否する「ハードな革新支持層」(6%前後)を加えた2割強がこれまで「アンチ保守層」を形成していた。ところが、支持率が急落した6月調査では不支持理由に一大変化が生じたのである。

 これまでの調査では、「首相が信頼できない」「政策に期待できない」が常に1位、2位を占めてきたが、今回は「首相が信頼できない」がダントツ1位で20%に達し、2位は「自民党中心の政権だから」(9%)、3位は「政策に期待できない」(7%)と続いた。これは内閣支持・不支持のメルクマールが「首相の人格」に1点集中的にシフトしたとも言える劇的な変化を示すものだ。この背景には、これまで安倍内閣を支持してきた「ソフトな保守層」や「保守系無党派層」の一部が不支持に転じ、その受け皿になったのが「首相が信頼できない」という不支持理由だったことを窺わせる。先程の支持理由の分析と併せて言えば、安倍内閣支持層の本体はまだ崩れていないが、その表層部分である「ソフトな保守層」や「保守系無党派層」の一部が首相の人格に見切りをつけて離反しつつあることを示しているのである。

 東京都議選に関する世論調査を6月26日に発表した読売新聞は、小池知事率いる「都民ファーストの会」の優勢を伝えると同時に、安倍内閣の支持率の行方に関しても次のような結果を記している。「自民党は、加計学園問題などで世論の批判にさらされるなかでの選挙になった。都内有権者を対象とした今回の調査では、安倍内閣を『支持する』と答えて人は前回調査から9ポイント下落して39%、『支持しない』と答えた人は50%だった。『支持する』と答えた人の投票先でも自民党候補は46%にとどまっており、浸透し切れていない」。全国世論調査で安倍内閣の支持率が30%台になったことはこれまでないが、その予兆が東京であらわれたというわけだ。

 おまけに、豊田真由子衆院議員(自民、埼玉4区選出、当選2回、女性、42歳)の秘書暴行事件が都議選告示日前日の6月22日、怒号と罵声の録音入りで発覚して日本中を駆け巡った。稲田防衛相も負けていない。6月27日夕、東京都板橋区で行った都議選の自民党公認候補の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と呼びかけた。防衛相が自身の地位に言及して所属政党の公認候補への支持を呼びかけるのは、明らかに自衛隊法違反で自衛隊の政治利用そのものだ。稲田氏は同日深夜、「誤解を招きかねない発言があった」として撤回したが、例によって辞任はおろか発言の責任も取っていない。国政選挙の前哨戦とも言われる東京都議選の選挙結果が待たれる。