2007.07.31 参院選結果社説 際だつ中央紙と地方紙の差
田尻孝二 (生協役員)


安倍路線の評価を巡って

 参院選挙は自民党の歴史的敗北という結果で終わりました。当然のことながら30日の朝刊各紙の社説は選挙結果の論説で埋め尽くされています。
 戦後レジームからの脱却を掲げて安倍政権はこの10ヶ月に教育基本法の改正、国民投票法、防衛庁の省昇格と荒業を次々と繰り出してきました。今回の国民の審判はこれらの施策にもはっきりとNOを突きつけたのか…。新聞は民意をどう汲み取ったのでしょう。各社説を読んでの印象はまったくバラバラです。ならば、それらを比較検討してみることは各新聞の姿勢をチェックする格好の方法ではないでしょうか。

 産経、読売、日経の全国紙三紙は「選挙の結果が安倍政権の示した国の形の方向を国民が否定した」とは考えていないようです。むしろ、敗因を意図的に別のところに切り離して述べています。

 産経は敗因を「政治とカネ」をめぐる有権者の政治不信と「清新な候補者を用意できなかったこと」だと書いています。その上で政権の政治路線を支持していますが、下の社説で言う「実現態勢の不備」という表現は抽象的過ぎて内容ガ見えません。

 「戦後レジーム(体制)」からの脱却を掲げ、憲法改正を政治日程に乗せ、教育再生の具体化を図るなど、新しい国づくりに向かおうとした安倍首相の政治路線の方向は評価できるが、それを実現させる態勢があまりに不備であったことは否定できない。(産経新聞)

2007.06.03 メディア企業の買収劇
大貫康雄


 メディア企業も株式市場に上場している限り、当然のことだが買収、合併の嵐に巻き込まれる。

 ロイター通信がカナダのメディア企業に買収された。ただロイターの名は変えず、編集方針もこれまで通り、とのこと。ロイターの名を残すのは当たり前だ。情報が金に結びつくのを資本主義世界に知らしめた男が作った通信社だ。ロイターという名前はルクセンブルクやドイツ西南部で最も多い名前であることから決めた。今日では世界的に知られる「ロイター」という名前に金が繋がる。カナダの企業が「ロイター」の名を残し、編集方針もこれまでにしたのはその方が都合が良いからだろう。
2007.05.21 護憲派と改憲慎重派が多数を占める
岩垂 弘 (ジャーナリスト)

憲法記念日の新聞論調


 今年は、日本国憲法が施行されてから60年。そのせいか、全国の新聞(日刊紙)は憲法記念日の5月3日を中心に社説欄あるいは論説欄で日本国憲法を論じた。安倍首相が改憲を参院選挙の争点にすると明言、しかも国民投票法案の採択直前とあって、新聞による今年の憲法をめぐる論議は自ずと「9条改正是か非か」の性格をおびた形となった。そこで、憲法問題を論じた全国の日刊紙の社説・論説に目を通してみたが、おおまかにいって、「改憲派」はわずかで「護憲派」「改憲慎重派」が多数を占めた。

 国立国会図書館新聞閲覧室では、全国の日刊紙が閲覧できる。数えてみたら、北海道から沖縄までの全国紙と地方紙合わせて52紙。うち8紙には社説・論説欄がない。残り44紙のうち43紙が、5月3日かその前後に社説あるいは論説欄で憲法を論じていた。
 憲法記念日の前に実施された、いくつかの新聞社・通信社の全国世論調査によれば、いずれも改憲を望む国民が過半数を占めたと伝えられていた。だから、これを反映して各紙の社説・論説も改憲を支持するものが多いのではないかと推測していたが、各紙に目を通すと意外にもこの推測は外れた。
 なかには、すっきりと色分けしにくいものもあった。が、あえて分類すると、改憲支持は3紙、論憲が12紙、護憲が21紙、改憲は慎重にといった立場のものが7紙だった。