2007.03.30
北朝鮮に翻弄された米国
伊藤 力司
ネオコン路線の破綻
3月19日から北京で開かれた6カ国協議は22日、尻切れとんぼで休会となった。米国が約束した金融制裁解除でマカオの銀行から返金されるはずの2500万㌦が届いていないといって、北朝鮮の金桂冠首席代表が挨拶なしに帰国してしまったからだ。
今回の6カ国協議は2月の協議でまとまった共同文書に基づく初期段階の措置、つまり60日以内に寧辺の核施設を閉鎖するという約束を具体化するための話し合いが眼目だった。だが北朝鮮は金融制裁が解除されない限り、本題に入らないという強硬姿勢を貫いた。
昨年秋以降、ブッシュ政権は北朝鮮に対する強硬路線を転換して譲歩を重ね、ようやく核施設閉鎖と国際査察再開の合意を取り付けたのだが、金融制裁解除の詰めが甘かったために、4月中旬までに核施設閉鎖という目標の実現が危なくなった。いわば世界唯一の超大国が「悪の枢軸」と嘲弄した北朝鮮に翻弄されている格好である。