2007.07.31
参院選結果社説 際だつ中央紙と地方紙の差
田尻孝二 (生協役員)
安倍路線の評価を巡って
参院選挙は自民党の歴史的敗北という結果で終わりました。当然のことながら30日の朝刊各紙の社説は選挙結果の論説で埋め尽くされています。
戦後レジームからの脱却を掲げて安倍政権はこの10ヶ月に教育基本法の改正、国民投票法、防衛庁の省昇格と荒業を次々と繰り出してきました。今回の国民の審判はこれらの施策にもはっきりとNOを突きつけたのか…。新聞は民意をどう汲み取ったのでしょう。各社説を読んでの印象はまったくバラバラです。ならば、それらを比較検討してみることは各新聞の姿勢をチェックする格好の方法ではないでしょうか。
産経、読売、日経の全国紙三紙は「選挙の結果が安倍政権の示した国の形の方向を国民が否定した」とは考えていないようです。むしろ、敗因を意図的に別のところに切り離して述べています。
産経は敗因を「政治とカネ」をめぐる有権者の政治不信と「清新な候補者を用意できなかったこと」だと書いています。その上で政権の政治路線を支持していますが、下の社説で言う「実現態勢の不備」という表現は抽象的過ぎて内容ガ見えません。
「戦後レジーム(体制)」からの脱却を掲げ、憲法改正を政治日程に乗せ、教育再生の具体化を図るなど、新しい国づくりに向かおうとした安倍首相の政治路線の方向は評価できるが、それを実現させる態勢があまりに不備であったことは否定できない。(産経新聞)
2007.07.30
とりあえず改憲阻止に成功した参院選
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
今回の参院選の最大の成果は、とりあえず3年後の改憲発議を阻止し得たことでしょう。 周知のように、安倍首相は年初めから「憲法改正」を参院選の争点にすると公言し、「私の内閣で」「私の任期中に」憲法を改正したい、と並々ならぬ意欲を燃やしてきました。しかし、選挙の結果、自公勢力が参院で過半数を割ったことで、3年後に衆参両院の3分2以上の議員により改憲発議がなされるという事態はひとまず避けられました。護憲派にとっては、勝利です。
ただ、手放しで喜ぶことはできません。民主党が「創憲」を掲げているからです。
同党は04年6月23日、憲法提言中間報告を発表したが、冒頭に「文明史的転換に対応する創憲を」という項目があり、そこで「日本では、一方に、既成事実を積み重ねて憲法の『空洞化』を目論む動きがある。他方には、憲法の『形骸化』にもかかわらず、それを放置しようとする人たちがいる。私たちは、憲法の空洞化も形骸化も許さず、これを国民生活の中に生きたものとしいて発展させていく。目先の利害や政治的駆け引きにとらわれることなく、50年、100年先を見通した、骨太の憲法論議か必要である」としています。
2007.07.29
妥協はやめよう!
田畑 光永 (ジャーナリスト)
暴論珍説メモ(17)
今日29日は参院選の投票日である。この選挙にわれわれはどう臨んだらいいのだろうか。「護憲・軍縮・共生」を掲げるわれわれとしては、まず、「安倍・自民党には投票しない」。これを第一の原則とすることに反対する人は多くないはずだ。安倍内閣はどう見てもわれわれの目指すものと反対の方向に進んでいる。幸いにして各種世論調査によれば、自民・公明の与党陣営は過半数確保に必要64議席を獲得することは難しいばかりでなく、自民党は40以下の議席しかとれない可能性もあるという。そうなることを期待したい。
とすれば、どの党の誰に投票すべきか。これはなかなか難しいが、あえて第二の原則として、「妥協して民主党に投票することはしない」を掲げたい。民主党は野党第一党であり、候補者の数も多い。民主党の当選者を沢山出すことは、与党を敗北に追い込む早道に見える。
2007.07.27
民主党候補者の護憲度
田尻孝二 (生協役員)
名は体を表すというが政党に関しては違う。政党名を見ただけでは候補者の考えが分からないのである。特に民主党は色々な主義主張の寄り合い所帯である。事前の調べを欠けば自分と全く違う考えの人に投票してしまうこともあり得る。そこで、前回と同様に憲法問題にしぼって民主党の全候補者の主張をまとめた。データは毎日新聞の候補者アンケートに拠る。
今回は回答を数値化して護憲度を算出した。結果は並べ替えて色分けし見やすくしてある。民主党候補者の護憲度が一目でわかる。ぜひ、29日の投票の際の参考にしていただきたい。

それでは、選挙区のほうから見てみよう。
2007.07.25
考察 憲法9条、候補者アンケートで見えるもの
田尻孝二 (生協役員)
いよいよ投票日が近づいて来た。選挙区は人で選ぶ。大切な一票、よく考えて自分の代弁者となる候補者を選ばねばならぬ。争点は種々あるが、わたしの関心は憲法にある。そこにしぼって東京選挙区の候補者たちの主張をまとめてみた。
考察は毎日新聞の候補者アンケートをもとにしている。ボートマッチ(政党相性度チェック)作成の際に実施した21問である。今回、憲法に関わる質問を選び候補者の主張を比較できる一覧を作成した。
回答は毎日新聞が予め用意した選択肢の中から自分の考えを選ぶ形式で行われた。考察で採り上げた4つの設問と選択肢は以下のようである。
Q 憲法を改正すべきだと思いますか。
1 改正すべきだ
2 改正すべきでない
Q 憲法9条を改正すべきだと思いますか。
1 改正すべきだ
2 改正すべきでない
Q 憲法9条と自衛隊の関係についてあなたの考えに近いものを一つ選んでください。
1 海外でも武力行使できる軍隊の保有を憲法に明記すべきだ
2 専守防衛を前提に自衛隊の保有を憲法に明記すべきだ
3 憲法9条を改正せず、自衛隊も現状のままでいい
4 憲法9条を改正せず、自衛隊は縮小すべきだ
Q 現憲法下で集団的自衛権の行使は認められていると思いますか。
1 認められる
2 認められない
1 改正すべきだ
2 改正すべきでない
Q 憲法9条を改正すべきだと思いますか。
1 改正すべきだ
2 改正すべきでない
Q 憲法9条と自衛隊の関係についてあなたの考えに近いものを一つ選んでください。
1 海外でも武力行使できる軍隊の保有を憲法に明記すべきだ
2 専守防衛を前提に自衛隊の保有を憲法に明記すべきだ
3 憲法9条を改正せず、自衛隊も現状のままでいい
4 憲法9条を改正せず、自衛隊は縮小すべきだ
Q 現憲法下で集団的自衛権の行使は認められていると思いますか。
1 認められる
2 認められない
驚くべきことに東京選挙区の主だった候補者は全員が「憲法9条を改正すべきでない」と答えている。しかし、全員が同意見であろうはずがない。この問題は自衛隊の在り様の評価を背中にくっ付けている。だから、いくつかの関連質問の答え方を総合して初めて候補者が見えてくるのである。
アンケートの回答の一覧を見る前に「自衛権」についての簡単なまとめをご覧いただきたい。
国際法では国家に自衛権を認めている。
国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。(国連憲章)
政府は自衛権の発動に3つの要件を示している。(72年田中内閣)
第1.わが国に対する急迫不正の侵害があること。
第2.これを排除する他の手段がないこと。
第3.必要最小限度の実力行使にとどめること。
歴代内閣はこの3条件を満たして守りに徹する、いわゆる専守防衛の考え方の中で自衛隊は憲法違反でないと言い続けてきた。第2.これを排除する他の手段がないこと。
第3.必要最小限度の実力行使にとどめること。
次に集団的自衛権の政府見解は以下のようである。(81年政府答弁)
国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されてもいないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされている。
我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている
我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている
それではアンケートの結果を見てみよう。
2007.07.24
中国統一高考 名門をソデにー異変の目立った大学統一入試
丹藤佳紀 (早稲田大学講師)
こんな言葉が! (13)中国で
9月から新学期の始まる中国では、学期末の6月、全国一斉に行なわれた「統一高考」(全国統一高等院校=大学・高専=入試)の結果がこのほど発表された。例年同様、合格、不合格の結果から悲喜こもごもの状況が展開されている。
文化大革命で中断され、復活して30年目になる今年の「統一高考」では一つの異変が注目された。本土に復帰して10年目を迎えた香港の大学の合格最低点がぐっと高くなり、本土の高得点の受験生が香港の大学を目指す動きが目立ったのである。
中国の「統一高考」では、最高点を獲得したナンバーワン受験生は「状元」と称えられ、北京市、雲南省など地区ごと、文科・理科別に氏名・得点・出身校が公表される。本人はもちろん、家族や親戚そして出身校にとっても晴れがましいことだろう。
「状元」というのは、かつて、官僚登用試験の科挙で、最終の殿試(でんし)に第1位で合格した受験生に与えられた称号だ(現在の用法は、清朝末期に途絶えた科挙の名残りということか)。
2007.07.23
非核投票キャンペーンに参加しませんか
参院選では「非核三原則」堅持の候補者と政党に投票を
「非核投票キャンペーン」という市民運動が繰り広げられている。来る7月29日の参議院議員選挙で、「非核三原則」の堅持を明確にする候補者及び政党に投票しよう、という運動だ。これまで、日本では、このような運動が試みられたことはなく、新しい形態の非核運動といえる。
「非核三原則」とは「日本は核兵器持たず、つくらず、持ち込ませず」という 核兵器に関する政府の基本政策で、国是とされる。
政府がこの方針を打ち出したのは、1959年の国会で、当時の岸首相が「防衛用小型核兵器なら憲法上許されるが、政策として自衛隊に核武装させないし、米軍にも核兵器を持ち込ませない」と答弁したのが最初。その後、佐藤首相が1968年の施政方針演説で、「非核三原則」とは「核兵器の開発、これは行わない。また核兵器の持ち込み、これを許さない。また、これを保持しない」ことであると述べ、これに「米国の核抑止力に依存する」ことを加え、日本政府の核政策は四本柱からなるとした。その後、1971年の沖縄国会で、衆院本会議が自民、公明、民社の三党(社会、共産両党は欠席)が「非核三原則」を決議した。
しかし、日本に入港する米国の艦艇や在日米軍基地に核兵器が持ち込まれているのではないかという疑惑は、1974年のラロック退役米海軍少将の証言、1981年のライシャワー元駐日大使の証言などによってしばしば再燃し、「持ち込ませず」の原則は大きく揺らいでいる。さらに、2006年10月に行われた北朝鮮の核実験を機に、一部閣僚や政治家から「日本核武装についても論議すべきだ」との発言がなされるなど、国会議員レベルでは核武装を容認する意見が強まっている。
「非核投票キャンペーン」という市民運動が繰り広げられている。来る7月29日の参議院議員選挙で、「非核三原則」の堅持を明確にする候補者及び政党に投票しよう、という運動だ。これまで、日本では、このような運動が試みられたことはなく、新しい形態の非核運動といえる。
「非核三原則」とは「日本は核兵器持たず、つくらず、持ち込ませず」という 核兵器に関する政府の基本政策で、国是とされる。
政府がこの方針を打ち出したのは、1959年の国会で、当時の岸首相が「防衛用小型核兵器なら憲法上許されるが、政策として自衛隊に核武装させないし、米軍にも核兵器を持ち込ませない」と答弁したのが最初。その後、佐藤首相が1968年の施政方針演説で、「非核三原則」とは「核兵器の開発、これは行わない。また核兵器の持ち込み、これを許さない。また、これを保持しない」ことであると述べ、これに「米国の核抑止力に依存する」ことを加え、日本政府の核政策は四本柱からなるとした。その後、1971年の沖縄国会で、衆院本会議が自民、公明、民社の三党(社会、共産両党は欠席)が「非核三原則」を決議した。
しかし、日本に入港する米国の艦艇や在日米軍基地に核兵器が持ち込まれているのではないかという疑惑は、1974年のラロック退役米海軍少将の証言、1981年のライシャワー元駐日大使の証言などによってしばしば再燃し、「持ち込ませず」の原則は大きく揺らいでいる。さらに、2006年10月に行われた北朝鮮の核実験を機に、一部閣僚や政治家から「日本核武装についても論議すべきだ」との発言がなされるなど、国会議員レベルでは核武装を容認する意見が強まっている。
2007.07.22
映画「ワルキューレ」トム・クルーズが出演で…
大貫康雄
ナチス時代の悲劇の英雄を描く映画制作を巡り、”危険思想”の排除か、報道・表現の自由かで論争
この映画は、第二次大戦末期の1944年、ヒトラー暗殺計画に失敗、処刑されたクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐の生涯を描く。ドイツ人にとってはナチス時代の悲劇の英雄だけに映画制作に基本的に文句は無い。ところが主演の大佐をアメリカの俳優トム・クルーズが演じる、ということから話は簡単でなくなった。
トム・クルーズは、サイエントロジーという新興宗教の信者。この団体はドイツやフランスでは、教義がいい加減で金儲けが目的の「似非宗教・カルト」とみなされ、公共の施設の使用などを締め出されている。特にドイツでは、サイエントロジーの教義がナチスを好意的に捉えているとして警戒されている。
2007.07.20
ある宮本顕治論
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
三つの功績と一つの"罪"
日本共産党の宮本顕治・元中央委員会議長が7月18日、老衰のため亡くなった。九十八歳だった。その訃報を聞いて、私の脳裏にとっさにひらめいたのは、八十五年に及ぶ同党の歴史のなかでも最も共産主義者らしかった人物がついに亡くなったか、という感慨だった。同党はこれまで数多くの著名な指導者を生んできたが、宮本氏ほど長期にわたって党に君臨し、党の歴史に決定的な影響を与えた人物は他にはいないからである。
日本共産党は、政府による弾圧で、戦前は非合法の活動を余儀なくされた。このため、多くの犠牲者を出し、非転向の党幹部は獄中生活を強いられた。徳田球一、志賀義雄は「獄中十八年」、宮本氏は「獄中十二年」である。野坂参三は海外に亡命し、ソ連、中国で活動した。
敗戦後、これらの共産党幹部は活動を始めるが、1950年に党が分裂してしまう。
この年、欧州各国共産党の情報連絡機関だったコミンフォルムが、戦後の日本共産党の指導理論だった「占領下平和革命論」(野坂理論)を「マルクス・レーニン主義とは無縁で、米帝国主義を賛美するもの」と非難したことから、この論評をめぐって、共産党内で意見の対立が生じ、幹部は、論評の受け入れを主張する志賀、宮本両氏らの「国際派」と、これに反対する徳田、野坂両氏らの「所感派」に分かれた。同党は結局、その後の拡大中央委で論評の受け入れを決めるのだが、両派の対立はかえって深まった。
対立はこの年、マッカーサー連合国軍(GHQ)最高司令官が共産党中央委員を追放したことから、決定的な局面を迎える。徳田、野坂氏ら所感派が、志賀、宮本氏らの国際派を置き去りにして地下にもぐってしまったからだ。中央委員会は解体状態となり、分裂は全党に及んだ。
その後、所感派は1951年に暴力革命唯一論に立つ「五一年綱領」を採択する。こうして、所感派による極左冒険主義時代が始まり、各地で火焔びん闘争が続発する。その結果、国民に見放され、党勢は著しく減退する。こうした経過を経て、1955年、両派参加のもとに第六回全国協議会(六全協)が開かれ、党はようやく統一を回復する。
国際派で極左冒険主義と無縁だった宮本氏は、六全協後、急速に党運営の実権をにぎり、1958年の第七回大会で書記長に選出される。当時、同党の書記長は実質的に党最高指導者であったから、宮本氏はこの時、党の頂点に立ったわけである。
2007.07.19
lame duck (レームダック)脚の不自由なアヒル 転じて「死に体政権」
伊藤力司 (ジャーナリスト)
こんな言葉が! (12) アメリカで
このごろ日本の新聞にも、レームダック(死に体政権)という言葉が載ることがある。言わずと知れたアメリカのブッシュ政権を形容する言葉だ。lame duck の文字通りの意味は「脚の不自由なアヒル」だが、政治用語としては「求心力を失ったよたよたの政権」を意味する。
任期4年のアメリカ大統領は再選までで3選はできないから、最長でも8年で退任する。有能で人気の高い大統領でも、2期目任期の最後の年には求心力を失う。特に任期が残り半年を切ると、レームダック化するのが普通だ。
アメリカ大統領選挙は4年ごとの11月第1火曜日に行われ、当選者は翌年の1月末に就任する。したがって再選された大統領も2期目の任期が終わる半年前、つまり最後の年の7月頃からレームダックと呼ばれるようになる。
2007.07.17
ボートマッチ「VoteMatch」って、ご存知ですか?
田尻孝二 (生協役員)
参院選を前にして比例区の投票用紙に書く政党名に悩んでいる。そこで、ネットで話題のボートマッチのツールを試してみた。
ボートマッチとは政党と自分の考え方との相性である。先ず、オランダで議会選挙にボートマッチツールが使われ、それがドイツなどに広まった。オランダでは2007年に476万人もの人が利用したという。日本でも今回の参院選前に毎日新聞と大学の研究グループの二つからボートマッチングのツールが発表された。どちらもインターネット上でかんたんに利用できる。
2007.07.16
星巴克珈ロ非(Xingbake kafei=シンバーコォ・カーフェイ) スターバックス、世界遺産「故宮」から"撤収"
丹藤佳紀 (早稲田大学講師)
こんな言葉が! (11)中国で
現代中国語では、英語、フランス語など欧米からの外来語は原則として漢字語に置き換えられている。日本ではカタカナで発音を表してそのまま使うケースが多いため、カタカナ語が増加する一方だ。
中国語への置き換えは、大きく分けて3つの方法で行なわれる。第一は、その意味をとって漢字語に翻訳する方法。たとえば、パーソナル・コンピュータを「電脳」としたことなどは近年のヒット作だ。
二つ目は原語の音に近い音の漢字を充てて音訳するやり方。コカコーラを「可口可楽」(中国語音のローマ字表記ではKekou kele)とした例がこれ。ただ、この訳には「口にすべし、楽しむべし」という意味も含まれている。
第三がその抱き合わせ、折衷方式である。名訳といわれる例がミニスカートを「図左」(miniqun)としたケース。「君を迷わせる」で発音はミニになり、最後の1文字でスカートを表す。2007.07.14
「慰安婦」決議 桜井よし子さん、お気を確かに
田畑 光永 (ジャーナリスト)
暴論珍説メモ(16)
またまたこの問題だが、6月14日の米紙『ワシントン・ポスト』に日本の評論家や国会議員が「事実」と題する全面広告を出し、それがかえって米国内で反感を買い、決議を成立させる方向に働いたとされる、その広告について発起人の一人の桜井よし子氏が『文藝春秋』8月号にその内容と意図を紹介してくれたので、今回はそれに絞って取り上げる。
桜井さんの文章は「米国民に訴える『慰安婦』意見広告」と題するもので、まずマイク・ホンダ議員の「決議案には事実関係において決定的な間違いがある。アメリカの心ある政界や知識人に『事実』を伝えなければ、永遠に日本は誤解され続けるという思いから、意見広告を掲載する運びとなった」と、その意図を説明する。
そしてその決議案の決定的な間違いとは、「日本国政府は(戦争中、アジア及び太平洋諸地域で)世界に『慰安婦』として知られる、若い女性を日本帝国陸軍が強制的に性的奴隷化したことに対する歴史的な責任を、(認め、謝罪すべきである)」という部分であるという。
「広告」は「FACT 1」から「FACT 5」までを挙げて、反論を加える。
2007.07.13
元防衛相に読ませたい 伊藤明彦著の「夏のことば ヒロシマ ナガサキ れくいえむ」
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
久間章生防衛大臣が原爆投下を「しょうがないなと思っている」と講演で述べたと聞いた時、私の脳裏に一瞬ひらめいたのは、この4月末に刊行されたばかりの一冊の本だった。伊藤明彦著の『夏のことば ヒロシマ ナガサキ れくいえむ』である。
「ある一事に生涯を賭ける」という言葉がある。特定の仕事に全身全霊を打ち込んだ人を生き方を紹介する時によく使われるが、これほど言うはやすくして実行しがたい言葉もない。が、世の中にはそうした生き方を実際にしている人が、まれにいる。本書の著者、伊藤明彦氏もその一人だろう。
伊藤氏は1936年生まれ。録音機をかついで原爆被爆者を訪ね、被爆体験を語らせ、それを収めたテープやCDを全国の図書館や平和資料館などに寄贈しつづけているジャーナリストである。そうした活動を始めたいきさつ、活動の中で出合った困難、そして、活動を通して知った被爆の実相と被爆者の心情を伊藤氏自らが書きつづったのが本書だ。
2007.07.11
環境問題に本格的の取り組み始めた広東省
早房長治
(地球市民ジャーナリスト工房代表)
(地球市民ジャーナリスト工房代表)
高度成長との両立は可能か 規制厳格化がカギ
広東省は、上海市、浙江省などとともに、中国の高度成長の主要エンジンの一つである。
私(早房長治)は、このほど、広東省の広州、深セン(センは土偏に川)、珠海の三市を中心に約1週間、滞在し、環境と環境政策の現状を中心に取材した。その結果を、いささかスケッチ的ではあるが、報告する。現状を、一口でいえば、「地方政府は高度成長政策を捨てていないが、中央の指令に従って、本格的な環境対策に、やっと取り組み始めた」ということである。
深セン市は、中国最初の経済特区に指定されたことから、30年前の人口1000人以下の寒村から、現在、人口1200万超の東京並みの大都市に奇跡的な急成長を遂げた。しかし、白地の上に計画的に都市を建設したため、道路は広く、緑も多く、整然としている。
同市は1980年代以降、年10〜15%(実質)の経済成長を続けてきた。これに伴って、環境悪化が進んだのはいうまでもない。同市は都市計画が行き届いているせいか、大気は高度成長期の東京ほど汚染されていないが、90年代以降、水と大気の汚染を中心として、環境問題は、市民の健康面からも無視できなくなっている。市当局は2005年から環境問題を本格化させた。
陳応春・副市長(環境問題担当)によると、当面の主な環境対策は次の通りである。
2007.07.10
安倍政権の本質から目をそらすな
田畑 光永 (ジャーナリスト)
暴論珍説メモ(15)
長い国会が先週やっと終わって、政治への関心は29日投票の参議院選挙に集中することとなった。そして8日の日曜日、新党日本の田中康夫代表まで含めて7人の党首(こんなにいるんだ)が早朝から立て続けに三つのテレビ局で顔をそろえて、「初論戦」(フジ)、「徹底生討論」(NHK)、「真剣勝負の生バトル」(テレ朝)を繰り広げた。
しかし、そこでの話題はほとんど「年金未統合記録」、「赤城農水相の事務所費」、「久間前防衛相のしょうがない発言」、そして「消費税」に終始して、国会終盤の与野党のなじり合い、そしり合いを再現しただけに終わった。
それぞれ大事な問題ではあろう。年金は国民の生活設計の基礎をなすものだし、政治と金の問題はことあるごとに監視をおこたってはならないし、閣僚の失言もその根底にあるものをきちんと暴かなければならないだろう。しかし、これらをめぐるなじり合い、そしり合いは正直なところもう沢山である。党首に国会対策委員長クラスの口喧嘩はして欲しくない。
話題の中では「消費税」がいくらかまともな政策論争の気味はあったが、それも安倍首相の「私は消費税を上げないとはひと言も言ってない」という日本テレビでの発言をとらえて、
野党は「そら見ろ、本音がこぼれた。上げるなら上げるとはっきり言え」と言質を取ることにばかりに力を注ぎ、安倍首相は「上げないですむ可能性も大いにある」と逃げを打つことに汲汲とするばかりで、論戦といえるほどのものではなかった。
2007.07.09
視覚障害者にやさしい党はどこ?
田尻孝二 (生協役員)
政党ホームページで考えるユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、「みんなにやさしいデザイン」である。年齢や性別、障害の有無などと関わりなく、だれもが利用しやすい用具・建物・環境のデザインを意味している。今日では、ホームページのような情報、コミュニケーションの分野でも広く浸透している概念である。
インターネットは、さまざまな環境の人々が利用している。先ず使用しているPCの相違がある。通信環境の格差も大きい。利用者も多様である。ユニバーサルデザインのホームページであるためには高齢者や障害者に対しての配慮が十分でなければならない。
視覚障害者が利用するホームページ読み上げソフトがあり、広く使われている。数字キーの操作で画面上の文章を読み上げ容易に目的の情報にたどりつけるのである。このソフトが機能するためにはいくつかの要件がある。ページ内の文章の主従の関係が明らかであること。写真や図版などの視覚情報がテキストで代替されていることなどである。自治体等の公共性の高いホームページは、既にこれらを十分満たしている。
折しも参院選が間近に迫っている。「政党ホームページではどうであろうか」というのが今回の試みである。どの政党も弱者の尊重は謳っているが、マニフェストを評価するのとは別の意味で政党の姿勢の実際はこんなところに表れると思うからである。国民の声に最も敏感な時期を狙ってこの記事を上げる。対応の遅れている政党の改善を切に願っている。評価ツールとしてIBM社の aDesigner(エーデザイナー)を使用した。
さて気になる結果はどうかというと…。
2007.07.08
やめたい「唯一の被爆国」
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
外国人被爆者を忘却させ、「日本だけ被害」が浸透
「またか」。一度定着した表現はなかなか改まらないな、とつくづく思う。久間章生防衛大臣の「原爆発言」をめぐる動きや報道で氾濫する「唯一の被爆国」という表現である。
周知のように、久間防衛相は6月30日、千葉県柏市での講演で「原爆を落とされて長崎は無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったのだ、という頭の整理で今、しょうがないなと思っているところだ」(7月1日付毎日新聞)と発言した。これに対し、被爆者団体、平和団体、野党、政治家らから一斉に「米国による原爆投下を容認するものだ」と抗議の声が上がり、マスメディアも批判的な論説を展開した。このため、当初辞任の意思はなかった久間防衛相も7月3日、ついに辞任に追い込まれた。ところで、私にとってやりきれなかったのは、抗議の談話や批判の論説の中で「日本は『唯一の被爆国』」という言い方が目についたことだ。
例えば――7月1日付朝日新聞によれば、国民新党の亀井久興幹事長は6月30日の記者会見で「唯一の被爆国として核廃絶に向かって主張と行動を続けていくのが我が国のあるべき姿だ」と述べたという。テレビでは、与党の政治家が、やはり久間発言を批判する発言の中で「唯一の被爆国」という表現を使うのを聴いた。
また、7月3日付朝日新聞によれば、全国保険医団体連合会などが安倍首相らに送った抗議文には「世界で唯一の被爆国政府の官僚がこのような発言をするのはあるまじきこと」とあったという。
2007.07.05
果報は寝て待て、「y-Nya (否) そうはとんやがおろさない」
2007.07.03
挑まれている――沖縄で報じられていること
市来 哲雄 (フリーランスライター)
沖縄小景 (1)
これから私が語ろうとするのは、この春から現在にかけて、沖縄で大きく報じられている動きだ。歴史に関わることだが、私は歴史の専門家ではない。が、歴史とは、少なくとも沖縄戦について私が知ったこと、聞いたことに関する限り、高みからみた記述を頼りにしながらも、平らな想像力を持ち続けながら考えなければ、それを現在や未来に繋げていくことはできないと思う。
沖縄県の高校教師で、独自に琉球・沖縄史の教科書を編纂し続ける新城俊昭さんは、その教科書の冒頭で、歴史を「一本の線」になぞらえ、動きつつあるその先端から過去を振り返る営みを、歴史を学ぶ意味としていた。これに従うなら、この春からこれまでに起こった出来事は、沖縄での報じられ方と他府県でのそれとの温度差に驚きながらも、やはりこの沖縄でこそ、見つめ続けていかなければならないのだと、あらためて気づかされた。
今年三月三十一日付朝刊。沖縄タイムスは一面トップで、「『集団自決』軍関与を否定」「08年度教科書検定 文科省『断定できず』」「専門家『加害責任薄める』」などの見出しで、二〇〇八年度から使用される高校教科書の検定結果を報じた。記事によると、日本史A、Bで、沖縄戦の「集団自決」について、日本軍が強制したとの趣旨の記述(五社七冊)に修正を求める検定意見が付いた。修正意見は「日本軍による強制または命令は断定できない」というものだ。これを受け各出版社は該当個所を修正。その一例として「なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた」が「なかには集団自決に追い込まれた人々もいた」(日本史B、出版社名なし)に変わったことが示され、日本軍による関与の度合いが薄まるか排除される記述になったことが報じられた。この検定について文科省は「軍の強制は現代史の通説になっているが、当時の指揮官が民事訴訟で命令を否定する動きがある上、指揮官の直接命令は確認されていないとの学説も多く、断定的意見を避けるようにした」(記事から)としている。この報道に接して私が想起したのは、年明け以降繰り返された、「従軍慰安婦」問題について安倍首相が使った「『広義』『狭義』の強制性」という表現だった。広義の強制性は認められても、直接に日本軍が関与したことを示す記録は見つかっていないから狭義の強制性はない、という論法。このフレームがそのまま沖縄戦にも当てはめられた、と感じた。
2007.07.02
「リズ」という店
原田克子 (詩人)
監督とよばれたかれの重たい革ジャケットが
かれが袖を通さなくなってから
七年のあいだ
この店のこの壁に掛けられ続けていた
東中野駅から山手通り沿いに
いつまでたっても出来上がらない地下高速道路の工事のため
路面がわるく鉄パイプの柵がつづく風景のさきに
電柱の太さに隠れた提灯のあかりがみえると
ほっとして 引き戸を開けるのだが
まず、靴を脱がなければならない
監督はめくるめくおんなとおとこをフィルムに写し撮った
彼女は監督が遺していった権造のぬくもりを
抱いている
権造は猫のようなすがたをしているが
監督の一部なのだ
(そういえば
彼女はあるとき
評判の占い師を青山にみつけ
勇んででかけていき
とうとう監督の消息を知った。
監督は徳の高いひとで、いまは、
刺抜き地蔵尊のなかのいずれかの地蔵尊に身を
転じている
と)
彼女の肢体がグラビアではちきれ フィルムに躍動したとき
監督は
店の壁に革ジャケットを掛けたまま
留まることのないときだけをのこして
水が流れるがごとく、いった
彼女はおどけて笑う
そして
ステロイド剤を内服しつづけて顔がまんまるになったとき
グラビア体形が少々変化した現在を指摘されたとき
島倉千代子の「愛のさざなみ」を、声色をかえて歌う
(くり返す くり返す さざなみのように)
革ジャケットを壁からはずすことを決断した 七年目の今日
この灯かりを消して
彼女は
独りでみつけた 新たな流れに
革ジャケットを浮かべてみる、という
それから ゆっくり
地蔵尊をさがしにいこう、と
考えている
仕舞いに
帯揚げを帯のあいだに挿し込み 襟元を整え
鏡をみるまでもなく すがたを直し
まるで監督のようないびきをかいて寝ている権造をひきよせる
きづかれないように溜息をひとつつき
しなやかな指先でグラスをわたす
氷がカクっと音をたてて溶けていく
動いている
「RIZ」、彼女は 女優

2007.07.01
慰安婦問題 恥の上塗りはよせ
田畑 光永 (ジャーナリスト)
暴論珍説メモ(14)
同じことを何度も書くのは気が進まないものだ。だからもうやめようと思っていた、米議会での「慰安婦決議」について書くことを。
しかし、6月26日に決議が下院外交委員会で、賛成39対反対2という大差で採択された後の日本国内の反応を見ていて、やはりどうしても見過ごせない言い方がまかり通っているので、それだけは指摘しておきたい。
28日、『日経』を除く在京五紙はいずれも社説でこの決議を取り上げた。このうち『朝日』「首相は深刻さを認識せよ」、『毎日』「『従軍慰安婦決議』 安倍外交にも問題がある」、『東京』「慰安婦決議案 日米間のトゲにするな」はそれぞれのタイトルからも推察されるようにおおむね常識的な論調である。残る二紙、『読売』「慰安婦決議 米議会の『誤解』の根元を絶て」と『産経』「慰安婦決議案 事実を示し誤解を解こう」は、一見して明らかなように決議が誤解に基いているという立場である。
米議会に誤解があるとしたら、それは解かなければならない。『読売』は「全くの事実無根に基く決議である。・・・事実をきちんと確かめることもせず、低水準のレトリックに終始した決議案だ。米議会人の見識を疑わせる」と激しい。『産経』もまた「『慰安婦制度は日本政府による軍用の強制的な売春』と決めつけるなど、多くの誤りを含んでいる」と言う。
では何が誤解か。
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