2007.07.30
とりあえず改憲阻止に成功した参院選
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
今回の参院選の最大の成果は、とりあえず3年後の改憲発議を阻止し得たことでしょう。 周知のように、安倍首相は年初めから「憲法改正」を参院選の争点にすると公言し、「私の内閣で」「私の任期中に」憲法を改正したい、と並々ならぬ意欲を燃やしてきました。しかし、選挙の結果、自公勢力が参院で過半数を割ったことで、3年後に衆参両院の3分2以上の議員により改憲発議がなされるという事態はひとまず避けられました。護憲派にとっては、勝利です。
ただ、手放しで喜ぶことはできません。民主党が「創憲」を掲げているからです。
同党は04年6月23日、憲法提言中間報告を発表したが、冒頭に「文明史的転換に対応する創憲を」という項目があり、そこで「日本では、一方に、既成事実を積み重ねて憲法の『空洞化』を目論む動きがある。他方には、憲法の『形骸化』にもかかわらず、それを放置しようとする人たちがいる。私たちは、憲法の空洞化も形骸化も許さず、これを国民生活の中に生きたものとしいて発展させていく。目先の利害や政治的駆け引きにとらわれることなく、50年、100年先を見通した、骨太の憲法論議か必要である」としています。