2008.03.31 ことば (13) 英作文のすすめ
目的語と補語

松野町夫 (翻訳家)

日本にいて最も効率よく英語を学習する方法は?と質問されたら、私は迷うことなく和文英訳を奨めたい。私たちの母語は日本語なので日本語ならどのような内容でも、即座に話したり書いたりできる。後はただ、この日本語を英語に翻訳するだけでよいから。この方法なら誰でもできる。もちろん、こうした方法で作成された英語は、日本語の影響を強く受けたユニークな英語、ジャパニーズ・イングリッシュとなるが、それは仕方がない。しかし、ジャパニーズ・イングリッシュは、れっきとした国際英語である。国際英語は、英米人の母語である民族英語とは多少、異なるが、コミュニケーションの手段として、世界各国でまちがいなく役に立つ。

それでも英作文はどうも苦手とおっしゃる人に、ポイントさえ押さえれば英文は意外と簡単に作成できると申し上げたい。ポイントは、日本語では動詞はいつも文の最後に来るが、英語では動詞は主語のすぐ後に来るということ。たったこれだけ。英文は基本的に SVOの構造(文型)となる。日本語はSOV型。S は主語(Subject)、Vは動詞(Verb)、O は目的語(Object)。主語や目的語になれるのは名詞。これだけでとりあえず基本的な英文は作れる。たとえば、「私はボールを持っている」を英語に変換するには、「私」+「持っている」+「ボール」と語順を並べ替えて、それぞれの単語を英語に直すだけのこと。

私はボールを持っている。 (日本語はSOV型)
S(私) O(ボール) V(持っている)

「私」+「持っている」+「ボール」
S (I) V (have) O (a ball)
I have a ball. (英語はSVO型)

ね、簡単でしょう。
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