2009.02.27
CCTV この英文略称は是正を―中国中央テレビに教育省勧告
こんな「言葉」が!(34) 中国で
市場経済化の進む中国でも、新聞・テレビを軸とした報道事業(中国共産党機関紙『人民日報』など)は公営事業体が基本的に担当し、「社会主義市場経済」の方針で経営している。表題のCCTVは、中国国営の中央テレビ局(中央電視台)の英文名=China Central Tele-Visionの頭文字で、同テレビの略称になっている。
その略称について、教育行政の元締めの教育省が最近、「是正するように」と公開書簡で中央テレビ局に勧告した。中央テレビ局は、行政面ではラジオ・映画・テレビ総局という政府の一部門の管轄下にあるが、同時に、思想・報道面では中国共産党中央宣伝部からより強い監督・規制を受ける「ダブル規制」上のメディアである。
〔教育省が公開書簡〕
如上の勧告は、「ラジオ・テレビ放送、映画などの用字・用語は本法の規定を基本とすべし」という法令に基づいたものである。その法律とは、「国家通用語言文字法」といい、あらゆる中国語(漢語、以下同じ)表記の用字・用語について規定したものである。もちろん、中国共産党の「喉舌」(宣伝扇動機関)と位置付けられているメディアは順守しなければならない。
その核心は、漢語表記は、中華人民共和国になって定められた普通話=標準語と規範漢字(国家制定の簡体字)によるということ。具体的には、報道・宣伝媒体は「看板・広告用語や企業・事業などの名称」は標準語と規範漢字を使うべきであると規定(同法第14条)している。だから、教育省の勧告の内容は、この法令に沿ったものである。
ただし、上記の政府の機関構成からいうと、教育省には中央テレビ局を直接に指導・監督する権限はない。公開書簡という珍しい方法をとり、指導や指示ではなく勧告・提案のレベルにとどめたのもその点に配慮してのことだろう。指揮・命令系統にうるさいのはどこの国の役所も同じこと。「そちらから言われる筋はない」とCCTV側は反発し、ネット上でもこの勧告への賛否両論が展開されている。
丹藤佳紀 (早大講師)
市場経済化の進む中国でも、新聞・テレビを軸とした報道事業(中国共産党機関紙『人民日報』など)は公営事業体が基本的に担当し、「社会主義市場経済」の方針で経営している。表題のCCTVは、中国国営の中央テレビ局(中央電視台)の英文名=China Central Tele-Visionの頭文字で、同テレビの略称になっている。
その略称について、教育行政の元締めの教育省が最近、「是正するように」と公開書簡で中央テレビ局に勧告した。中央テレビ局は、行政面ではラジオ・映画・テレビ総局という政府の一部門の管轄下にあるが、同時に、思想・報道面では中国共産党中央宣伝部からより強い監督・規制を受ける「ダブル規制」上のメディアである。
〔教育省が公開書簡〕
如上の勧告は、「ラジオ・テレビ放送、映画などの用字・用語は本法の規定を基本とすべし」という法令に基づいたものである。その法律とは、「国家通用語言文字法」といい、あらゆる中国語(漢語、以下同じ)表記の用字・用語について規定したものである。もちろん、中国共産党の「喉舌」(宣伝扇動機関)と位置付けられているメディアは順守しなければならない。
その核心は、漢語表記は、中華人民共和国になって定められた普通話=標準語と規範漢字(国家制定の簡体字)によるということ。具体的には、報道・宣伝媒体は「看板・広告用語や企業・事業などの名称」は標準語と規範漢字を使うべきであると規定(同法第14条)している。だから、教育省の勧告の内容は、この法令に沿ったものである。
ただし、上記の政府の機関構成からいうと、教育省には中央テレビ局を直接に指導・監督する権限はない。公開書簡という珍しい方法をとり、指導や指示ではなく勧告・提案のレベルにとどめたのもその点に配慮してのことだろう。指揮・命令系統にうるさいのはどこの国の役所も同じこと。「そちらから言われる筋はない」とCCTV側は反発し、ネット上でもこの勧告への賛否両論が展開されている。