2009.05.31
校舎の損壊は役所のそれの4倍だった―四川大地震
清華大学などの専門家、現地調査で判定
中国西北部の大地を揺さぶり、甚大な被害をもたらした四川大地震から一年たった。2008年5月12日に起きたこの大地震は、汶(ブン)川が震源地と特定されたことから、中国では汶川大地震と呼ばれている。死者・行方不明の合計8万6633人で、このうち学童・生徒が5335人を占める。
学童・生徒からこれほどの犠牲者が出たことについては、手抜き工事などにより、校舎の耐震性が十分でなかったといった意見が被災直後から出ていた。子供を失った親が個別にあるいは集団で行政訴訟に訴えようとしたケースもいろいろ伝えられた。
この問題について、中国共産党機関紙『人民日報』のウェブサイト『人民網』(日本語版)は5月25日、専門家による建築物被害分析の結果、学校建築物(以下、校舎)の損壊度が政府建築物(以下、役所)の4倍以上に達していたと伝えた。
調査は、清華大学・西南交通大学・北京交通大学の土木工学専門家が被害調査チームを構成して四川省の現地で進めたもので、その結果を「汶(ブン)川地震建築物被害分析」という論文にまとめた。また、『人民網』の報道は、同論文を基に『中国経済週刊』が校舎と役所の損壊度を対比して算出した統計を引用したものである。
地震による学校の倒壊は、手抜き工事―幹部公務員の不正腐敗・遺族補償などと絡む問題だけに中国では「敏感な問題」扱いされており、この報道は異例なものである。
丹藤佳紀 (早大講師)
中国西北部の大地を揺さぶり、甚大な被害をもたらした四川大地震から一年たった。2008年5月12日に起きたこの大地震は、汶(ブン)川が震源地と特定されたことから、中国では汶川大地震と呼ばれている。死者・行方不明の合計8万6633人で、このうち学童・生徒が5335人を占める。
学童・生徒からこれほどの犠牲者が出たことについては、手抜き工事などにより、校舎の耐震性が十分でなかったといった意見が被災直後から出ていた。子供を失った親が個別にあるいは集団で行政訴訟に訴えようとしたケースもいろいろ伝えられた。
この問題について、中国共産党機関紙『人民日報』のウェブサイト『人民網』(日本語版)は5月25日、専門家による建築物被害分析の結果、学校建築物(以下、校舎)の損壊度が政府建築物(以下、役所)の4倍以上に達していたと伝えた。
調査は、清華大学・西南交通大学・北京交通大学の土木工学専門家が被害調査チームを構成して四川省の現地で進めたもので、その結果を「汶(ブン)川地震建築物被害分析」という論文にまとめた。また、『人民網』の報道は、同論文を基に『中国経済週刊』が校舎と役所の損壊度を対比して算出した統計を引用したものである。
地震による学校の倒壊は、手抜き工事―幹部公務員の不正腐敗・遺族補償などと絡む問題だけに中国では「敏感な問題」扱いされており、この報道は異例なものである。