2009.11.30 朗読劇団「八月座」の活動記録が完成
  
 詩の朗読を通じて反戦平和を訴える

岩垂 弘 (ジャーナリスト)


 『忘れない 日本の あの八月』と題する冊子が刊行された。2003年から2007年まで活動した、生活協同組合・東京高齢協の朗読劇団「八月座」の記録である。改憲路線を進めた小泉政権から安倍政権に至る時期に、「反戦平和」「憲法改定反対」を掲げて精力的に詩の朗読に取り組んだ、戦争体験をもつ高齢協組合員の熱い思いが伝わってくる。

 「八月座」は03年の9月13日、東京都練馬区の練馬地域センターで産声をあげた。提唱者は練馬区在住の東京高齢協組合員で当時85歳の荒井なみ子さん。元生協役員だが、戦後まもなく、舞台芸術学院に籍をおいたことがある。
 荒井さんの心を、一つの文章が激しく揺さぶった。東京高齢協理事長の大内力氏(当時、東京大学名誉教授で経済学者。今年4月18日に90歳で死去)が03年5月の「東京高齢協ニュース」71号に書いた「愚行の再来を憂う」と題する一文である。そこには、こうあった。
 「50年前われわれ日本人は戦争を永久に放棄することを国是として定め軍事力を持たないことを憲法で誓った。その誓約が十全に守られてきてたかどうかはいささか疑わしいが、戦争をやることだけはどうやら避けてきた。しかし最近の政府の動き、とくに真っ先にアメリカの戦争に賛同し軍事的支援に力をつくしている動きをみもと、日本人の多くがふたたび狂いつつあるという憂いを深くせざるをえない」
 「60年前の日本の愚行を、身をもって実感した日本人はいまやわれわれ高齢者だけになってしまった。それだけに昔のわれわれの愚かさを、より若い人々にきちんと告白し理解してもらうことは、高齢協の重大な“使命”といってよいであろう」
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