2012.08.31
要警戒! 橋下新党が選挙政策の前面に“領土問題“を押し出す危険性、「近いうち」の衆院解散・総選挙を考える(2)、(ハシズムの分析、その30)
~関西から(73)~
かって、こんなことを書いたことがある。橋下新党の「維新八策」が単なる思いつきの羅列で政策としての体系性がないのはなぜか。国政選挙に打って出ようとするのに選挙政策の目玉がつくれないのはなぜか。それは、地域政党として出てきた維新の会が「大阪府庁のWTC移転」「大阪都構想」「道頓堀にプール」といった地域レベルの政策を掲げている間はまだしも、国政政党へ背伸びしようとすると政策力が到底追いつかないからだと。
しかし、こんな橋下新党にも国政レベルの政策をアピールできるチャンスが過去2回あった。ひとつは“脱原発問題”、ひとつは“消費税増税問題”である。脱原発の方はかなり「いい線」まで行っていた。「大飯原発再稼働は許さない」、「関電の電力供給試算(電力不足見通し)は信用できない」、「エネルギー供給の地域独占体制は打破すべきだ」等々、橋下氏の威勢のいい発言は、関西地方はもとより全国的にも共感を呼んでいた。
ところがある日、「上辺だけのことを言っていても仕方がない」との理由にならない理由で態度を豹変させ、大飯原発再稼働を突如容認した。橋下新党の「化けの皮」が剥がれた瞬間だった。代わりに、東京では全国規模の「脱原発首相官邸前デモ」が起こって即座にその穴が埋められた。またこれほどの猛暑にもかかわらず、(原発稼働分を除いても)関電地域内での電力不足はその後発生していない。橋下新党はいまや脱原発エネルギー政策のイニシャティブを完全に失い、大阪府市エネルギー戦略会議(および特別顧問の面々)の存在意義もなくなったのだ。
次は、消費税増税問題への対応だ。こちらの方はいささか歯切れが悪く、「消費税増税の決め方に問題がある」と最初から逃げ腰だった。いわば「手続き論」にすり替えることで、手続きを踏めば「増税やむなし」とのサインを送っていたのである。しかし「このままでは持たない」と考えたのか、地方交付税は廃止にして消費税を代替財源にするとの政策を打ち出した。
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
かって、こんなことを書いたことがある。橋下新党の「維新八策」が単なる思いつきの羅列で政策としての体系性がないのはなぜか。国政選挙に打って出ようとするのに選挙政策の目玉がつくれないのはなぜか。それは、地域政党として出てきた維新の会が「大阪府庁のWTC移転」「大阪都構想」「道頓堀にプール」といった地域レベルの政策を掲げている間はまだしも、国政政党へ背伸びしようとすると政策力が到底追いつかないからだと。
しかし、こんな橋下新党にも国政レベルの政策をアピールできるチャンスが過去2回あった。ひとつは“脱原発問題”、ひとつは“消費税増税問題”である。脱原発の方はかなり「いい線」まで行っていた。「大飯原発再稼働は許さない」、「関電の電力供給試算(電力不足見通し)は信用できない」、「エネルギー供給の地域独占体制は打破すべきだ」等々、橋下氏の威勢のいい発言は、関西地方はもとより全国的にも共感を呼んでいた。
ところがある日、「上辺だけのことを言っていても仕方がない」との理由にならない理由で態度を豹変させ、大飯原発再稼働を突如容認した。橋下新党の「化けの皮」が剥がれた瞬間だった。代わりに、東京では全国規模の「脱原発首相官邸前デモ」が起こって即座にその穴が埋められた。またこれほどの猛暑にもかかわらず、(原発稼働分を除いても)関電地域内での電力不足はその後発生していない。橋下新党はいまや脱原発エネルギー政策のイニシャティブを完全に失い、大阪府市エネルギー戦略会議(および特別顧問の面々)の存在意義もなくなったのだ。
次は、消費税増税問題への対応だ。こちらの方はいささか歯切れが悪く、「消費税増税の決め方に問題がある」と最初から逃げ腰だった。いわば「手続き論」にすり替えることで、手続きを踏めば「増税やむなし」とのサインを送っていたのである。しかし「このままでは持たない」と考えたのか、地方交付税は廃止にして消費税を代替財源にするとの政策を打ち出した。