2018.02.28 納税者の乱
     韓国通信NO549

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 韓国なら安倍政権はとっくに潰れている。野党がダラシナイ、マスコミの追及が甘いなどと「評論家」みたいなことを言わないで、怒りを声にするしかない。
 冬季オリンピックを見て選手たちの真摯さと誠実さ、謙虚さに心洗われた人も多いはず。それにひきかえ日本社会に蔓延する「ウソ」や「権謀術数」には呆れかえるばかりだ。北朝鮮の参加と応援団をくさす一方で、「ニッポン、ニッポン」を絶叫するアナウンサーのおかげで安倍首相の支持率が上がるなんて信じがたい。首相が金メダリストたちに祝辞を述べるテレビ映像にはシラケた。スポーツは勝敗を争うものだが、憎しみや嘘がないのがいい。

<物を言う市民たち>
 確定申告が始まった。安倍首相夫人をかばった財務省前理財局長佐川氏を国税庁長官に栄転させたことに納税者たちが怒りを爆発させた。上司をおもんばかった茶坊主の出世。しかし佐川氏が辞任して済む話ではない。国政の私物化が疑われたら「首相も議員もやめる」と断言した以上、政府が佐川氏の国会喚問に応じないなら「国政の私物」を認めたことになりはしないか。
今年も確定申告をすませた。低所得者に厳しく高所得者優遇の税制にあらためて向き合い、医療費負担の多さ、復興特別所得税(21%)にため息が出る。歯止めを失った「国防費」のために税金は払いたくない。
 封筒の表面に「 国税庁長官就任!!」と大きく書いて税務署に提出した。税務署の職員が、「評判の悪い長官の就任を喜んでいる納税者がいます」と上司に報告する可能性もないわけではない。 冗談じゃない。麻生財務大臣と佐川氏を除いて本気にする人はいないはずだ。

モリ・カケ追及デモ第2弾・納税者一揆の爆発だ!

3月3日(土)13:30 日比谷公園西幸門集合(図書館隣)
13:40 財務省・国税庁包囲行動
14:30 デモ出発 銀座・有楽町の繁華街を行進
安倍・麻生・佐川を追放しよう!検察は財務省を強制捜査せよ!
安倍昭恵・佐川は証人喚問に応ぜよ!
主催:「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」
                   代表:醍醐 聡(東大名誉教授)


<再び東海第二原発>
 現在稼働中の原発は川内原発と高浜原発の3基だけ。これを多いと考えるか、少ないと考えるか評価はマチマチだが、状況は再稼働待ちの原発が目白押しの状態である。「風化」どころか深刻さを増す被害に対して警鐘を鳴らす報道が年を追うごとに少なくなった。全国各地で粘り強い再稼働反対の運動が繰り広げられているが報道もされない。首相官邸・国会前の反原発抗議デモはすでに280回を超えた。
 前回紹介した我孫子市議会に東海第二原発廃炉を求める請願が26日提出された。友人たちと始めた請願運動に1056名の請願者が集まった。これほど反響があることは想像もしなかった。中学生・高校生、子供を持つ母親、外国人、市外の近隣住民も参加した。
 40年を超えるポンコツ原発、それも事故続きで、2011年3月11日の震災では外部電源喪失にもかかわらず爆発事故を起こさなかったのは「単なる幸運」(『国会事故調』180p)と指摘された札つきの原発である。東海村から85キロにある我孫子のみならず事故が起きれば首都圏は壊滅する。東海第二の再稼働を認めたら全国一斉、なだれをうつように再稼働が予想される。まさにこれこそわが国にとって「存立危機事態」である。

<私のスピーチ>
 我孫子市では請願者は市議会の委員会で趣旨説明が認められている。たった5分だが議員たちに直接訴える機会である。原発の廃炉を求めるのは「共産党か立憲民主党にそそのかされた」という市議も出てくるかもしれないが、全会一致の採択を目指している。委員会では質疑応答があるので不安が頭をもたげる。「原発は地球温暖化に貢献する」「経済性に優れている」「規制委員会の審査にパスすれば問題はないはず」という意見も予想される。
 巷に流布されているこのような原発擁護の「理屈」には、
①世界は自然エネルギー(太陽光・風力)が主力になりつつあること。化石燃料エネルギー、危険な原発は過去のものになりつつある。
②自然エネルギーのコストが原発や化石燃料に比べ安いことは立証ずみだ。日本のコストが高いのは政府が原子力ムラの圧力に屈して「高く」していることに問題がある。低コストの自然エネルギーを取り入れなければ日本の経済力は立ち行かなくなる。
③規制委員会は国際的にも厳しい基準で審査していると政府は「持ちあげる」が、規制委員会は事故が起きないと保証はしない。事故を予想しても政府も規制委員会も責任をとらない、などと
具体的にわかりやすく反論したい思っている。
 また「東海第二原発が日本一危険な原発という根拠を示せ」などという質問に対しては資料をそろえて万全を期している。
 原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)が「原発ゼロ基本法案」を1月10日に発表した。これに対して1月14日、産経新聞が社説で「これでは国が立ちゆかぬ」と噛みついた。これに対する原自連の吉原毅会長(前城南信金理事長)の反論文を読んだ。具体的で冷静な説得力のある内容である。(詳しくは、原自連のメールマガジンhttp://genjiren.com/mailmagazine.html参照)
 そこでは「我が国の美しき国土、国家を守るという保守の立場こそ、原発即時ゼロを主張すべき」と述べ、産経新聞に対しては「利権にまみれ、富を誇れども、社稷(しゃしょく)※を思う心なき原子力ムラ」を指弾すべきで、「原発ゼロでなければ国は立ち行かぬ」ことを主張するよう求めている。
※社稷 国土という意味。経済的利益を求めて国を亡ぼす原子力ムラを批判している(筆者註)。
赤恥をかいた産経新聞から反論はなく沈黙したままだ。安倍首相も原子力ムラも産経新聞も世界の潮流から完全に取り残された。「原発セ゛ロ」は理想ではなく現実的な最良の選択だ。私の持論に通じるところがあって心強い。