2019.11.16 トランプ大統領、IS壊滅の同盟者クルド人を裏切る
NYタイムズの調査報道(4完)

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

(NYタイムズの調査報道の最終部)
「アメリカはクルド人を裏切った!」とクルド人の氷売り店のファーハン・モハメドは、シリア国境に通じる道路を走る、米軍の車列に叫んだ。彼の仲間も叫び、手の親指を下に向けた。
 「トランプはツイートどおり、俺たちの未来を決めやがった!」
 トランプ氏は、彼の決定を実行したのだ。
 トランプ氏は今月になって、「われわれは、クルド人たちの今後の人生まで保護することまでは、決して約束していない」と言い、「イスラエルとヨルダンの要求で、少数の米軍部隊がシリア東部に残るだろう」と述べ、「石油を守るためにだ」「それ以外には残す理由はない」と付け加えた。
 トランプ氏はツイーターで、「たぶん、クルド人にとって、産油地域を目ざし始めるべきときなのだ」と、クルド人たちに別な役割を与えるようなことを書いた。
 しかしクルド人たちはトルコ軍の侵攻に抵抗するのに忙しかった。クルド人たちは、彼らの郷土でのトルコ軍による民族浄化を恐れていた。
 クルド人の指導者たちは、米国との5年間にわたる協力が、彼らの犠牲をもっと尊敬して終わることを望んでいた、と語っている。
 クルド人の軍事組織SDFの助言者キャン氏は、「すべてを放棄し、政権とロシアとイランに与えようとしているのだ。そんなアメリカを、だれが信用するのか。だれもいないさ」と語った、
 クルド人たちは、怒りにもかかわらず、米国との結びつきを断絶しなかった。
 彼らの最高指導者アブディ氏は、トランプ氏に2回電話し、彼のワシントンを訪問についても話し合った。クルド側は、一部のクルド人武装勢力が、油田防衛のためシリア東部に駐留するという、トランプ提案を拒否しなかった。
 しかし、ホワイトハウスへの信頼は失われた。
 「情勢は変わった」と、先週ワシントンを訪れ、他の米当局者と協力関係の継続について話し合ったクルド当局最上部のイルマン・エメドは語った。「しかし我々は、米国民の中に多数の友人がいる事実を信じている。米下院と上院に。軍事指導者たち。わたしは、彼らの支持を信頼している」(了)