2010.07.18 参院で9条改正派が多数に
求められる護憲運動の強化

岩垂 弘 (ジャーナリスト)


 参院選挙結果を伝える新聞報道の中で注目すべき記事があった。7月13日付の毎日新聞朝刊16面の特集「10年参院選 当選者アンケートを読む」である。それによると、憲法9条改正に賛成する当選者が多数になったという。「護憲」を掲げる陣営にとっては容易ならざる事態といえる。これからは、改憲に向けた動きに対する一層の警戒と護憲運動のさらなる強化が求められるというものだ。

 毎日新聞は、参院選挙前に全候補者(選挙区・比例代表)にアンケートを実施した。選挙後、当選が確定した121人のうち、全候補者アンケートに応じた113人の回答を集計した。特集「10年参院選 当選者アンケートを読む」は、その回答を分析したものだ。ここでは、そのうち憲法に関する質問に対する回答を紹介する。

 特集によると、アンケートでは「国民投票法が施行されて憲法改正発議が可能になりました。これを機に改憲を進めるべきだと思いますか」との質問を試みた。その結果は、「思う」と答えた当選者は60%、「思わない」と答えた当選者は33%で、改憲派が憲法改正案の発議に必要な3分の2に迫る割合となった。
 政党別では自民党の91%、みんなの党の89%が「思う」、民主党の63%、公明党の44%が「思わない」と回答。このことから、同特集は「改憲に積極的な自民、みんなが議席を伸ばしたことで、参院の改憲ムードに影響を与える可能性もある」としている。

 アンケートではまた、「憲法9条の改正に賛成ですか、反対ですか」と聞いた。当選者の回答をみると、「賛成」が48%、「反対」が42%。毎日新聞は07年参院選、09年衆院選の際にも同様の質問を行った。それによると、賛成派は07年参院選では25%、09年衆院選では34%だった。ところが、今回の参院選の結果、賛否が逆転し、しかも賛成派は07年、09年から急増したことになる。
 今回の当選者回答では、民主党の76%、公明党の67%が「反対」、自民党の85%、みんなの党の89%が「賛成」と答えた。

 「集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を見直すべきだと考えますか」という質問にも、当選者の49%が「見直すべきだ」と答え、「見直す必要はない」の42%を上回った。同じ質問をした09年衆院選当選者の「見直すべき」37%、「必要はない」50%から賛否が逆転した。自民党の87%、みんなの党の56%が見直し派で、民主党の66%、公明党の89%が「必要ない」と答えたという。

 民主党は「改憲反対」ではない。「現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任をもって提案していきます。民主党は2005年秋にまとめた『憲法提言』をもとに、今後も国民の皆さんとの自由闊達な憲法論議を各地で行ない、国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます」(2009年のマニフェスト)との姿勢だ。自民党は、よく知られているように「自主憲法の制定」を党是としている。みんなの党は「憲法は、これからの新たな国のあり方にあわせて見直す必要があり(道州制の導入など)、憲法審査会を早急に始動して議論を開始する」(選挙公約)としている。
 一方、護憲派の共産、社民両党はこんどの参院選で後退した。

 護憲を掲げる陣営にとっては、なんとも厳しい時代を迎えたといえるのではないか。こうした状況の中で、国民の間に「憲法を守る」「憲法を活かす」運動を広げてゆくには、新たな活力と運動形態が求められるのではないか。 

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