2007.10.20  壊心 3
原田克子 

あらかじめ
ここに生きることはきめられていたようだけれど
ここがどこなのか
やはり わからない

あなたの苦しみを理解することはなく
ましてや喜びを与えることなどけしてなく
肌を触れ合うことがなくなったわたしたちは
太陽のみえない朝にだけ電話の声を聞き
いらいらと時をすごす

手の甲の
細い血管が愛しいというきみへの
残酷なわたしのこたえはいまさら口にするまでもなく
夏のあいだに少しだけ陽に焼けた右手に
ハンドルを握りながら考えごとをする癖の
なごりをみる

パリの
とあるトンネルの
十三番目の支柱に激突したのは
幻を掴んだおんな

夢を掴んだおとこ

こころ の結末

               詩集『シュールダンスをあなたと』より
Comment
Broken-down Heart 3

Written by Katsuko Harada
Translated by Townsman
October 21, 2007


Living here seems to be determined
long ago, though
where is this?
Still, I don’t know

I couldn’t even understand your agony
much less to give you pleasure
We can no longer sleep together
but hear each other’s voices over the phone
in the mornings only when the sun is unseen
and spend time irritably

It may be pointless now
to give my cruel answer to you,
who once loved narrow veins
of the back of my hands
My right hand,
slightly suntanned during the summer time
still retains traces of my habit
of thinking things over while holding the handle bar

Having crashed into the 13th pole
of a certain tunnel
in Paris
was
the close of the hearts of
a woman who grabbed an illusion
and
a man who grabbed a dream


From "Surreal dance with you," a collection of Katsuko Harada's poems
Townsman (URL) 2007/10/21 Sun 20:25 [ Edit ]
毎回の訳業、感嘆・批判含めつつ拝見
しています。
今回の感嘆は末尾。原作の改行を見事に
活かしたと思います。
疑問の残ったのは第2パラグラフの3行目
。この辺は「解釈」の余地のあるところなのでしょうね。
erliuzi (URL) 2007/10/21 Sun 21:33 [ Edit ]
erliuzi さん、コメントありがとうございます。

ご指摘の第2パラグラフの3行目
「肌を触れ合うことがなくなったわたしたち」
ウーン、難しいなあ…

We don't touch each other any longer now
としてみましたが、いかがでしょうか?

タウンズマン
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

Broken-down Heart 3

Written by Katsuko Harada
Translated by Townsman
October 22, 2007


Living here seems to be determined
long ago, though
where is this?
Still, I don’t know

I couldn’t even understand your agony
much less to give you pleasure
We don't touch each other any longer now
but hear each other’s voices over the phone
in the mornings only when the sun is unseen
and spend time irritably

It may be pointless now
to give my cruel answer to you,
who once loved narrow veins
of the back of my hands
My right hand,
slightly suntanned during the summer time
still retains traces of my habit
of thinking things over while taking the wheel

Having crashed into the 13th pole
of a certain tunnel
in Paris
was
the close of the hearts of
a woman who grabbed an illusion
and
a man who grabbed a dream


From "Surreal dance with you," a collection of Katsuko Harada's poems
Townsman (URL) 2007/10/22 Mon 17:24 [ Edit ]
原田様
繊細ながら内面を鋭くとらえた詩をいつも感嘆の思いで拝見しています。詩については全くの素人なので、(どなたでも)お教えくださると幸甚ですが、第二段はダイアナ妃、第三段はアルファイド氏のつぶやきと解釈していいのでしょうか。もしそうであれば、「残酷なわたしのこたえ」というものはどんなことでしょうか。(このように分析する私の読み方がいけないのかもしれませんね・・。)

タウンズマン様
いつも訳を載せてくださり脱帽しております。
私も"the close of the hearts"のところが好きです。
「肌を触れ合う・・」は、ほんとむずかしいですね。ない知恵しぼって、"These days have come between us. "はどうかなと思いました(ただ、これでは曖昧になりすぎかもしれませんけど)。
ShadowTheCat (URL) 2007/10/27 Sat 10:56 [ Edit ]
ShadowTheCat 様

なるほど、第二段はダイアナ妃、第三段はアルファイド氏のつぶやきと解釈されたのですか。
「アルファイド氏のつぶやき」は意外でした。そういう解釈もあったのですね。

壊心1 は、ご子息のひろし君(小学生のころ)の目から
壊心2 は、自分と母親を比べて、その類似性を通して
壊心3 は、心情をダイアナ妃の事件に投影して

これまでの自分の人生・心情を謳ったもの、と私は解釈しています。しかし、ご本人に確認したわけではありません。

英詩の翻訳は、実際、私には荷が重過ぎるのはわかっているのですが、遊び心で始めたみたという次第です。詩人特有の繊細な心情、かすかな心のゆれ、全体に流れるリズムなど、このごろは何とか伝えたいと思い、あれこれ工夫はするのですが、満足できるレベルには程遠い。それでも性懲りもなく続けるのは、克子さんの詩が好きだからです。子供のころから詩が好きでした。「下手の横好き」の心理がどこかに働いているのかもしれません。

タウンズマン
Townsman (URL) 2007/10/28 Sun 15:08 [ Edit ]
タウンズマン様
詩の解釈どうもありがとうございました。
「壊心1 は、ご子息のひろし君(小学生のころ)の目から
壊心2 は、自分と母親を比べて、その類似性を通して
壊心3 は、心情をダイアナ妃の事件に投影して」
なるほどと思いました。
背景もわからずに表面だけ読んだため、第三段の「きみへの・・」のところで、男性のつぶやきであろうからアルファイド氏かしら、と早合点したわけです。なので、「残酷なわたしのこたえ」のところで引っかかってしまったのです。
良い詩は奥深いですね!ありがとうございました!
-Shadow
ShadowTheCat (URL) 2007/10/30 Tue 17:48 [ Edit ]
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