2012.01.27
ハシズムを増長させる「政治討論番組」、(ハシズムの分析 その6)
〜関西から(49)〜
大阪ダブル選挙から2カ月近く経過し、このところ松井知事と橋下市長の過激な言動にはますます磨きがかかってきた。その内容を吟味すれば、「憲法無視・法律違反の連発シリーズ」といったところだが、マスメディアがまともな批判をしないので、まるで言いたい放題といったところだ。大阪維新の会がこれほどまでメディア業界に甘やかされているところを見ると、「ハシズム」が意図的に野放しされているとしか思えない。問題は「それがなぜなのか」ということだろう。
先日(1月15日)、朝日テレビで橋下市長と山口二郎氏(北大教授)の討論番組があった。だが、その中身は「ディベイト」というよりは、見るに堪えない「汚いバトル」そのものだった。山口教授自身は、かって小選挙区制導入の太鼓を先頭に立ってたたいたり、民主党の政権交代に際しては舞い上がってベタホメするなど、とかくその時の政治権力の意向に沿って行動する尻軽のタレント学者だが、しかし今回の大阪ダブル選挙に限っては珍しく「反ハシズム」の一陣に加わった。
それが橋下市長の気に障ったのだろう。とにかく番組では、初対面の山口教授に対して敵意をむき出しにして攻撃に次ぐ攻撃に出た。それも論戦ではなくて個人攻撃が中心だから醜いことこの上もない。周知のごとく、橋下氏の攻撃の特徴は自分の意見や主張を批判するものは誰であろうと容赦なく個人攻撃し、相手の人格までも全否定するというものだ。それも「私情」を交えたレベルの個人攻撃だから、言葉も態度も品性を欠くことおびただしい。下品・下劣そのものだ。この番組を見ていた遠方の友人がメールで次のようなコメントを送ってきた。
「日曜日、テレビをみていたら大阪市の橋下市長と北大の山口教授の話が聞けました。橋下市長の早口でまくしたて、相手に考える余地を与えない話し方と、答えられないことに対する馬鹿にした話し方がなんとも言えない感じがしました。相手に考える隙をあたえず、本人の言っていることをきちんと考えられないほどのテンポ、すごいですね。おかしなことを言ってもわからないほど、相手に時間を与えません。相手に対する非難というか、馬鹿にしたような感じとか、あれが今の若者に受けるのでしょうか。若者の間に現在の社会を破壊したいという願望のある者が少なからずいるということですから、ああいうタイプがいいのかもしれませんね。でも、あの話術はすごいとしか言いようがありません。田舎者のノンビリにはついていけません」
全く同感だ。私もこの番組は、「テレビというリング上での“レフリーのいない殴り合い”」としか思えなかった。NHKの政治討論番組のように司会者(とりわけ島田某とかいう解説委員)が見るから強引に出演者の発言を規制するのも大嫌いだが、キャスターやコメンテイターが「レフリー」としての役割を果たさず、しかも討論の「ルール」もないのであれば、腕力が強い「反則技」の常習犯が勝つに決まっている。これではフェアーな討論番組とは到底言えないだろう。
だが恐ろしいことは、面白半分の視聴者が「これが討論番組だ」と思ってしまうことだ。そうだとすると、この国の政治水準はますます低下することになりかねない。タレント時代の掛け合い番組ならまだしも、現在は公的存在(公人)である橋下市長に対しては、テレビ局はもっと公的立場から対置(交渉)することが求められるのではないか。ただ単に視聴率を取るために出演を依頼し、その条件として「自由に喋っていただいて結構です」とでも約束していたのなら、これは政治討論番組としては自殺行為に等しいといわなければならないからだ。
このままでは、おそらく山口教授ならずとも橋下市長との「討論番組」に出る人は今後いなくなるだろうし、お相手するのは大阪維新の会の顧問の面々など「同じ穴のムジナ」だけになってしまうのではないか。そうなれば番組は「ハシズム宣伝」の格好の場となり、政治世界の劣化がますます進むことになる。このことは、小沢一郎氏が「一切の質問を受けない」ことを条件にテレビ出演し、「疑惑を晴らした」とか「国民に説明責任を果たした」との口実を与えてきた番組と基本的に同じことだ。
橋下氏の出演を含め、これからも政治討論番組は大いに歓迎したい。だがそれは、橋下氏が討論のルールを尊重し、フェアな態度で番組に臨むことを前提としてのことだ。そのためには確固とした政治的見識と民主主義的教養を備えたキャスターをレフリーとして起用し、かつ討論のルールを事前に番組出演者に了解させることが求められる。
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
大阪ダブル選挙から2カ月近く経過し、このところ松井知事と橋下市長の過激な言動にはますます磨きがかかってきた。その内容を吟味すれば、「憲法無視・法律違反の連発シリーズ」といったところだが、マスメディアがまともな批判をしないので、まるで言いたい放題といったところだ。大阪維新の会がこれほどまでメディア業界に甘やかされているところを見ると、「ハシズム」が意図的に野放しされているとしか思えない。問題は「それがなぜなのか」ということだろう。
先日(1月15日)、朝日テレビで橋下市長と山口二郎氏(北大教授)の討論番組があった。だが、その中身は「ディベイト」というよりは、見るに堪えない「汚いバトル」そのものだった。山口教授自身は、かって小選挙区制導入の太鼓を先頭に立ってたたいたり、民主党の政権交代に際しては舞い上がってベタホメするなど、とかくその時の政治権力の意向に沿って行動する尻軽のタレント学者だが、しかし今回の大阪ダブル選挙に限っては珍しく「反ハシズム」の一陣に加わった。
それが橋下市長の気に障ったのだろう。とにかく番組では、初対面の山口教授に対して敵意をむき出しにして攻撃に次ぐ攻撃に出た。それも論戦ではなくて個人攻撃が中心だから醜いことこの上もない。周知のごとく、橋下氏の攻撃の特徴は自分の意見や主張を批判するものは誰であろうと容赦なく個人攻撃し、相手の人格までも全否定するというものだ。それも「私情」を交えたレベルの個人攻撃だから、言葉も態度も品性を欠くことおびただしい。下品・下劣そのものだ。この番組を見ていた遠方の友人がメールで次のようなコメントを送ってきた。
「日曜日、テレビをみていたら大阪市の橋下市長と北大の山口教授の話が聞けました。橋下市長の早口でまくしたて、相手に考える余地を与えない話し方と、答えられないことに対する馬鹿にした話し方がなんとも言えない感じがしました。相手に考える隙をあたえず、本人の言っていることをきちんと考えられないほどのテンポ、すごいですね。おかしなことを言ってもわからないほど、相手に時間を与えません。相手に対する非難というか、馬鹿にしたような感じとか、あれが今の若者に受けるのでしょうか。若者の間に現在の社会を破壊したいという願望のある者が少なからずいるということですから、ああいうタイプがいいのかもしれませんね。でも、あの話術はすごいとしか言いようがありません。田舎者のノンビリにはついていけません」
全く同感だ。私もこの番組は、「テレビというリング上での“レフリーのいない殴り合い”」としか思えなかった。NHKの政治討論番組のように司会者(とりわけ島田某とかいう解説委員)が見るから強引に出演者の発言を規制するのも大嫌いだが、キャスターやコメンテイターが「レフリー」としての役割を果たさず、しかも討論の「ルール」もないのであれば、腕力が強い「反則技」の常習犯が勝つに決まっている。これではフェアーな討論番組とは到底言えないだろう。
だが恐ろしいことは、面白半分の視聴者が「これが討論番組だ」と思ってしまうことだ。そうだとすると、この国の政治水準はますます低下することになりかねない。タレント時代の掛け合い番組ならまだしも、現在は公的存在(公人)である橋下市長に対しては、テレビ局はもっと公的立場から対置(交渉)することが求められるのではないか。ただ単に視聴率を取るために出演を依頼し、その条件として「自由に喋っていただいて結構です」とでも約束していたのなら、これは政治討論番組としては自殺行為に等しいといわなければならないからだ。
このままでは、おそらく山口教授ならずとも橋下市長との「討論番組」に出る人は今後いなくなるだろうし、お相手するのは大阪維新の会の顧問の面々など「同じ穴のムジナ」だけになってしまうのではないか。そうなれば番組は「ハシズム宣伝」の格好の場となり、政治世界の劣化がますます進むことになる。このことは、小沢一郎氏が「一切の質問を受けない」ことを条件にテレビ出演し、「疑惑を晴らした」とか「国民に説明責任を果たした」との口実を与えてきた番組と基本的に同じことだ。
橋下氏の出演を含め、これからも政治討論番組は大いに歓迎したい。だがそれは、橋下氏が討論のルールを尊重し、フェアな態度で番組に臨むことを前提としてのことだ。そのためには確固とした政治的見識と民主主義的教養を備えたキャスターをレフリーとして起用し、かつ討論のルールを事前に番組出演者に了解させることが求められる。
Comment
相手を弁護士と思うからいけない。テキヤと思ったほうがいいのです。山口さんはそれなりの仕事を残している人です。活字メディアならば山口氏にだって勝ち目はあるでしょう。
橋下氏の弁護士時代の狡猾な戦術をみなさん、忘れているようですね。
例のプロ野球選手のストの時、「労働者にあらず」「スト権なし」というトンデモ論を振り回していましたね。花見忠や菅野和夫といえば、中労委会長クラスの東大卒の労働法学者で、どうみても左派ではありませんが、この間違った解釈には反対していました。菅野先生たちはおそらく、「彼は司法試験で労働法を取らなくてもよかった世代だからな」といいそうですが、これがインテリの甘さ。橋下弁護士が、労働法を知らないわけではない。司法研修所入りたてならともかく、売れっ子弁護士でしたからね。間違った解釈でも「弁護士ですが」と一言前置きしていえば信じる人がいるのです。それを狙ってああいうことを言っていたのですよ。
橋下氏の弁護士時代の狡猾な戦術をみなさん、忘れているようですね。
例のプロ野球選手のストの時、「労働者にあらず」「スト権なし」というトンデモ論を振り回していましたね。花見忠や菅野和夫といえば、中労委会長クラスの東大卒の労働法学者で、どうみても左派ではありませんが、この間違った解釈には反対していました。菅野先生たちはおそらく、「彼は司法試験で労働法を取らなくてもよかった世代だからな」といいそうですが、これがインテリの甘さ。橋下弁護士が、労働法を知らないわけではない。司法研修所入りたてならともかく、売れっ子弁護士でしたからね。間違った解釈でも「弁護士ですが」と一言前置きしていえば信じる人がいるのです。それを狙ってああいうことを言っていたのですよ。
mya (URL)
2012/02/14 Tue 03:56 [ Edit ]
広原先生、少しお言葉が過ぎませんか。
(引用)
山口教授自身は、かって小選挙区制導入の太鼓を先頭に立ってたたいたり、民主党の政権交代に際しては舞い上がってベタホメするなど、とかくその時の政治権力の意向に沿って行動する尻軽のタレント学者だが、
(引用終わり)
これはいくらなんでもひどいでしょう。小選挙区制について楽観的すぎたという批判はわかるものの、「とかくその時の」以後は、事実とも違っていますよ。そもそも、その時の政権というものはいつからでしょう。山口先生が自民党政権を支持しているというのは聞いたことがありません。
選挙の際の『しんぶん赤旗』での、「共産党を支持します」に名前を連ねない限り、このような非難にさらされるのでしょうか。社民主要打撃論そのものではないですか。
(引用)
山口教授自身は、かって小選挙区制導入の太鼓を先頭に立ってたたいたり、民主党の政権交代に際しては舞い上がってベタホメするなど、とかくその時の政治権力の意向に沿って行動する尻軽のタレント学者だが、
(引用終わり)
これはいくらなんでもひどいでしょう。小選挙区制について楽観的すぎたという批判はわかるものの、「とかくその時の」以後は、事実とも違っていますよ。そもそも、その時の政権というものはいつからでしょう。山口先生が自民党政権を支持しているというのは聞いたことがありません。
選挙の際の『しんぶん赤旗』での、「共産党を支持します」に名前を連ねない限り、このような非難にさらされるのでしょうか。社民主要打撃論そのものではないですか。
藤原正樹 (URL)
2012/03/20 Tue 19:10 [ Edit ]
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朝生は政治討論番組というより、主演田原総一朗のエンターテイメントと捕らえるべきかな?