2008.01.23
Change(変革)の氾濫
こんな「言葉」が!(21)アメリカで
チエンジ(change)という言葉は、日本で最もよく知られた英単語の一つだろう。野球で3アウトになって攻守交代を意味する言葉だから。わたしも野球少年だったが、中学生になって正式に英語を勉強することになった。先生はchangeという単語を「変化」という意味だと説明し「チェンジ」と発音した。これが野球の「チエンジ」と同じ言葉だと理解するまでにかなり時間がかかった。
閑話休題。ご承知のように、今アメリカでは民主、共和両党それぞれの大統領候補指名争いが白熱化している。各州ごとに、どの人物がわが党の大統領候補にふさわしいか、予備選挙または党員集会を通じて決めていくのだ。名乗りを挙げた各候補は各州を遊説して自分への支持を呼び掛けたり、TVコマーシャルを流したり。この渦の中で、実はchangeという言葉が氾濫している。最初からchange(変革)を自派のスローガンとして売り込んだのは、民主党の大統領候補を目指すバラク・オバマ上院議員だ。ニュース映像でご覧のように、オバマ氏の選挙集会では支持者が手に手にchangeの標語を振りかざしている。
ところがいつの間にかchangeはオバマ氏の『専売特許』ではなくなり、どの候補もchangeを使うようになった。例えば、民主党候補として全国レベルで人気トップのヒラリー・クリントン上院議員はsmart change(スマートな変革)を約束し、民主党で人気3番手のジョン・エドワーズ元上院議員はreal change(本当の変革)を叫んでいる。さらに変革熱は共和党にも及び、ニューハンプシャー州(1月8日)、サウスカロライナ州(1月19日)予備選挙で勝ったマケイン上院議員は、changing Washington from within(内部からワシントンを変革)した実績を売り込んでいる。1月5日ニューハンプシャー州では民主、共和両党がそれぞれの候補者を集めて討論会(debate)を開いたが、両党の討論会を通じて候補者たちはchangeという言葉を全部で120回使ったという。
伊藤力司 (ジャーナリスト)
チエンジ(change)という言葉は、日本で最もよく知られた英単語の一つだろう。野球で3アウトになって攻守交代を意味する言葉だから。わたしも野球少年だったが、中学生になって正式に英語を勉強することになった。先生はchangeという単語を「変化」という意味だと説明し「チェンジ」と発音した。これが野球の「チエンジ」と同じ言葉だと理解するまでにかなり時間がかかった。
閑話休題。ご承知のように、今アメリカでは民主、共和両党それぞれの大統領候補指名争いが白熱化している。各州ごとに、どの人物がわが党の大統領候補にふさわしいか、予備選挙または党員集会を通じて決めていくのだ。名乗りを挙げた各候補は各州を遊説して自分への支持を呼び掛けたり、TVコマーシャルを流したり。この渦の中で、実はchangeという言葉が氾濫している。最初からchange(変革)を自派のスローガンとして売り込んだのは、民主党の大統領候補を目指すバラク・オバマ上院議員だ。ニュース映像でご覧のように、オバマ氏の選挙集会では支持者が手に手にchangeの標語を振りかざしている。
ところがいつの間にかchangeはオバマ氏の『専売特許』ではなくなり、どの候補もchangeを使うようになった。例えば、民主党候補として全国レベルで人気トップのヒラリー・クリントン上院議員はsmart change(スマートな変革)を約束し、民主党で人気3番手のジョン・エドワーズ元上院議員はreal change(本当の変革)を叫んでいる。さらに変革熱は共和党にも及び、ニューハンプシャー州(1月8日)、サウスカロライナ州(1月19日)予備選挙で勝ったマケイン上院議員は、changing Washington from within(内部からワシントンを変革)した実績を売り込んでいる。1月5日ニューハンプシャー州では民主、共和両党がそれぞれの候補者を集めて討論会(debate)を開いたが、両党の討論会を通じて候補者たちはchangeという言葉を全部で120回使ったという。
1年前までは泡沫候補扱いされていたオバマ氏が、正式指名争いの口火を切る今年1月3日のアイオワ州党員集会で、ヒラリー氏を破ったことはショッキングだった。これまでは考えられなかった黒人大統領が出現し、アメリカ政治を本当に変革するかもしれないという可能性が初めて見えたからだ。オバマ氏の演説を聞いていると、大統領がホワイトハウスからアメリカ変革を率いるのでなく、すべての市民とともに変革を進めようではないかとのメッセージが伝わってくる。米国民に命令する大統領ではなく市民と手を組んで歩くイメージが、オバマ氏のスローガンchangeにダブルのだ。
Changeに人気が集まるのは、米国民がブッシュ政権の7年間にほとほと愛想が尽きたことを意味する。2001年10月、アルカイダをかくまうタリバン政権のアフガン攻撃に踏み切ったブッシュ大統領の支持率は90%を超えていた。しかし2003年3月開戦したイラク戦争が泥沼化するにつれて、支持率は低落し続け、この数カ月30%そこそこだ。しかも反テロ戦争の戦費膨張で財政赤字は拡大、中国、日本などとの貿易赤字も重なってドル安は進む一方。しかも住宅バブルの崩壊で「サブプライム・ローン不況」が現実のものになろうとしている。ブッシュ政権とchange(交代)を、いちはやくスローガンにしたオバマ陣営に注目が集まるわけだ。
ジョン・F・ケネディ大統領、弟のロバート・ケネディ司法長官、非暴力不服従の人種差別反対闘争を指揮したマーティン・L・キング師の暗殺が続いた1960年代のアメリカ。これら指導者が自らの生命を犠牲にして闘った公民権闘争から40年後、白人の若者たちが皮膚の色と関係なく「変革」の大統領を選ぼうではないかとオバマ陣営に結集している姿を見る時、アメリカは変化しつつあるなと感じるのだ。それに引き替え、わが日本は2008年の子年、衆議院選挙を通じて自公政権を打ち破り、変革の政権を打ち立てることができるだろうか。筆者もそれを心から請い願っているのだが。
Changeに人気が集まるのは、米国民がブッシュ政権の7年間にほとほと愛想が尽きたことを意味する。2001年10月、アルカイダをかくまうタリバン政権のアフガン攻撃に踏み切ったブッシュ大統領の支持率は90%を超えていた。しかし2003年3月開戦したイラク戦争が泥沼化するにつれて、支持率は低落し続け、この数カ月30%そこそこだ。しかも反テロ戦争の戦費膨張で財政赤字は拡大、中国、日本などとの貿易赤字も重なってドル安は進む一方。しかも住宅バブルの崩壊で「サブプライム・ローン不況」が現実のものになろうとしている。ブッシュ政権とchange(交代)を、いちはやくスローガンにしたオバマ陣営に注目が集まるわけだ。
ジョン・F・ケネディ大統領、弟のロバート・ケネディ司法長官、非暴力不服従の人種差別反対闘争を指揮したマーティン・L・キング師の暗殺が続いた1960年代のアメリカ。これら指導者が自らの生命を犠牲にして闘った公民権闘争から40年後、白人の若者たちが皮膚の色と関係なく「変革」の大統領を選ぼうではないかとオバマ陣営に結集している姿を見る時、アメリカは変化しつつあるなと感じるのだ。それに引き替え、わが日本は2008年の子年、衆議院選挙を通じて自公政権を打ち破り、変革の政権を打ち立てることができるだろうか。筆者もそれを心から請い願っているのだが。
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