2008.01.29
ことば (language)
(6) ジャパニーズ・イングリッシュ (Japanese English)
ジャパニーズ・イングリッシュとは、日本語環境で育った人々がコミュニケーションの手段として使用する英語を指す。英米人の民族英語をベースにしているが、日本語の影響を強く受けたユニークな英語。国際英語の一種。
英語の学習に際して、私たちは、日本語の干渉をできるだけ排除した普遍性のある自然な英語を身につけたいと心底から願っているのだが、願いはなかなか叶わない。しかし、あきらめたくはない。コミュニケーション言語としてのジャパニーズ・イングリッシュが、母語としての民族英語に変身はできないとしても、少なくとも、外国とのコミュニケーションで支障のない、実用的でわかりやすい自然な英語は可能なはず。方法は、きっとある。
日本では従来、イギリス英語 (British English) が主流だったが、戦後は、イギリス英語に代わって、米語 (American English) が断然優勢になった。言語の普及は、国力(人口、経済力、技術力など)に比例して拡大する傾向があるので、超大国アメリカの母語が日本で繁栄するのは自然なこと。英和・和英辞典でも、今では米語のものが優勢で、単語や発音、スペル、例文は、米語を優先して記載するものが増えた。日本語の中の外来語数でも米語が圧倒的に多い。
アパート (米語 apartment、イギリスではフラットflat)
エレベーター (米語 elevator、イギリスではリフト lift)
アンテナ (米語 antenna、イギリスではエリアル aerial)
松野町夫 (翻訳家)
ジャパニーズ・イングリッシュとは、日本語環境で育った人々がコミュニケーションの手段として使用する英語を指す。英米人の民族英語をベースにしているが、日本語の影響を強く受けたユニークな英語。国際英語の一種。
英語の学習に際して、私たちは、日本語の干渉をできるだけ排除した普遍性のある自然な英語を身につけたいと心底から願っているのだが、願いはなかなか叶わない。しかし、あきらめたくはない。コミュニケーション言語としてのジャパニーズ・イングリッシュが、母語としての民族英語に変身はできないとしても、少なくとも、外国とのコミュニケーションで支障のない、実用的でわかりやすい自然な英語は可能なはず。方法は、きっとある。
日本では従来、イギリス英語 (British English) が主流だったが、戦後は、イギリス英語に代わって、米語 (American English) が断然優勢になった。言語の普及は、国力(人口、経済力、技術力など)に比例して拡大する傾向があるので、超大国アメリカの母語が日本で繁栄するのは自然なこと。英和・和英辞典でも、今では米語のものが優勢で、単語や発音、スペル、例文は、米語を優先して記載するものが増えた。日本語の中の外来語数でも米語が圧倒的に多い。
アパート (米語 apartment、イギリスではフラットflat)
エレベーター (米語 elevator、イギリスではリフト lift)
アンテナ (米語 antenna、イギリスではエリアル aerial)
ビルの階数にしても、日本ではアメリカ式に1階、2階、3階、…と呼ぶ。イギリス式ではグラウンド・フロア(1階)から始まって1階、2階、3階、…と呼ぶので、日米とは1階数のズレが生ずる。つまり、日本の3階をイギリスでは2階と呼ぶ。ただし、アメリカでもホテルについては、英国の階数方式を採用しているところがある。スペリングについても米国式スペルが日本では優勢だ。たとえば、色、color (colour), お気に入り、favorite (favourite), センター、center (centre) など。カッコ内はイギリスのスペルを示す。
日本では米語が主流なので、日本人は米語を学習すればよいと多くの人が考える。私もそう思う。コミュニケーションのツールとしての国際英語、ジャパニーズ・イングリッシュは、米語をベースにした方がよいと思う。イギリス文化に興味のある人やイギリスと取引関係のある人はともかく、一般の日本人なら、米語を学習するのは自然の流れでもある。
これにはしかし、問題もある。言語に関しては、イギリス人の方が教え方がうまい、という点が米語学習の難点だ。大英帝国時代から、イギリスは植民地の住民に英語を教えてきたという長年の経験と実績があり、言語教育・教授法ではイギリスの方がはるかに長けている。英英辞典を見ても、アメリカ系のウェブスター辞典よりもイギリス系のオックスフォード辞典やロングマン辞典の方が一般の日本人には、はるかに使いやすい。イギリス人の書いた英文の文法書の方がはるかにわかりやすく、おもしろい。しかも効果的。日本の英語学習者にとって、これは決定的に重要なことだ。そこで折衷案として私が提案したいのは、イギリス系の英英辞典をメインとし、アメリカ系はサブとして使用し、イギリス人の書いた英文法書を利用しながら、米語を学習するという方法である。米英語ともに、言語の根底にあるもの、基礎構造はまったく同じものだから、この方法で問題はない。多少、不便ではあるが。
え、英英辞典は使わないし、英文法も日本人の書いたものを読むからあまり自分には関係ない、ですって!? それはいけません。絶対にダメ。英文法は、原書だと瞬時にして確実に深く理解でき、文化の違いまでをも実感でき、とうとうと流れる知的な余韻をいつまでも楽しめるのに、せっかくのチャンスをつぶしている。実にもったいない!
英語を学習するとき、私たちは無意識のうちに英語を一度日本語に置き換えてから理解しようとする。英語のままではしっくりしないし、なんとなく落ち着かない。しかし実は、この無意識の習慣こそが英語の学習を著しく妨害しているのだ。日本語と英語が同じ部族に属し、似通った文型・語順・構造を持ち、かつ、各単語も一対一の対応関係にあれば、この方法で特に問題はないのかもしれないが、実際には英語と日本語は大きくかけ離れている。英語を日本語に置き換えて理解することは、わざわざ遠回りするようなもの。英語は英語で理解するのが一番の近道。
翻訳者の私が言うのも変な話だが、日本語に置き換えない方がよい。日本語を通すと、英語の「鮮度」が消滅し、学習が無味乾燥なものに変質する、そればかりか、情報が大脳に日本語で蓄積されてしまうため、実際に話すときに日本語しか出てこない。情報を英語で蓄積しておけば英訳の手間が省けるばかりか、それこそ純正のネイティブ・イングリッシュがすらすらと出てくることになる。原書を読んだら、その原語のまま理解し記憶すればよい。日本語に置き換えてはいけないが、長年の習慣でつい置き換えてしまう人は、英語も合わせて記憶すればよい。情報のバイリンガル版が完成するので、まさに一石二鳥だ。
そこで、中級の英語学習者には以下をお奨めしたい。いずれもインターネット書店 アマゾン から簡単に購入でき、原書とはいえ高校1年生程度の英語力で十分に使いこなせるものばかり。
英英辞典(いずれの辞書もCD付き。パソコンのハードディスクに保存して活用できる)
Oxford Advanced Learner's Dictionary, 7th Edition (全世界 3000万部のベストセラー)
Longman Advanced American Dictionary (見出語の定義が現代米語の使用頻度順に並ぶ)
イギリス人の文法書 (英米の文法の相違点にも言及。海外の某大学の英文法書として指定)
"English Grammar in Use" by Raymond Murphy, A self-study reference and practice book for intermediate students of English, with answers and CD-ROM.
日本では米語が主流なので、日本人は米語を学習すればよいと多くの人が考える。私もそう思う。コミュニケーションのツールとしての国際英語、ジャパニーズ・イングリッシュは、米語をベースにした方がよいと思う。イギリス文化に興味のある人やイギリスと取引関係のある人はともかく、一般の日本人なら、米語を学習するのは自然の流れでもある。
これにはしかし、問題もある。言語に関しては、イギリス人の方が教え方がうまい、という点が米語学習の難点だ。大英帝国時代から、イギリスは植民地の住民に英語を教えてきたという長年の経験と実績があり、言語教育・教授法ではイギリスの方がはるかに長けている。英英辞典を見ても、アメリカ系のウェブスター辞典よりもイギリス系のオックスフォード辞典やロングマン辞典の方が一般の日本人には、はるかに使いやすい。イギリス人の書いた英文の文法書の方がはるかにわかりやすく、おもしろい。しかも効果的。日本の英語学習者にとって、これは決定的に重要なことだ。そこで折衷案として私が提案したいのは、イギリス系の英英辞典をメインとし、アメリカ系はサブとして使用し、イギリス人の書いた英文法書を利用しながら、米語を学習するという方法である。米英語ともに、言語の根底にあるもの、基礎構造はまったく同じものだから、この方法で問題はない。多少、不便ではあるが。
え、英英辞典は使わないし、英文法も日本人の書いたものを読むからあまり自分には関係ない、ですって!? それはいけません。絶対にダメ。英文法は、原書だと瞬時にして確実に深く理解でき、文化の違いまでをも実感でき、とうとうと流れる知的な余韻をいつまでも楽しめるのに、せっかくのチャンスをつぶしている。実にもったいない!
英語を学習するとき、私たちは無意識のうちに英語を一度日本語に置き換えてから理解しようとする。英語のままではしっくりしないし、なんとなく落ち着かない。しかし実は、この無意識の習慣こそが英語の学習を著しく妨害しているのだ。日本語と英語が同じ部族に属し、似通った文型・語順・構造を持ち、かつ、各単語も一対一の対応関係にあれば、この方法で特に問題はないのかもしれないが、実際には英語と日本語は大きくかけ離れている。英語を日本語に置き換えて理解することは、わざわざ遠回りするようなもの。英語は英語で理解するのが一番の近道。
翻訳者の私が言うのも変な話だが、日本語に置き換えない方がよい。日本語を通すと、英語の「鮮度」が消滅し、学習が無味乾燥なものに変質する、そればかりか、情報が大脳に日本語で蓄積されてしまうため、実際に話すときに日本語しか出てこない。情報を英語で蓄積しておけば英訳の手間が省けるばかりか、それこそ純正のネイティブ・イングリッシュがすらすらと出てくることになる。原書を読んだら、その原語のまま理解し記憶すればよい。日本語に置き換えてはいけないが、長年の習慣でつい置き換えてしまう人は、英語も合わせて記憶すればよい。情報のバイリンガル版が完成するので、まさに一石二鳥だ。
そこで、中級の英語学習者には以下をお奨めしたい。いずれもインターネット書店 アマゾン から簡単に購入でき、原書とはいえ高校1年生程度の英語力で十分に使いこなせるものばかり。
英英辞典(いずれの辞書もCD付き。パソコンのハードディスクに保存して活用できる)
Oxford Advanced Learner's Dictionary, 7th Edition (全世界 3000万部のベストセラー)
Longman Advanced American Dictionary (見出語の定義が現代米語の使用頻度順に並ぶ)
イギリス人の文法書 (英米の文法の相違点にも言及。海外の某大学の英文法書として指定)
"English Grammar in Use" by Raymond Murphy, A self-study reference and practice book for intermediate students of English, with answers and CD-ROM.
Comment
ちづるさん:
コメント、ありがとうございます!!!
Webster 辞典はアメリカ文化を反映しているので、たとえば野球用語など、イギリス系のOxford辞典やLongman辞典に掲載されていない単語でもちゃんと出ているので、とても役に立ちます。ただ難点は、一般の日本人にはイギリス系の英英辞典の方が使いやすいと思います。特に、初めて英英辞典を使用しようとする人には。イギリス系の英英辞典には可算・不可算の記述や用例が多く、英作文のときに助かります。辞書はもちろん多い方がよいので、私自身、単語を検索するとき通常、「串刺し検索」の技法を利用して、20冊以上のデジタル辞書や事典類を同時に開いて検索しています。今度、翻訳者の愛用するこの串刺し検索について書いてみたいと思っています。(松野)
コメント、ありがとうございます!!!
Webster 辞典はアメリカ文化を反映しているので、たとえば野球用語など、イギリス系のOxford辞典やLongman辞典に掲載されていない単語でもちゃんと出ているので、とても役に立ちます。ただ難点は、一般の日本人にはイギリス系の英英辞典の方が使いやすいと思います。特に、初めて英英辞典を使用しようとする人には。イギリス系の英英辞典には可算・不可算の記述や用例が多く、英作文のときに助かります。辞書はもちろん多い方がよいので、私自身、単語を検索するとき通常、「串刺し検索」の技法を利用して、20冊以上のデジタル辞書や事典類を同時に開いて検索しています。今度、翻訳者の愛用するこの串刺し検索について書いてみたいと思っています。(松野)
松野町夫 (URL)
2008/02/05 Tue 10:19 [ Edit ]
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ちなみに私の一番大きい英英和辞典はウェブスターのものです…。以前お薦めの辞書を聞かれたことがあるので、この文をプリントアウトさせてもらって、紹介しようと思います。