2008.02.24
ことば (9) 名詞
可算か不可算か (countable or uncountable)
名詞は、ものの名を表すことば。世界のどの言語にも存在し言語の中核をなす。海外旅行の際、名詞だけで何とか通じたというのはよくある話。ここでは英語の名詞 (noun) を取り上げ、日本語との違いについて、特に可算(かさん)と不可算(ふかさん)について述べる。単純に同じものを見るだけなのに、日本人と英米人の見方は根本から異なる。
今、私は机の前に座ってパソコンのキーボードから文字を入力している。机、パソコン、キーボードなどはすべて名詞。机は desk、パソコンはパーソナル・コンピュータの略だが、英語ではPC (ピーシーと略す)。「パソコン」では英米人には通じない。キーボードは keyboard。
英語の名詞はすべて、数えられるか、数えられないか、どちらかになる。可算名詞(countable noun)とは、数えることができる名詞で desk, PC, keyboard など。一定の形のあるものは、たいてい数えることができる。不可算名詞(uncountable noun)とは、数えることができない名詞でwater, milk, rice, money など。一定の形を持たないものは数えることができない。お金 (money) は数えることができるじゃないか、ですって!はい、硬貨(coin) や紙幣 (bill) は数えることができますが、貨幣の意味の money は、現代の英米語では不可算です。
松野町夫 (翻訳家)
名詞は、ものの名を表すことば。世界のどの言語にも存在し言語の中核をなす。海外旅行の際、名詞だけで何とか通じたというのはよくある話。ここでは英語の名詞 (noun) を取り上げ、日本語との違いについて、特に可算(かさん)と不可算(ふかさん)について述べる。単純に同じものを見るだけなのに、日本人と英米人の見方は根本から異なる。
今、私は机の前に座ってパソコンのキーボードから文字を入力している。机、パソコン、キーボードなどはすべて名詞。机は desk、パソコンはパーソナル・コンピュータの略だが、英語ではPC (ピーシーと略す)。「パソコン」では英米人には通じない。キーボードは keyboard。
英語の名詞はすべて、数えられるか、数えられないか、どちらかになる。可算名詞(countable noun)とは、数えることができる名詞で desk, PC, keyboard など。一定の形のあるものは、たいてい数えることができる。不可算名詞(uncountable noun)とは、数えることができない名詞でwater, milk, rice, money など。一定の形を持たないものは数えることができない。お金 (money) は数えることができるじゃないか、ですって!はい、硬貨(coin) や紙幣 (bill) は数えることができますが、貨幣の意味の money は、現代の英米語では不可算です。
可算や不可算という概念は日本語にない。だから日本人にはどうしても理解できない部分が残る。また、同じ名詞でも意味により可算になったり、不可算になったりする。たとえば、paper は紙の意味では不可算、新聞紙の意味では可算になる。日本人でも説明を聞けば、9割ほどは簡単に区別できるようになると思うが、最終的には英米辞典や、英米人のチェック (native English speaker’s proofreading) に頼らざるを得ない。民族英語は私たちの母語ではないからだ。ちなみに、英語辞典では通常、可算名詞を [C]、不可算名詞を [U] と略記する。また、英米人の書いた文書を見て、名詞に a (an) や s が付いていたら可算名詞だとわかる。逆に、何も付いていなかったら不可算名詞だと一応、推測できる。しかし可算名詞には、単複同形や不規則変化するものがあるので一応推測できるが、疑問がある場合は面倒でも辞書で確認した方がよい。英米人には可算か不可算かは、誰でもわかるあたりまえのことのようだ。アメリカのWebster's Collegiate Dictionaryには見出し語に [C] や [U] の記述はない。イギリス系のオックスフォードやロングマンの英英辞典には[C] や [U] の記述があり、日本人にはわかりやすい。
たとえば、机の上にパソコンがあるとき、「机の上にパソコンがある」と日本人は表現し、パソコンの数量については表現しない。数が問題になるときだけ、1台とか2台とか、数を付け足すが、たいてい数量は無視してさしつかえない。というより、日本語の構造が特にそれを要求しないので、いちいち数量を表現するとおかしな日本語になってしまう。しかし英米人が数を無視することは絶対にない。英語の構造がそれを許さない。ものを表現する際、英米人は数えられるか、数えられないかをまず判断し、数えられるものの場合は、そのものが単数なのか、複数なのかを決定する。英米人は常に、こうした一瞬の作業を無意識のうちに強制されているのだ。通常、1台であれば名詞のまえに a (an) を、複数であれば名詞の後に s を追加して次のように表現する。
「机の上にパソコンがある」
There is a PC on my desk. (1台)
There are PCs on my desk. (2台以上)
注: CD やDVDも同様に可算名詞なので a CD, two CDs, a DVD, ten DVDs となる。
ものを表現するとき、英米人は絶えず、そのつど、ものの数を意識する(数意識)。数を意識するといっても、特にたいそうなことをしているわけではなく、単に、そのものが可算か不可算か、可算だとすれば、ひとつなのか(単数)、二つ以上なのか(複数)を区別しているにすぎない。日本語にはこの数意識はない。だから、日本人からみれば、毎回毎回、数を意識するなどまったく無駄なことをしているように思えるのだが、ものが単数か複数かを区別しないかぎり、英語ではもの自体すら表現できない。
money は不可算名詞。数えることができないので、a (an) や s を追加することはない。もちろん複数形はない。1つの形 (money) しかない。
「机の上にお金がある」
There is money on my desk.
まとめ: 英語では、名詞は数えられるか、数えられないかになる。可算名詞は単数形 (PC) か、複数形 (PCs) かになる。不可算名詞は1つの形 (money) しかない。
To sum up, in English a noun can be countable or uncountable. A countable noun can be singular (PC) or plural (PCs). An uncountable noun has only one form (money).
“There is PC on my desk.” とか、“There is a money on my desk.” とは英米人は決して言わない。しかし私たち日本人には、この種の表現はもちろん日常茶飯事だ。私たちは以前、I like banana, No more gun, No more Hiroshima と単数形で表現していたが、英米人はもちろん I like bananas, No more guns, No more Hiroshimas と複数形で表現する。バナナや拳銃 (gun) は可算名詞で複数形がよいと誰でもわかるが、広島は固有名詞だし不可算ではないかと、つい反発もしたくなるのだが、民族英語の所有権はもちろん英米人にあるので、ここは「はあー、そういうものなのですか」と素直に受け止め、この状況でHiroshima を複数形で表現する英米人の言語感覚に思いをはせた方がよっぽど楽しい。ここが文化の違いを実感させるところ、外国語勉強のまさに醍醐味である。
たとえば、机の上にパソコンがあるとき、「机の上にパソコンがある」と日本人は表現し、パソコンの数量については表現しない。数が問題になるときだけ、1台とか2台とか、数を付け足すが、たいてい数量は無視してさしつかえない。というより、日本語の構造が特にそれを要求しないので、いちいち数量を表現するとおかしな日本語になってしまう。しかし英米人が数を無視することは絶対にない。英語の構造がそれを許さない。ものを表現する際、英米人は数えられるか、数えられないかをまず判断し、数えられるものの場合は、そのものが単数なのか、複数なのかを決定する。英米人は常に、こうした一瞬の作業を無意識のうちに強制されているのだ。通常、1台であれば名詞のまえに a (an) を、複数であれば名詞の後に s を追加して次のように表現する。
「机の上にパソコンがある」
There is a PC on my desk. (1台)
There are PCs on my desk. (2台以上)
注: CD やDVDも同様に可算名詞なので a CD, two CDs, a DVD, ten DVDs となる。
ものを表現するとき、英米人は絶えず、そのつど、ものの数を意識する(数意識)。数を意識するといっても、特にたいそうなことをしているわけではなく、単に、そのものが可算か不可算か、可算だとすれば、ひとつなのか(単数)、二つ以上なのか(複数)を区別しているにすぎない。日本語にはこの数意識はない。だから、日本人からみれば、毎回毎回、数を意識するなどまったく無駄なことをしているように思えるのだが、ものが単数か複数かを区別しないかぎり、英語ではもの自体すら表現できない。
money は不可算名詞。数えることができないので、a (an) や s を追加することはない。もちろん複数形はない。1つの形 (money) しかない。
「机の上にお金がある」
There is money on my desk.
まとめ: 英語では、名詞は数えられるか、数えられないかになる。可算名詞は単数形 (PC) か、複数形 (PCs) かになる。不可算名詞は1つの形 (money) しかない。
To sum up, in English a noun can be countable or uncountable. A countable noun can be singular (PC) or plural (PCs). An uncountable noun has only one form (money).
“There is PC on my desk.” とか、“There is a money on my desk.” とは英米人は決して言わない。しかし私たち日本人には、この種の表現はもちろん日常茶飯事だ。私たちは以前、I like banana, No more gun, No more Hiroshima と単数形で表現していたが、英米人はもちろん I like bananas, No more guns, No more Hiroshimas と複数形で表現する。バナナや拳銃 (gun) は可算名詞で複数形がよいと誰でもわかるが、広島は固有名詞だし不可算ではないかと、つい反発もしたくなるのだが、民族英語の所有権はもちろん英米人にあるので、ここは「はあー、そういうものなのですか」と素直に受け止め、この状況でHiroshima を複数形で表現する英米人の言語感覚に思いをはせた方がよっぽど楽しい。ここが文化の違いを実感させるところ、外国語勉強のまさに醍醐味である。
| Home |




