2007.05.03
アメリカで初の「枯葉剤の悲劇」写真展を開催
フォトジャーナリスト
中村梧郎
中村梧郎
―マグナム60周年記念イヴェント参加作品に推挙―
今年2月7日から、マンハッタンにあるニューヨーク市立大学のジョンジェイ・カレッジで、中村梧郎写真展「ORANGE」が始まった。昨年10月の「枯葉剤−沈黙の春」展に続く個展であり、会期は6月16日まで5ヶ月のロングラン。写真展は、枯葉剤がひきおこした悲劇の全貌をアメリカ市民に提示する初めての機会となった。会場を訪れた人々は異口同音に「ベトナムでこんなことが起きていたのを初めて知った。胸が痛む」といった感想を語った。同展は日本の『枯葉剤ニューヨーク展を 成功させる会』など、多くの人々の支援と募金で実現したものである。ORANGE展はまた、5月から6月にかけてニューヨークで行なわれるマグナム・フェスティバル参加作品としても認められることが4月に発表された。マグナム(MAGNUM)はロバート・キャパやアンリ・カルティエ・ブレッソンなどが創設した世界トップのドキュメンタリー写真家集団であり、フェスティバルはその60周年の記念イヴェントである。その企画にふさわしい作品展と評価されたのであった。マグナム会員による写真展と並んで、ORANGE展はマグナムのウェブサイトでも紹介されることとなった。
ベトナム戦争で化学兵器として使用された枯葉剤(Agent Orange)とその被害について、日本ではこれまで様々に報道されてきた。例えばベトちゃんドクちゃんのストーリーは、誕生から分離手術、さらにこのたびのドクの結婚にいたるまで26年間もフォローされるものとなった。私の枯葉剤問題取材も30数年続いているが、このベトナムの苦難をアメリカの人々にこそ知って貰わなければ、という思いはこの間つのるばかりであった。

日本と同様に、戦争での加害の事実に対しては目を塞ごうとするアメリカで、写真展をどう実現するかは易しい課題ではなかった。原爆展でさえ拒絶しがちなアメリカ。そしてベトナム戦争の傷を今も深く背負う社会である。この間に9.11事件が起き、アフガンとイラクへの侵略も始まった。アメリカの愛国キャンペーンは先鋭化し、写真展開催は困難となった。しかし月日とともに、イラク戦争は「大量破壊兵器を隠し持ち、テロリストとつながっている」という捏造された理由での侵略であることが明らかとなった。
ブッシュ大統領への支持は昨年になって急落、「アメリカがこれまでやってきた戦争とは、本当は何だったのか」と問い直す動きも広がった。そうした状況下で、写真展は急きょ実現へと動いた。アメリカでの枯葉剤報道はこれまで「ベトナムから帰った米兵が後遺症に苦しむ事実」ばかりに終始し、ベトナム人の背負った悲劇が積極的に報じられることはなかった。メディアが取り上げ始めたのは戦後30年以降のことである。
ORANGE展はニューヨークの後、秋にはテネシー、さらにノースカロライナに移動することが決まっている。アメリカのNPO「復興と開発のための基金FFRD」は写真展の全米巡回を目指して動いている。また、中村梧郎のベトナムでの取材活動と、それがニューヨーク展に結実するまでを記録した1時間のドキュメンタリーが5月21日夜7時から8時まで、NBS(長野放送)月曜スペシャルで放映される。全国放映は未定だが、7月ごろにフジテレビ系列で、深夜放映となる可能性もあるという。
(2007.4.26)

日本と同様に、戦争での加害の事実に対しては目を塞ごうとするアメリカで、写真展をどう実現するかは易しい課題ではなかった。原爆展でさえ拒絶しがちなアメリカ。そしてベトナム戦争の傷を今も深く背負う社会である。この間に9.11事件が起き、アフガンとイラクへの侵略も始まった。アメリカの愛国キャンペーンは先鋭化し、写真展開催は困難となった。しかし月日とともに、イラク戦争は「大量破壊兵器を隠し持ち、テロリストとつながっている」という捏造された理由での侵略であることが明らかとなった。
ブッシュ大統領への支持は昨年になって急落、「アメリカがこれまでやってきた戦争とは、本当は何だったのか」と問い直す動きも広がった。そうした状況下で、写真展は急きょ実現へと動いた。アメリカでの枯葉剤報道はこれまで「ベトナムから帰った米兵が後遺症に苦しむ事実」ばかりに終始し、ベトナム人の背負った悲劇が積極的に報じられることはなかった。メディアが取り上げ始めたのは戦後30年以降のことである。
ORANGE展はニューヨークの後、秋にはテネシー、さらにノースカロライナに移動することが決まっている。アメリカのNPO「復興と開発のための基金FFRD」は写真展の全米巡回を目指して動いている。また、中村梧郎のベトナムでの取材活動と、それがニューヨーク展に結実するまでを記録した1時間のドキュメンタリーが5月21日夜7時から8時まで、NBS(長野放送)月曜スペシャルで放映される。全国放映は未定だが、7月ごろにフジテレビ系列で、深夜放映となる可能性もあるという。
(2007.4.26)
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