2008.04.12 ことば (14) 進行形
I am doing

松野町夫 (翻訳家)

英語には、状態を表す動詞と動作を表す動詞がある。 I have a book. の have は「本を持っている」という状態を表している。しかし、I read a book. の read は「読む」という単発の動作を表しているに過ぎず、「読書中」という状態を表しているわけではない。「読書」が継続・進行している状態を表すには、進行形を用いて、I'm reading a book. (= 本を読んでいる)と表現する。

通常、状態動詞は進行形にできない。もともと状態を表しているので進行形にする必要がない。動作動詞は進行形にすることができ、進行形にすると現在の一時的な状態を表すようになる。(詳しくは、動作動詞と状態動詞を参照)

進行形は、動作や物事が継続・進行している状態を表す。これが原則(基本)。

I am doing something.
= I am in the middle of doing something at the time of speaking. (原則)
話している時点で進行中の動作を表す。

Will you turn the TV down a bit? I'm reading a book now. (原則)
テレビの音量を少し下げてくれない?今、本を読んでいる最中なんだ。

恥ずかしいことに、私は学生の頃、この原則を厳密に解釈し、英語では物事が「進行中」でなければ進行形は使えないと誤解していた時期がある。「進行中」という原則ににがんじがらめに縛られていた。かなりの期間、そう思い込んで信じて疑わなかった。思い込みは恐い。
しかし、英語でも日本語でも、話すときに動作や物事が必ずしも進行中でなくても進行形は使えると知ったとき、急に鎖から解放されたような気がしてうれしかった。思い込みという「くびき」から解放され「表現の自由」を手に入れたような気がした。ウーン、ことばって、あまり堅苦しく考えてはいけないんだ。「原則」とその「拡大解釈的な用法」。これは、進行形に限らず、また、英語に限らず、たぶん言語全般に当てはまることだと思う。ことばには、原則と、それを拡大解釈して表現できる仕組みが必ずある。

I am doing something.
= I have started doing something and I have not finished it yet. (拡大解釈)
進行中ではないが、開始してまだ終了していない動作を表す。

I want to go to Seoul this summer, so I'm studying Korean now. (拡大解釈)
この夏、ソウルに行きたいので、今、韓国語を勉強している。(友人と電話での会話)

現在、友達と電話で話している最中なので、厳密にいえば、韓国語を勉強しているわけではない。しかし、こういう場合にも、もちろん使える。韓国語の勉強を始めていて、まだ終えていない状態なので、勉強は「進行中」と拡大して解釈しているわけである。

現在進行形は、今、または今と関係のある語と一緒に使用することができる。
You can use the present continuous with "now" or time words (periods around now) such as today, this morning, this afternoon, this evening, tonight, this week, this month, this year, etc.

Oh, you're working hard today. お、今日は仕事がんばっているね。
Our company is losing money this year. 今年はうちの会社は赤字だ。

進行形には、もうひとつ重要な用法がある。現在進行形は「未来」も表現できる。英米人は、近い未来の予定を表すのに、現在進行形を驚くほど頻繁に使用する。現在と未来の意味が混乱しないように、最初に話し出すときに一回だけ、未来の時間を表す語(tonight, next week など)を付け加える。この用法は、"be going to " (〜するつもり)とほぼ同じ意味なので、たいていの場合 "be going to " に置き換えることができるが、現在進行形を使用する方が多い。

I'm meeting Ken tonight. He is taking me to a movie.
今晩、ケンと会うつもり。映画に連れてってくれる約束なの。

What time is he arriving at Narita tonight?
彼は今晩何時に成田に到着しますか? (顧客の予定を秘書に確認)

近い未来の予定を表現するには、このように未来の時間を表す語 (time words, time phrases) と一緒に現在進行形を使う。未来といえば、私たちはつい、will を使いたくなるが、英米人は上述の2つの文に、will を使うことはない。というか、こういう状況ではwill は使えない。学校では will = be going to と教えるが、実際には、これが当てはまらないことも多い。

will と be going to との違いは、「いつ、決定したのか」、つまり決定の時期が決め手となる。今、決めた場合は will を使用し、前から決めていた(=予定)場合は be going to または現在進行形を使用する(下図参照)。
ことば (14) 進行形

A: She is in the hospital. 彼女、入院しているよ。
B: Oh really? I didn't know. I'll go and visit her. ほんと?知らなかった。お見舞いに行かなきゃ。

A: She is in the hospital. 彼女、入院しているよ。
B: Yes, I know. I'm going to visit her this evening. (= I'm visiting her...)
ウン、知ってる。今日の夕方、お見舞いに行くつもりなんだ。

A: He called you while you were out. 外出中に彼から電話があったわよ。
B: OK. I'll call him back. あ、そう。じゃあ、電話しなきゃ。

A: He called you while you were out. 外出中に彼から電話があったわよ。
B: Yes, I know. I'm calling him back later. ウン、後で電話することになっているんだ。

入学式や結婚式など重要なイベントは通常、事前に準備されているもの。だから will ではなく、be going to や現在進行形がふさわしい。

二人は来月、結婚します。
They will get married next month. はダメ。
They are getting married next month. (= They are going to get married...) OK

こういう場合英米人は、They will get married next month. とは決して言わない。しかし、私たち非英米人の国際英語ではもちろん、日常茶飯事。「未来形には will を使う」のは海外にも広く行き渡っているようで、マレーシアやシンガポール、タイ、台湾、香港、韓国でもよく耳にする。ただし、「二人は来月、結婚するような気がする」と推量するときは、will を使う。 I think they'll get married next month.

現在進行形がわかると、過去進行形や未来進行形も自然とわかる。「進行中」の状態が「現在 (now)」の時点から、単に、「過去 (past)」や「未来 (future)」の時点に移行するだけのこと。

I'm taking a shower now. (現在進行形)
今、私はシャワーをあびている。
I was taking a shower when you called. (過去進行形)
電話をもらったとき、私はシャワーをあびていた。
At 7 o'clock tomorrow, I'll be taking a shower. (未来進行形)
明日の7時は、私はシャワーをあびていると思う。

まとめ:
進行形は、動作が「進行中」のとき、「断続的に進行」しているとき、「予定」を表現するときに使用する。

英米人は進行形を頻繁に使う。その使用頻度は実に高い。私たちの予想をはるかに超える。せめて予定を表現するときぐらい、私たちも進行形を使うのはどうでしょうか。使用頻度が一挙に英米レベルに近づきます。
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