2015.03.20 折り紙(origami)
日本の文化 (1)

松野町夫 (翻訳家)


折り紙は、紙を折っていろいろな形を作る日本の伝統的な遊びである。私も子供の頃、紙飛行機を作って室内で飛ばしたり、新聞紙を折って大型のかぶと(samurai helmet)を作り、それを頭にかぶって遊んだりした時期がある。「折り紙」はアメリカやヨーロッパでも、”origami” という。
origami [U]
the Japanese art of folding paper into attractive shapes. (OALD7)
直訳: 紙を折って魅力的な形を作る日本の技芸。

『日本文化いろは事典』によると、折り紙の起源は包装紙だという。平安時代において紙は高級品で、貴族の間ではその紙を使って贈り物をいかに美しく包装するかが流行し、これが折紙の原点となった。
日本文化いろは事典
http://iroha-japan.net/iroha/B04_play/09_origami.html

また、世界大百科事典の「折紙」によると、「折紙の本来の語義から熨斗(のし)や包形(つつみがた)も折紙に加えるなら時代は相当さかのぼれるが,遊戯的折紙の資料となると,江戸後期の寛政9年(1797)に初版の出た《千羽鶴折形》が現存する世界最古の資料である」とのこと。

いずれにせよ、折り紙が日本独自の文化であったのはまちがいない。折り紙は日本で生まれ、その後、海外に普及した。折紙愛好者はとくに欧米に多い。アメリカ、イギリス、イタリア、フランスには折紙協会もある。先日、NHK Eテレで米国の折紙作家 Robert Lang の「折り紙の数学と魔法」というプレゼンテーションを視聴し、あらためて折り紙の時代を超えた可能性に驚嘆した。Origami はもはや日本の伝統技芸ではなく、数学や科学とつながったことで今も進化し続けている、世界の現代技芸である。「折り紙の数学と魔法」については以下のサイトを参照してください。
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/150204.html

折り紙の折り畳み技術は、数学、情報工学、建築、デザインなど様々な分野で「折紙工学(origami engineering)」として研究されている。実際、産業機器への応用も少なくない。たとえば、自動車のエアバッグや、宇宙望遠鏡、宇宙ソーラーパネル、ステントグラフトなど。

折り紙ステントグラフト (origami stent graft) は、動脈硬化などで動脈の一部が狭くなり、血液が流れにくくなっている部位の血管を広げたりするのに使用する医療用具で、チタン・ニッケル系の形状記憶合金(shape memory alloy)のシートから作る。血管を移動中は小さく折り畳まれた状態で、患部に到達すると体温で自己展開する(Self-deployable)という。

折り紙のように幾重にも折り畳むことで、大きなものも小さく収納でき、また持ち運びにも便利である。

扇子 a folding fan.
折り畳み戸 a folding door.
折り畳み傘 a folding umbrella.
折り畳み椅子 a folding chair.
折り畳みテーブル a folding table.

韓国の李御寧(イ・オリョン)はその著書 『「縮み」志向の日本人』 のなかで、日本人は古代より小さいものに美を認め、あらゆるものを縮めようとする傾向がある。盆栽、茶道、華道、俳句、短歌、扇子、入れ子、トランジスタなどのように、「縮める」ところに日本文化の特徴がある、というような趣旨を述べているが、折り紙もまさにこうした日本文化のひとつである。

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