2008.04.30
黒澤明全作品30作の放映(4)
―5月は初期の作品を観る貴重な機会―
08年5月のNHK・BS2で放映される黒澤作品は次の8本である。
『椿三十郎』、『野良犬』以外は、処女作から戦後第2作までの全作品であり観る機会の少ない作品が並んでいる。
放映日 開始時刻 タイトル (製作年)
・5月 3日(土) 21:15 『椿三十郎』 (1962年)
・5月 5日(月) 21:15 『野良犬』 (1949年)
・5月 6日(火) 21:15 『姿三四郎』 (1943年)
・5月 7日(水) 21:15 『続・姿三四郎』 (1945年)
・5月 8日(木) 21:15 『一番美しく』 (1944年)
・5月 9日(金) 21:15 『虎の尾を踏む男達』 (1945年)
・5月10日(土) 21:15 『わが青春に悔なし』 (1946年)
・5月24日(日) 21:00 『素晴らしき日曜日』 (1947年)
(日時は正確を期していますが新聞番組表などでご確認ください)
『椿三十郎』は『用心棒』の続編。娯楽性が前面に出たもので三船の殺陣とストーリー展開の面白さを楽しむ映画である。
半澤健市 (元金融機関勤務)
08年5月のNHK・BS2で放映される黒澤作品は次の8本である。
『椿三十郎』、『野良犬』以外は、処女作から戦後第2作までの全作品であり観る機会の少ない作品が並んでいる。
放映日 開始時刻 タイトル (製作年)
・5月 3日(土) 21:15 『椿三十郎』 (1962年)
・5月 5日(月) 21:15 『野良犬』 (1949年)
・5月 6日(火) 21:15 『姿三四郎』 (1943年)
・5月 7日(水) 21:15 『続・姿三四郎』 (1945年)
・5月 8日(木) 21:15 『一番美しく』 (1944年)
・5月 9日(金) 21:15 『虎の尾を踏む男達』 (1945年)
・5月10日(土) 21:15 『わが青春に悔なし』 (1946年)
・5月24日(日) 21:00 『素晴らしき日曜日』 (1947年)
(日時は正確を期していますが新聞番組表などでご確認ください)
『椿三十郎』は『用心棒』の続編。娯楽性が前面に出たもので三船の殺陣とストーリー展開の面白さを楽しむ映画である。
『野良犬』は戦後5本目の作品である。ニュース映画風に戦後の東京を延々と撮った場面、後景音楽などが時代をよく反映している。私などはこの画面を見ると「これが戦後だ」という切ない気持に襲われるのである。復員兵の生きかたを描いたテーマは重いが黒澤はサスペンス映画として娯楽性を強く打ち出している。
作品は処女作に回帰するというが黒澤の場合も例外ではない。
第1作『姿三四郎』は、のちの黒澤映画の特長である主人公の向上意欲、美しい師弟関係、スローモーション撮影、華麗な画面展開などがほぼ全部が出ていると思う。理屈なしの面白さをじっくり見て頂きたい。封切時のフィルム全篇が残っていないので、字幕でカバーしている場面があるのは残念。
『続・姿三四郎』は黒澤自身は気が乗らなかったようだが、米人ボクサーとの対決など時代色も良く出ており娯楽作品としては正篇に劣らない面白さだと私は思っている。
『一番美しく』は勤労動員でレンズ工場に働く若い女性の群像劇である。女優が工場労働者になりきったドキュメンタリータッチの面白さを楽しみたい。戦後、黒澤は真珠湾攻撃を描いた「トラトラトラ」を撮る予定であったがアクシデントで実現しなかった。したがって黒澤明が「大東亜戦争」を描いた―銃後の姿ではあるが―作品はこの一本だということになる。主役の一人渡辺ツルに扮した矢口陽子はのちに黒澤明夫人となった。
『虎の尾を踏む男達』は歌舞伎「勧進帳」の映画化でミュージカル仕立てのユニークな作品である。完成が終戦を挟んだのでGHQによる「封建的復讐劇」検閲のため封切られたのは講和条約後の1952年であった。コメディリリーフとしての榎本健一(エノケン)が巧みに使われているが、弁慶役の大河内伝次郎の堂々たる演技も見ものである。四天王の一人に森雅之が出ている。
『わが青春に悔なし』 は黒澤の戦後第1作である。ゾルゲ事件の尾崎秀実と京大事件の滝川幸辰をモデルとしており、滝川の娘に扮した原節子の個性的な演技が話題になった。黒澤における「戦後民主主義」の映像化である。篠田正浩の『スパイゾルゲ』と比較して観る人は戦後60年の変化を痛感することであろう。
『素晴らしき日曜日』の主人公は復員兵である。黒澤作品では小品だが、貧しい恋人たちの一日をいとおしんで描いた珠玉のような作品である。ラスト近くで黒澤が見せる意表を衝く画面展開を読者はどう感じられるであろうか。
各作品ともデジタルリマスターで画面は改善されていると思うが音声とも劣化は覚悟しておく必要がある。
作品は処女作に回帰するというが黒澤の場合も例外ではない。
第1作『姿三四郎』は、のちの黒澤映画の特長である主人公の向上意欲、美しい師弟関係、スローモーション撮影、華麗な画面展開などがほぼ全部が出ていると思う。理屈なしの面白さをじっくり見て頂きたい。封切時のフィルム全篇が残っていないので、字幕でカバーしている場面があるのは残念。
『続・姿三四郎』は黒澤自身は気が乗らなかったようだが、米人ボクサーとの対決など時代色も良く出ており娯楽作品としては正篇に劣らない面白さだと私は思っている。
『一番美しく』は勤労動員でレンズ工場に働く若い女性の群像劇である。女優が工場労働者になりきったドキュメンタリータッチの面白さを楽しみたい。戦後、黒澤は真珠湾攻撃を描いた「トラトラトラ」を撮る予定であったがアクシデントで実現しなかった。したがって黒澤明が「大東亜戦争」を描いた―銃後の姿ではあるが―作品はこの一本だということになる。主役の一人渡辺ツルに扮した矢口陽子はのちに黒澤明夫人となった。
『虎の尾を踏む男達』は歌舞伎「勧進帳」の映画化でミュージカル仕立てのユニークな作品である。完成が終戦を挟んだのでGHQによる「封建的復讐劇」検閲のため封切られたのは講和条約後の1952年であった。コメディリリーフとしての榎本健一(エノケン)が巧みに使われているが、弁慶役の大河内伝次郎の堂々たる演技も見ものである。四天王の一人に森雅之が出ている。
『わが青春に悔なし』 は黒澤の戦後第1作である。ゾルゲ事件の尾崎秀実と京大事件の滝川幸辰をモデルとしており、滝川の娘に扮した原節子の個性的な演技が話題になった。黒澤における「戦後民主主義」の映像化である。篠田正浩の『スパイゾルゲ』と比較して観る人は戦後60年の変化を痛感することであろう。
『素晴らしき日曜日』の主人公は復員兵である。黒澤作品では小品だが、貧しい恋人たちの一日をいとおしんで描いた珠玉のような作品である。ラスト近くで黒澤が見せる意表を衝く画面展開を読者はどう感じられるであろうか。
各作品ともデジタルリマスターで画面は改善されていると思うが音声とも劣化は覚悟しておく必要がある。
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すごく内容の濃いブログですね、
とても勉強になります。
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