2016.02.19  獄中と国外に逃れた若者民主化グループはいま
          「1月25日革命から5年」③

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 大統領就任後、シーシは独裁的権力者としての本性を隠すことなく示すようになった。それは、クーデター直後のデモと集会を厳しく制限した2013年発令のデモ・集会規制法から、幅広い禁止条項と重い刑罰が特徴の反テロリズム法(2015年8月)に至る法律が相次いで発令され、裁判官と検察官の全面的な協力の下で、治安警察による逮捕、投獄、死刑を含む重刑判決が広がったことだ。
 集会・デモの自由、言論・表現の自由は、革命を先導した若者が多い世俗的な民主化グループの最も重要な要求だった。若者たちは、これらの弾圧法令に当然反発し、無届集会、デモを決行、次々と逮捕、拘留された。逮捕者は警察で暴行され、若い女性は全員“処女検査”を強制された。ひどく痛めつけられたうえ。一部は拘留されたまま裁判にかけられ、一部は釈放されたが、一部は海外に脱出した。BBC電子版は1月25日、世界が注目した活動家たちの現状を「エジプトの革命家たちーいま何処に」で次のように伝えている。
 ―指導的な民主活動家アラー・アブデル・ファタハは、デモ規制法によって5年の投獄刑の判決を受け、すでに3年間刑務所にいる。彼の母のライラ・スエフは「息子は家族とこの国に起こっていることを、とても心配しています」「革命の目標は何一つ実現しませんでした。現政権はエジプトの歴史上最悪です」と語った。
 革命に重要な役割を果たした著名な民主活動家アハメド・ドゥーマは昨年2月、反乱、暴力行為の教唆、治安部隊への攻撃の罪で終身刑の判決を受け、投獄されたまま。妻のヌルハン・ヒフジは「彼はもう2年以上、獄中にあって落ち込んでいます。でも、変革への夢を今も信じています」と語った。
 グーグル・エジプトのトップで民主活動家だったワエル・ゴニムは国外に避難して落ち着いた。彼は革命前、フェースブック上で「我々はみんなハレド・サイード」のキャンペーンを展開、「1月25日革命」のスタートに大きな役割を果たした。ハレド・サイードは治安警察の私服2人に撲殺されたネット上の民主活動家。クーデター後、ゴニムはエジプトを離れ、現在は米国に住み、エジプトの政権を批判するネット上のキャンペーン・サイトを最近スターさせた。彼はBBCの取材に対し「不幸にも、エジプトでの出来事は腹部へのパンチみたいだ。モルシ大統領が軍に打倒された後、状態は悪化した。わたしは2年以上、沈黙してきた」と語った。
 「4月6日」運動の発起人の一人、エサラー・アブデル・ファタハは「革命から5年後のいま、一部のひとはわれわれのことを、裏切り者、スパイだとみなしています」「メディアは、革命決起をエジプトの安定を壊そうとした陰謀だったと画がいています」という。彼女はいまもネット・メディア上での発言を活発に続けているが、「いま起こっていることは、ムバラク時代の復活です」と非難した。
 ワエル・アバスはネット上で、エジプトでの人権侵害と警察の残忍な行動を、訴え続けている。彼はエジプトでもっとも影響力がある政治ブロガーとみなされている。しかしアバスは「いまは、奇跡を待っています。政権は、銃でわれわれを支配しているのです。議会は支配当局に握られています」と語った。
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