2016.03.13   話にならない
                        
宮里政充 (もと高校教員)
          
分かりやすく構図を描こう。
仲介者に促され、もめ事は話し合いで解決することを目指すと約束してみせる。だが、舌の根も乾かぬうちに相手方に短刀を突き付け、あるいは足を踏みつけながら、こちらに従えと威圧する。それでいて、世間には笑顔を見せて善人ぶる。そんな厚顔極まる神経を持っているとしか思えない。時代劇に出てくる悪代官の話ではない。沖縄を組み敷こうとする現代の為政者だから始末に負えない。これは、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を伴う新基地建設をめぐる安倍政権の対応である。辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事に対し、国は取消処分の是正を指示した。4日に成立した代執行訴訟の和解条項は県側との「円満解決」に向けた協議をすることが盛り込まれたが、国は協議の段取りを一切踏まず、わずか3日後に是正指示を出した。取りも直さず、「唯一の解決策」と印象操作する辺野古移設に向け、司法判断を得ることを最優先すると宣言したわけだ。中谷元・防衛相はすぐに米政府高官へ報告し「辺野古が唯一の選択肢」と確認した。米国に忠誠を誓う姿と沖縄への強硬姿勢の落差という見飽きた光景である。……敗訴を恐れ、県との歩み寄りを演出しようとしたよこしまな思惑を自ら掘り崩す挙に出たことで、世論の反作用を引き起こすだろう。

上の文章は3月8日(火)の琉球新報社説の前半部分である。長々と引用したのは、今の私の憤懣や危機感を十分に代弁してくれているからである。私は辺野古代執行裁判について政府と沖縄県が和解案を受け入れた(3月4日)件についてひとまず安心しながらも、受け入れを決断した安倍政権の思惑についてこの欄で意見を述べようと思っていたところだった。
 
安倍政権が和解を受け入れた裏にはしたたかな計算が働いている。たとえば、国敗訴に危機感を抱き和解を受け入れることで劣勢を挽回できると確信したこと、裁判継続による国政選挙への悪影響を払拭すること、沖縄県側の証人申請を裁判所が拒否した事実から、裁判所が国側に傾いているという感触を得たことなどが挙げられるだろう。安倍首相が「辺野古移設が唯一の解決策であるという姿勢に変わりはない」と明言したのはこれらの事情を踏まえてのことである。つまり、安倍政権の姿勢にいささかの変更もないばかりか、その強権性はさらにエスカレートしているということである。
今沖縄の人たちは安倍政権の行いを批判的に受け止め、怒りを新たにしている。
冗談じゃない。これじゃあ話にならない。いつまで沖縄を愚弄するつもりだ?

和解受け入れの時、ふてぶてしい笑顔で翁長雄志知事と握手を交わした安倍首相のその笑顔が一転かき曇る事態に追い込むことが、われわれ本土に住みこの国が民主国家であり続けたいと切望する者のエネルギーの源でありたい。
(2016.03.09記す)
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