2016.03.22  国谷裕子さん、23年間ご苦労さま。「クロ現」つぶしに抗議する
坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 NHKは、視聴者の信頼を集めてきた看板番組「クローズアップ現代」のキャスター国谷裕子さんを、3月17日を最後に降坂させた。番組そのものを「クローズアップ現代+」に変更してゴールデンアワーの午後7時半から午後10時に動かす。キャスターは女性アナ7人が交代で務めるという。
国谷キャスターが23年間にわたり独立したキャスターとして、かなり自由に発言し、権力者におもねることがなかったため、とくに自民党政権は反感を抱いてきた。しかし、歴代政権は看板番組「クロ現」を直接槍玉にあげて、公然と攻撃することまでは避けてきたように見えた。だが安倍政権は、まずNHK会長に籾井勝人氏を押し込んだ。同会長は恥をさんざん晒し、国会でも厳しく批判されながら、NHK内部の人事と番組に魔手を伸ばし、ついに国谷キャスターの「クロ現」をつぶしたのだ。後任の女性キャスターたちはNHKの職員であり、独立したパーソナリティの国谷さんと異なりコントロールがしやすい。番組制作現場とNHK職員全体、そして新キャスターたち自身の頑張り期待するが、視聴率の低下は避けられないだろう。これは国民の視聴料で運営されている公共放送局NHKにとって、大きな損失になる。
国谷さんは、国内だけでなく、米国はじめ国際的な要人、政治家、学者、芸術家、芸能人らに直接英語でインタビューをして、生放送してきた。決して臆することがない国際インタビューは見事だった。これができるTVキャスターは、日本では国谷さんだけだ。惜しい。国谷さんの「クロ現」をつぶした安倍政権と籾井会長は、日本の放送文化に大きな損害を与えた犯罪者だ。
この春、民放でもテレビ朝日の古舘キャスターをはじめ、優れたテレビ・キャスターが降坂した(降坂させられた!)。憲法改正(改悪)を「在任中に成し遂げたい」と公然と言い出した安倍首相のお気に召すまま、あるいは自らも進んで「放送法による放送局の電波停止の可能性もある」などの暴言を繰り返す高市総務相発言など、メディアに対する政権と自民党からの攻撃が露骨になってきた。この安倍首相の「在任中に」発言の世論調査は「評価する」38%、「評価しない」49%(朝日新聞世論調査)だった。自信をもって安倍政権のあくどい攻勢に総反撃しよう。

(参考資料:朝日新聞デジタル:WEBRONZA「国谷キャスター降坂で番組コントロールを狙う」冒頭部を引用。この記事をなぜ本紙に載せなかったのか。まさか自粛したのだとは思いたくないが)

NHK「クロ現」国谷キャスター降板と後任決定の一部始終
川本裕司 | 朝日新聞記者、WEBRONZA筆者 2016年2月13日 15時
23年間にわたりNHKの看板報道番組「クローズアップ現代」のキャスターを務めてきた国谷裕子さんが3月17日を最後に降板する。続投を強く希望した番組担当者の意向が認められず上層部が降板を決断した背景には、クロ現をコントロールしたいNHK経営層の固い意思がうかがえる。
クロ現は4月から「クローズアップ現代+」と番組名を一部変え、放送時刻も午後10時からと深くなる。後任のキャスターにはNHKの女性アナウンサー7人が就くと、2月2日に発表された。ただ、7人の顔ぶれが決まるまで、「ニュースウオッチ9」の大越健介・前キャスターが浮上したり、最終局面で有働由美子アナの名前が籾井勝人会長の意向を反映する形で消えるなど曲折があったという。
複数のNHK関係者によると、黄木紀之編成局長がクロ現を担当する大型企画開発センターの角英夫センター長、2人のクロ現編集責任者と昨年12月20日すぎに会った際、国谷さんの3月降板を通告した。「時間帯を変え内容も一新してもらいたいので、キャスターを変えたい」という説明だった。
センター側は「国谷さんは欠かせない。放送時間が変われば視聴者を失う恐れがあり、女性や知識層の支持が厚い国谷さんを維持したまま、番組枠を移動させるべきだ」と反論した。しかし、黄木編成局長は押し切った。過去に議論されたことがなかった国谷さんの交代が、あっけなく決まった。
国谷さんには角センター長から12月26日、「キャスター継続の提案がみとめられず、3月までの1年契約を更新できなくなった」と伝えられた。
国谷さんの降板にNHKが動きを見せたのは、昨年10月下旬にあった複数の役員らが参加した放送総局幹部による2016年度編成の会議だった。
編成局の原案では、月~木曜の午後7時30分からのクロ現を、午後10時からに移すとともに週4回を週3回に縮小することになっていた。しかし、記者が出演する貴重な機会でもあるクロ現の回数減に報道局が抵抗し、週4回を維持したまま放送時間を遅らせることが固まった。
報道番組キャスターや娯楽番組司会者については、放送総局長の板野裕爾専務理事が委員長、黄木編成局長が座長をそれぞれつとめ部局長が委員となっているキャスター委員会が決めることになっている。番組担当者からの希望は11月下旬に示され、クロ現の場合は「国谷キャスター続投」だった。現場の意向を知ったうえでの降板決定は、NHK上層部の決断であることを物語っている。
現場に対しても「番組の一新」という抽象的な説明しかなかった降板の理由について、あるNHK関係者は「経営陣は番組をグリップし、クロ現をコントロールしやすくするため、番組の顔である国谷さんを交代させたのだろう」と指摘する。
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