2016.04.15 イスラム国(IS)がいまも、1,800人の女性を性奴隷に
―国際人権組織HRWが最新報告(1)

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

最も信頼されている国際人権団体の一つヒューマン・ライト・ウオッチ(HRW、本部ニューヨーク)は、4月5日、イスラム過激派「イスラム国(IS)」に拘束され、いまも残酷な性奴隷にされたままの10歳代を含む1,800人のイラク人少数宗派ヤジディ教徒の女性の現状、逃走して保護された約1,000人女性たちのリハビリの取り組み、さらにIS支配下に暮らすスンニ派イラク人女性たちへの抑圧について、最新の報告(英文14ページ)を発表した。
ISは2014年8月、住民のほとんどがヤジディ教徒であるイラク西北部の町シンジャルを占領。ほとんど非武装の男性住民約500人を殺害、国連によると5千~7千人の女性と子供たちを捕らえた。うち約3,000人の女性たちを男性兵士たちに分配、兵士たちは一部を強制的に妻とし、大部分はほしいままに性暴行し、奴隷として売買した。
その後、一部の女性は必死の逃避行でISの支配地域から脱出、一部は金目的で脱出を補助するブローカーの手で、ISと戦い続けるクルド人武装勢力に救出された。その女性たちの多くが、HRWはじめ国際人権団体の支援の下でリハビリに取り組んでいる。
ヤジディ教の起源は、イスラム教よりもはるかに古く、紀元前1千年ごろに生まれた古代ペルシャの拝火教に起源があるといわれ、太陽を大切にし、「クジャクの天使」を崇拝する一神教。総数でも50万人以下と推定され、おもにイラクでひっそりと生活してきた。
本欄でも14年8月以来、たびたびヤジディ教徒とISの残酷な行為について、最も早く詳しく報道したBBC電子版を基にリポートしてきた。
以下HRWの最新報告書の一部を抜粋して、紹介しよう。

▽一年以上拘束、イスラムへの改宗を強制され、性奴隷にされた女性たち
ヒューマン・ライト・ウオッチ(HRW)は4月5日、脱出するまでレイプされ、メンバー間で売買されてきた最近の脱出者たちとのインタビューに基づき、過激武装グループ「イスラム国(IS)」に対し、2014年に誘拐したヤジディ教徒の女性、少女たちを緊急に解放しなければならない、と要求した。また、ISは支配地域のスンニ派イラク人女性と少女たちを、虐待的な規制で縛り、厳しく行動の自由、医療と教育を受けることを制限している、と非難した。
2016年1月と2月、HRWはISに占領されたイラク北部ハウィジャのイスラム・スンニ派イラク人女性21人、2015年遅くにISの拘束から脱出してきた少数民族ヤジディ教徒の女性、少女15人とインタビューした。ヤジディ教徒の女性たちは2014年半ばにISに誘拐され、1年以上幽閉されていた。彼女らは、強制的にイスラム教に改宗させられ、性奴隷にされ続け、奴隷市場で売買され、4人以上のISメンバーの間でたらい回しされた。HRWは、ヤジディの女性が組織的にレイプされていることを最初に記録している。
「ヤジディ教徒の女性たちは、ISに長く捕らえられているほど、売買され、野蛮にレイプされ、彼女らの子供たちから引き離されている」とHRWの緊急時女性権利の専門家スキイェ・ウイーラーは指摘している。
奴隷制度は1926年の国際奴隷禁止条約で禁止されている。(続く)

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