2016.04.21 性奴隷にされたヤジディ教徒女性の証言
―国際人権組織HRWが最新報告(2)

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

「イスラム国(IS)」に捕らえられ、性奴隷にされ、脱走できたヤジディ教徒の女性たちは、イラク北部でISと戦っているイラクの少数民族クルド人の武装勢力ペシュメルガに救出され、クルド人自治区の救援キャンプでリハビリを受けている。その支援を続けているHRWは(1)で紹介したとおり、1月と2月にこの女性たち15人とインタビュー(面談調査)し、性奴隷化の生々しい体験を訊いた。その内容は、国際社会で確立している1926年の国際奴隷禁止条約、1948年の国連ジェノサイド(特定の人種・国民の計画的大量虐殺)禁止協定をISが意図的に侵していることを立証するものだった。ISは2014年10月に「奴隷制の復活」を宣言している。

▽14歳の少女も性奴隷にされた
前回(1)と一部重複するが、HRWの報告の一部をそのまま紹介しようー
 「ISは、ヤジディ教徒の女性と少女を”戦利品“として捕らえたことを発表し、ISの行為と政策を正当化しようとした。これらの声明はISが広く行っている行為と体系的な政策を裏付ける、さらなる証拠だ。これらの行為は、戦争犯罪であり、おそらく人道に対する犯罪だ。子供たちを自分のコミュイティから引き離し、子供と女性の大きなグループを編成したことは、ヤジディ教徒に対するジェノサイド(集団殺戮)の証拠になるだろう」
HRWは1月、ISから逃れてきた15人のヤジディ教徒の女性と少女たち(うち7人は半年以内に逃れてきた)インタビューした。そのすべてが、イラク北部クルディスタンのドフーク州北西部の難民キャンプあるいはその周辺に住んでいる。
その女性、少女たちは、一年以上、ISに捕らわれ、奴隷として売買され、屋内の仕事を強制されるとともに、繰り返しレイプされた。すべての女性、少女たちが何回も強制的に移住させられ、殴られ、ひどい言葉で罵られ、惨めな状態に置かれた。うち3人は、他の女性たちと何日も何週間も1室に閉じ込められ、ごくわずかな食べ物しか与えられなかった。彼女らの一部は、何回も売買されたといっている。うち3人には4人の“所有者”がいて、彼らからレイプされた。
 14年8月にISに拉致され、1年後の15年8月に逃走できた14歳の少女は、当初,故郷の村からモスル(ISが14年6月に占領したイラク第2の都市)に連行され、アブ・ハリドというISの幹部メンバーの下に閉じ込められた。しかし彼は殺され、彼女はアブ・サードという男の下に移され、さらにアブ・ウマル・アブ・シシャニに売られ、彼は後にアブ・アブドラという名の男に転売した。4人の男たち全員にレイプされたと彼女は話した。アブ・ハリドは、彼女が自分の両親はどこにいるのかと尋ねたとき、棒切れで殴り、両親の身体を切り刻み、犬に食わせたといった。アブ・サードは、彼女と他の捕まえた少女は妻なのだといった。彼女は何か月も鍵のかかった部屋に閉じ込められ、「太陽を見たことがなかった」と話している。(訳注=ヤジディ教徒は太陽を崇拝する)

▽他の2人の証言
39歳の女性は、最初にラッカ(ISが首都としている)の奴隷市場でアブ・ヤシールという男に売られ、アカシュ、アブ・ヤヒア、アブ・マハジャルという男たちに次々と転売された。彼女の話によると、アカシュは彼女が泣くまで殴り、2人の男たちは彼女の子供たち2人を殴った。男の一人は、彼女の8歳の娘に彼が付けた名前に答えるまで、娘の目を殴った。彼女は2015年12月、2人の子供たちを連れて逃れた。彼女には他に4人の子供たちがいたが、2014年8月に彼女と家族がISに拉致されたとき以来、行方不明のままだ。
 30歳の女性は、2016年1月、自分の子供たち3人とともに、ISから逃走してきた。彼女は2014年8月、5人の子供たちとともに、故郷の町からISに拉致された。まずISのメンバーが彼女から10歳の息子と12歳の娘を引き離して連れ去った。2人の行方はいまもわからない。彼女たちはまず、どこか知らないシリアの農場に連れていかれた。それから、彼女と子供たちは、アブ・アリス・アルトゥシという男に売られた。アルトゥシは、彼女を妻にするといったが、アブ・マリクという男に売り、マリクはアブ・アサマムという男に転売した。アサマムは彼女をアブ・サード・アルサウディとい男に売った。4人の男たちはすべて彼女をレイプし、うち2人は彼女の子供たちを殴った、と彼女は証言した。

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