2016.04.29 野党の躍進を祝して
韓国通信NO485

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

<韓国与党 歴史的大敗北>
13日に行われた韓国国会議員選挙で与党セヌリ党が敗北を喫した。選挙直前まで、与党有利、民主党の苦戦が伝えられていただけに意外な結果となった。「政変」とも言える選挙結果の意味を考えてみた。選挙結果について「朝日新聞」は社説で、「韓国の政治 独善から対話へ転換を」と述べ、朴大統領の「独善型政治に終止符を、謙虚に対話に臨む姿勢へと転換すべき」と注文をつけた。
この「通信」は以前から、朴槿恵大統領を批判してきたが、日韓市民という連帯・共通の立場から両国の民主化の前進を願ってのことだ。それを朝日新聞に期待することは無理としても、この社説には鼻持ちならない大国意識が色濃く滲む。
日本は民主主義だ。韓国は「遅れている」から教えてあげると言わんばかりの礼儀と現実を見失った傲慢さである。
たしかに朴政権は強権的だ。だが、「それがどうした」と云いたくなるくらいわが国の政治状況を無視した一方的な隣国の評価であり、私には「おせっかい」に聞こえた。
何が「独善的」なのか説明をすべきではないか。具体的に説明したら朴政権がやってきた独善性が安倍政権と「そっくり」だということにすぐ気づくはずだ。
セウォル号事故をめぐる政府の無責任、歴史改ざん・国定教科書の制定、拡大続ける貧富の差、労働法制の改悪、北の脅威を利用した世論誘導、言論への干渉などなど、韓国では時代に逆行する独裁的な政治が目白押しだ。反対運動も活発に行われてきたが、ほとんどのメディアが「親朴政権」のため、わが国同様に苦戦を強いられてきたのも事実だ。
今回の選挙では野党勢力をさらに弱体化させ、「改憲」を行ってさらなる独裁体制を目指すという朴大統領の野望が託された選挙だった。それを民意が打ち砕いた。
朝日新聞が「偉そうに」指摘するまでもなく、国内外の深刻な諸問題を最早朴政権には任せられないという冷静で理にかなった選択を韓国社会が下したのだ。
「新自由主義」と「北との対決」をセットにした韓国政府に「NO」を突きつけた事実は重い。その選択がわが国に与える影響は少なくないはずだ。日本には何も問題がなく、韓国に問題があるような口ぶりに驚いた。さらに驚いたのは社説の結論である。
韓国の政権与党が少数に転落したため、せっかく「政治的決着を見た慰安婦問題の行方」に憂慮を示したことだ。菅官房長官がこの問題で憂慮を伝え、政府広報NHKも同様の趣旨を報道したのとピッタリ呼応している。今、安倍政権のもとで何が問われているのか、朝日新聞はわからないのか。わかっているのに無視しているのか、私にはわからない。

<自然の恐ろしさー地震大国に暮らす>
熊本を中心とする地震情報に釘付けである。5年前の地震と余震の怖さを思いだす。終わりが見えない状況で、不安の中に過ごす被災者を考えると他人事には思えない。
日本中どこに地震が起きてもおかしくない。原発は「安全」という虚言が崩壊したことを確信した。川内原発の直下で起きなくてよかったと喜んではいられない。電力会社が自発的に、でなければ政府が停止させるべきだ。

<小原紘氏は、銀行退職後ソウル大留学、帰国後、精神障碍者施設勤務、韓国文化院(韓国大使館)勤務、ハローワーク勤務。『アウシュヴィッ平和博物館』(福島県白河)、『関谷興仁陶板美術館』(栃木県益子)の発足・設立に参画。『社史を読む―朝鮮銀行』(論文)他エッセー、翻訳多数。1942年生まれ>

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