2016.05.20  安倍首相と米大統領は、深い反省を表明すべきだ 
    ―黙とうだけでもオバマ広島訪問を歓迎する

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)


 オバマ大統領の広島訪問について、本欄でも半沢健市氏と早房長治氏がそれぞれの主張を表明している。わたしの考えはすこし違う。オバマ広島訪問を歓迎する。ともに広島を訪問して、安倍首相は、朝鮮半島と旧満州を植民地化し、中国はじめ東アジア諸国に侵略戦争を広げ、巨大な数の人々を殺したことへの深い反省と謝罪を、オバマ大統領は広島、長崎に原爆を投下して数十万の市民を殺害したことへの、深い反省と謝罪を表明し、そのうえで、核兵器の使用禁止そして廃絶を目指して努力を進めることを、約束すべきである。
 しかし、原爆投下を必要悪だったとする米国世論の一部に配慮して、オバマ大統領が謝罪を表明できないのなら、黙とうを行うだけでも、広島を訪問した意義はある。米国の大統領が原爆投下から71年間、しようとしなかったことなのだ。オバマ政権は、大統領が核廃絶への意思を再三表明し、ノーベル平和賞まで受賞したのに、核廃絶に向けた具体的な行動を全く進めることができなかったし、しなかったことに、もちろんわたしも失望した。しかし、彼自身が、核兵器の人類に対する犯罪性を確信し、廃絶への願いを持ち続けていることを、信じたい。
 多くの広島の人々が、謝罪の表明が予想できなくとも、オバマの広島訪問を歓迎し、暖かく迎えるのと,わたしは同じ立場だ。おそらく、日本人の多数も、世界の人々の多数も同じではないだろうか。
 
 オバマの広島訪問について、様々な意見があるが、わたしが読んだ中で、そのとおりだと思ったのは、5月18日付け朝日新聞朝刊3面の連載「オバマ大統領広島へー私は考える(2)」の日本女子大教授・成田龍一さんの論考「反省示し謝罪求めては」だった。その後半部分だけを紹介したいー

 『加害者である米国の大統領が、ヒロシマで何を語るのか。世界中が注視しています。オバマ氏自身、プラハ演説で「核を使用した唯一の保有国としての道義的責任」に言及しているわけですから、日本が謝罪を働きかけるチャンスのはずです。実現できなくても、そこに対話が生まれます。
 ただし、相手に謝罪を求める以上、当然、あなたはどうなんですか、と反問されるでしょう。原爆投下は戦争の最後の局面で起きたことです。そこに至るまでに、日本は何をしたのか。原爆という被害と、アジアへの加害と、二つの歴史認識問題は切り離せない関係にあります。日本が反省を示してこそ、米国に反省を促し、世界の国々から共感を得られるのです。
 日本では戦後50年の年、広島・長崎市長が国際司法裁判所で「核兵器の使用は国際法に違反する」と訴えました。でも、日本政府や世論には広がりませんでした。歴史認識においては、広島で軍事都市だった加害の歴史に目を向ける議論があり、改修前の広島平和記念資料館の展示に反映されました。このように、被害と加害のからみあう重層的な戦争像が国内でも議論されましたが、近年は逆に、加害を認めず開き直る主張が目立ってきています。
 今回の広島訪問で見えてくるのは、米国への従属です。だからこそ、オバマ氏に原爆投下の謝罪を求めることは、日本が米国と対等に付き合い、同時にアジアへの加害と向き合い、戦争について平場で議論するきっかけになり得るのです。せっかくの好機を、逃しつつあるように映ります。』(聞き手・西本秀)

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