2016.06.15  オバマに振り回された
     韓国通信NO489

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)
              
広島に持ち込まれた核発射ボタン

アメリカ大統領が、核兵器の発射ボタンを常に持ち歩いているというのは有名な話だが、当然、伊勢志摩サミット(G7)、広島にも発射ボタンが持ち込まれた。厳重な持ち物検査をくぐり抜けてこんなに危険なものが会場にあったとは。アメリカの核兵器が世界の平和を守っていると言わんばかりだ。広島にはおよそふさわしくない光景だ。
オバマ大統領の演説に注目が集まった。5月27日、28日のテレビと新聞は広島のオバマの話題で一色だった。仙台で叔母と一緒にテレビを見ていたら、「オバマ大統領に謝罪させるのは無理よ。あの人に責任はない」と叔母が言いだした。「原爆を落とした国の大統領なら、そんなわけにもいかない」と反論する私。
 私より15才年上の叔母は学徒動員の経験を持つ。「二度と戦争をしてはいけない」が口癖で、「アメリカを軽く見てはいけない」が持論でもある。軽々しく語られる「反米」の風潮から過去の間違った選択が思いだされるようだが、アメリカの意向を汲んだ「戦争法」は到底認められないという。久しぶりに会った私に「戦争法廃止」の署名を求めた。
 テレビを見て、オバマの広島訪問と演説が素晴らしいと手放しで喜んでいた。私は納得できず、話は先に進まなかった。
 ノーベル平和賞を受賞したオバマが今回も美しい言葉で理想を語ったが、私には詐欺まがいの悪い冗談に聞こえた。世界各地で行っている戦争は「平和」のためだと主張してきたアメリカ大統領に戦争の悲惨さを語る資格はあるのか。隣に得意げに立っている安倍首相にもその資格はない。
 二人はやさしそうなおばあさんの声色(こわいろ)で、あの「赤ずきんちゃん」を食べたオオカミみたいに見えた。わが国のメディアは感動の拍手をオバマに送り、「平和主義者」安倍にエールを送った。
 昨年、アメリカに追随して「核兵器禁止条約」に反対した被爆国日本は世界からもの笑いになった。原爆被災者(日本ではない)にアメリカが謝罪するのは当然だが、「国体」維持にこだわり敗戦を遅らせ、「投下」を招いた責任は天皇と当時の日本政府にあった。落としたのはアメリカ、落とさせたのは日本だ。
 オバマが作った二つの折り鶴の演出に吐き気を覚えた。
私の祖母は百五歳で亡くなるまで、目が不自由にもかかわらず、核兵器廃絶を祈って鶴を折り続け、まわりの人たちに感動を与えた。

突出する日本人の中国嫌い             

 中国が嫌いな日本人が多い。「元」が攻めてきた文永の役(1274)、弘安の役(1281)が忘れられないという人がいるかと思えば、満州事変や日中戦争は忘れたという人もいる。
 1972年の国交回復、日中平和条約(1978)締結後、政治・経済・文化面で交流が進められてきたにもかかわらず、お互いに「嫌いだ」という。
 アメリカのシンクタンクー「ピュー・リサーチセンター」が2014年に実施した世界各国の中国に対する「好き嫌い」をまとめた調査がある。それによると日本人の「中国嫌い」が突出していることに驚かされる。

中国嫌いが高じて国際的孤立を深める日本
 
 世界平均では中国好きが55%、嫌いが34%である。つまり世界の過半数の人たちが中国を好ましい国と考えている。日本人からすると「ビックリ」する結果なのだ。
 「領土的野心」「一党独裁」「人権問題」「環境問題」「反日感情」など、わが国の中国に対する批判は枚挙にいとまがないが、「価値観」が違うとされる欧米諸国、韓国、フィリピンでも37%から40%後半が「好き」と答え、インドネシア、マレーシア、オースラリアでは60%以上が「好き」と答えた。アフリカ、中南米諸国では断然中国大好きとなっている。
 日本人の9割以上が「嫌い」というのは異常な数字である。9割もの人が同じ意見なら日本国内では「常識」なのかも知れないが、この常識は国際的に通用するだろうか。貿易相手国として過去10年中国は第一位である。そんなに嫌いな相手なら「商い」はやめたらどうかと云いたくもなる。
 敵国を作り、戦争に突入して行った過去の歴史から学ぶならば、政府は先頭になって極端な「中国嫌い」の対策を講じるべきだ。いい気になって中国嫌いを放置しておくなら日本は国際的孤立を深めるばかりだ。日中戦争がいつ起きても不思議ではないと世界は見ている。
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