2016.06.22  sushi(寿司)は可算か不可算か
寿司関連の用語は不可算名詞が圧倒的に多い

松野町夫 (翻訳家)

寿司はもともと日本語である。日本語の名詞には可算も不可算もない。しかし、たとえ日本語の名詞であったとしても一度英語に取り入れられると、可算か不可算か、いずれかに分類されることになる。こうして sushi は現在、不可算名詞 [U] として英英辞典に収録されている。寿司には にぎりずし・まきずし・ちらしずしなどいろいろな種類があるが、英米で単に sushi というと「にぎりずし」を指す。

sushi
[U] a Japanese dish of small cakes of cold cooked rice, flavoured with vinegar and served with raw fish, etc. on top: [OALD7]
筆者訳: 寿司は日本料理のひとつで、冷やした酢飯を小さくケーキ状に握り、生魚などをのせたもの。
sushi

寿司関連の用語は不可算名詞が圧倒的に多い。それまで英米文化になかった寿司・刺身・わさび・海苔・豆腐は、日本語がそのまま英単語になっている。

不可算名詞 [U]
寿司 sushi, 刺身 sashimi, わさび wasabi, 海苔 nori, 豆腐 tofu
醤油 soy sauce, 酢 vinegar, ガリ pickled ginger, 海藻 seaweed

鮨種(すしだね)も、切り身(魚肉)または食材なのですべて不可算名詞だ。

鮨種 → すべて不可算名詞
はまち yellowtail, まぐろ tuna, たい sea bream
さけ salmon, こはだ gizzard shad [gízǝrd ʃǽd]
かつお skipjack, or bonito, いわし sardine, にしん herring
さば mackerel, あじ horse mackerel, しまあじ striped jack
ひらめ left-eyed flounder, かれい right-eyed flounder
(日本ではひらめは高級魚。ひらめ、かれいなどを flatfish と総称する)

いくらsalmon roe, うに sea urchin roe, 数の子 herring roe
いか squid, たこ octopus, 甘えび shrimp, えび cooked prawn
あわび abalone, ほたてscallop, 赤貝 ark shell, かき oyster
穴子 conger, うなぎ eel, かに crab, いせえび lobster

寿司は海外でも好評だ。外国人はサーモンを好きな人が多い。しかし日本ではマグロの好きな人が圧倒的に多い。マグロには、クロマグロ bluefin tuna, ミナミマグロ southern bluefin tuna, メバチマグロ bigeye tuna, キハダマグロ yellowfin tuna など、いろいろな種類があるが、最高級のすし種といえばクロマグロの「とろ」。とろはマグロの腹側の脂肪に富んだ部分で、大とろ・中とろに分類できる。赤身はマグロの背骨に近い部分で脂肪はない。

大とろ top-quality fatty tuna
中とろ medium fatty tuna
赤身 red tuna

鮨種は切り身なので不可算名詞 [U]。しかし、魚介類が切り身ではなく、まるまる一匹の魚や一個の貝、つまり個体を意味するときは可算名詞 [C] になる。

tuna [túːnǝ] ツナ
1. マグロ [C]
2. マグロの身 [U]

salmon [sǽmǝn] サーモン
1. サケ [C]
2. サケの身 [U]

abalone [æ̀bǝlóuni] アバローニ
1. アワビ [C]
2. アワビの身 [U]

可算と不可算のこのような区別は、魚肉だけでなく食肉にも当てはまる。
動物名とその肉を表す語は pig [C] と pork [U]、cow [C] と beef [U] のように通例異なるが、chicken と lamb (子羊、ラム)は両方に同じ単語を用いるので注意が必要だ。

chicken [tʃíkǝn] チキン
1. ニワトリ [C]
2. 鶏肉 [U]

lamb [lǽm] ラム
1. 子羊 [C]
2. 子羊の肉 [U]

「夕食に鶏肉を食べた」は、I ate chicken for dinner. [U] という。これを I ate a chicken for dinner. というと、「夕食はニワトリ一羽を捕まえてそのまま食べた」と、逃亡者の夕食になる。

「鮨種」という単語そのものは ingredients or sushi toppings で、いずれも可算名詞 [C]。
刺身にはシソの葉・大根・海藻など、いわゆる「刺身の妻」を添えるが、こうした「料理のつま」を英語ではガーニッシュという。 garnish [gɑ́ːrniʃ] はふつう可算名詞 [C]。Use some of the parsley as a garnish. パセリを料理のつまとして使う。

寿司は、飯・魚介・野菜などを使うが、こうした食材は腐りやすい。夏場はとくにそうだ。そこで殺菌力・防腐力の強い酢やワサビなどを活用して、酢飯(すめし)を主材にし、切り身にワサビをつけ、わさび醤油にひたして食べる。「ガリ」はショウガの根を薄切りにして熱湯に通し甘酢に漬けたもので、寿司には口直しとして不可欠の一品である。寿司に使うこうした酢やワサビ・醤油・砂糖・塩などの天然防腐剤は、英語ではすべて不可算名詞 [U] である。




沖縄を考えるパネルディスカッション
短信

  沖縄――戦後史から問う
  第15回望月百合子忌


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Email:gendai-j@almond.ocn.ne.jp                   (岩)


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