2016.07.05 何が問われているのか
韓国通信NO491

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

今回の選挙も争点が見え難くなっている。「争点隠し」が功を奏しているのは野党側の力不足もあるが、争点を「明らかにしない」「追及しない」マスコミにも責任がある。偶然目にした「徳島新聞」の社説が目にとまった。四国に一度も行ったことのない私には縁もゆかりもない新聞である。

安全保障関連法 憲法 社会保障 原発
選挙公示以降、同紙は連日にわたって「集団的自衛権行使を可能にした安全保障関連法や憲法改正の是非、社会保障の財源、原発・エネルギーの在り方」について独自の社説を掲げ、選挙の争点をわかりやすく説明している。
例えば6月30日付の同紙社説「『福島』を過去にするな」では。
原子力規制庁が40年以上経過した老朽原発の運転延長を認可したこと、熊本地震の余震が続くなか中央構造断層帯が走る伊方3号機の再稼働問題をとりあげ、「福島原発事故が突きつけた課題に真剣に向き合うべき」と主張する。さらに原発の安全性に関心が集まっているのに、政府の原発依存・回帰の姿勢は納得できないと踏み込む。
共同通信社が実施した立候補者へのアンケートを引用して、「原発再稼働に44.0%が賛成、反対が40.5%と拮抗していること」、「自民公明両党では賛成が83.6%、95.3%と推進派一色」と指摘し、与野党の意見の対立にもかかわらず、原発の議論が不足していると指摘、選挙で「原発依存、再稼働の是非について問うべき」と締めくくっている。

発売部数の競争に明け暮れ、権力におもねる大新聞を読むくらいなら、この際「お気に入り」の地方新聞をネットで購読した方がよっぽど勉強になるし「オトク」な気がする。

<私の選挙運動>
アホな都知事の追及に久しぶりにはしゃいで「正義の味方」ぶりを発揮した「ジャーナリスト」たちを見て喝采した人も多いらしい。「ドブに落ちた犬」同然、権力者から見放された知事を懲らしめた彼らは、芸能・スポーツのレポーターのようなもの、「ジャーナリスト」の名に値するとは思えない。甘利元経済再生相に対する「甘さ」ぶりを見ても実感できる。
閑話休題。
マスコミの選挙報道にイライラが募って、これまでしたことのない「選挙運動」を始めた。今年の初めに名刺を作った。名前と住所の上に、「ワルは落選!」「未来の選択はあなたの一票から」、そして色刷りの絵文字で「STOP 戦争 原発」と宣伝文句入りである。私の主張をアピールする作戦は韓国の「落選運動」からヒントを得た。
「仲間」に渡すのはモッタイナイ。と云って名刺なので誰にでも渡すことは出来ない。目下、スポーツクラブで大活躍している。何年も通っているクラブなので顔見知りは多いのに名前を知らない人が多い。選挙の話は「無粋」のようで少しためらわれたが、結構反応が良い。ターゲットは若者だが、スポーツクラブは年寄りが多いので戸惑った。
「選挙運動」といっても、特定の政党や個人に投票を「お願い」することはしない。ヒソヒソ話、お願いも苦手だ。若者には「キミたちの未来だ。後は任せるよ」などと大きな態度でしゃべりかけている。20代のダンスのインストラクター、30代のヨガの先生にも「大切な選挙だから投票して。誰に投票していいかわからなかったら相談に乗る」などとエラソーに名刺を渡す。二人ともとても嬉しそうにしていたのがうれしい。「戦争・原発ノー」の名刺が新鮮なようで、周囲の人に気兼ねせずに「ワカリマシター」などと快活な返事が帰ってきたのにも感激した。今の若い人たちは政治や選挙のことについて面と向かって語りかけられた経験はないみたいだ。

私の銀行の仕事はほとんど営業担当だった。外に出せば「無害」と思ったようで、「外回り」、それも既存の顧客を持たせない「新規」開拓ばかりだった。大口の個人・法人の担当はエリート社員が受け持った。
酒・マージャン・ゴルフの接待にうつつを抜かしたため、あの銀行はダメになったと今では思っている。
同じことが日本社会についても言える。仲間だけの世界に安住して新しい可能性に挑戦しなかった。「タコ壺」型閉塞社会が今日の社会状況である。

変テコな名刺を持って話しかけてくる「変なオジサン」、「憲法を変えるな」「原発ヤメロ」「安倍はヤメロ」のプラカードを持ってどこにでも出かける。奇異な目にさらされても苦労とは感じない。「セールスお断り」の入り口のステッカーでひるんだら仕事にならなかった。「新規活動」で鍛えられたのかも知れない。
テレビや新聞の劣化と教育を今さら嘆いても始まらないではないか。自分の年に気づかないのは「若気の至り」。無理をせず自分の身の丈にあった「世直し」を続けていくつもりだ。
100枚あった名刺も数少なくなった。
2日、地域で知り合った友人から駅前で一斉行動があることを知り出かけた。
 政党や組織とは関係のない「透明人間」だが、同じ気持ちを持った人となら誰とでも連帯できることを首相官邸前のデモから学んだ。
「若者よ、まかせたよ」という私の不遜な呼びかけに黙ってうなずいて過ぎ去った学生に手応えを感じた。猛烈な暑さのなか、2時間立った。

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