2016.09.13  護憲・リベラル派はなぜこんなに負けたのか、どうやったら回復できるのか
    ――八ヶ岳山麓から(197)――

阿部治平(もと高校教師)

小池都政が動き出し、都知事選はすでに過去のものとなった。しかしどうしても気になることがある。
7月10日の参院選での東京選挙区の得票比率は、自公は230万票だが、民共も229万7000票だった。これに社民の9万を入れると3野党は238万票あまりとなって、やや優勢だった。
これが都知事選では、小池・増田両氏つまり自公系の合計が470万票と倍増し、護憲をうたった鳥越氏は、投票率が増加したにもかかわらず、134万票で参院選の得票よりも100万票も減ってしまった。
東京の民進党は必ずしも護憲派に数えられないとしても、鳥越氏は4野党の支持を受けたうえに、自民党は分裂選挙だった。これ以上の好条件はないというのに、次点にもなれなかった。
この結果に関する論評をいくつか読んだ。民進党におもな責任があるとか、タマが悪かったという議論はわかったが、それにしても参院選と都知事選はなぜこんなに様相が異なったのか。今に至っても、私にはこの大敗の原因がいずこにあるかどうしてもわからない。

わたしは民進党の選挙総括を読みたかったが見ることはできなかった。結果の検討をやっていないのかもしれない。
4野党中、活動家をもっとも多く抱えた共産党の選挙総括は私にとって驚くべきものであった。志位和夫委員長はこういったのだ。
――都知事選では鳥越俊太郎氏は勝利はしなかったが、134万票を獲得し大健闘。「住んでよし、働いてよし、学んでよし、環境によし――四つのよしの東京」という都民の願いに応えた旗印をかかげた。「4野党ぷらす市民」という共闘の枠組みが都知事選でも発展した。
参院選では、32の1人区のうち28で野党統一候補の得票が4野党の比例票の合計を上回った。また、共産党は比例代表で5議席とり、選挙区では東京で勝利。改選3を6議席に倍増させ、合わせて14議席になった。比例代表の得票は2013年の515万票から601万票になった――
そして志位氏は統一戦線で政治を変える時代が始まっているというのである(日本共産党創立94周年記念講演、「赤旗日曜版」2016・08・14)。

共産党が議席を増やしたのはご同慶の至りである。だが、都知事選はなぜ鳥越氏が大健闘で、今後につながる成果なのか。
敗北にもかかわらず彼は都合の良いところだけとりあげて、負けいくさを勝ちいくさにすりかえている。これでは敗北から何も学べない。社民党が衰弱臨終を迎えた今日、革新政党の核心は共産党だと思っていた。だが志位氏がこんな発言をしているようでは、先が思いやられる。

朝日新聞の出口調査では、自民支持層のうち49%が小池氏に投票し、増田氏には40%しかまわらなかった。公明支持層は69%が増田氏に投票したが、小池氏に24%が流れた。
民進支持層で鳥越氏に投票したのは56%にとどまり、28%が小池氏に行った。共産支持層も19%が小池氏に投票したという。
信仰や思想で政党と結びつく傾向が比較的強いはずの公明支持層や共産党支持層からさえもかなり大量の小池支持が生まれた。これという信仰や思想のある人でも、時の流れでほとんど自分の考えと関係ない政党に票を入れたり、印象だけで特定の候補者に投票する傾向が生れているということだろうか。
友人は、横山ノック以降とりわけ橋下の大阪、青島幸男以来の東京など、政策綱領で有権者が判断しない傾向が大都市に生まれたと教えてくれたのだが。

私が気になった論評に、小池氏が圧勝したわけは、自民・公明の支援を受けなかったからだというものがあった。したがって鳥越・増田両氏は政党の支持を受けたから、無党派層の支持を集められずに負けたことになる。では、こうした政党離れや支持政党なしの票を集めて、安倍晋三極右政権を打倒するにはどうすればよいのか。
小泉純一郎氏が勝利した、あの劇場型選挙に持ちこむことだという人がいた。また候補者を担ぐときの条件として、短期決戦なんだから知名度を重視し、政党色・組織色を消し、りーダーシップやクリーンなどのイメージを前面に出すべしという人もいた。
いわれてみるとたしかに、今回勝利した小池氏はだいたいこのような選挙戦をくりひろげた。彼女の陣営は都議会自民党との対決という劇場型選挙を生み出し、連日のテレビ報道がこれを盛りあげた。
これが勝利のカギだとしたら、バカ正直に政策を訴え、足を運んで護憲革新の政策の正しさを説得するような、従来のやり方では間に合わないということだ。そうだとしたら、我々は従来の選挙スタイルに何を付加えればよいのか。
どうやったら日本中が湧き上がるような劇場型の選挙ができるのか。それとも別な方法があるのか。
どなたかこのへんのところをぜひわかりやすく説いてほしい。私は年取ったとはいえ、評論だけ高邁な傍観者になりたくはない。生きているうちに護憲・民主・福祉のしっかりした政権が日本に成立するのを見たい。
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