2016.09.23  「『もんじゅ』廃炉は脱原発運動の勝利だ」
    豪雨の中、東京で「さようなら原発」集会

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 「さようなら原発 さようなら戦争大集会」と銘打った集会が、9月22日、東京・代々木公園で開かれた。秋雨前線による豪雨が降りしきる中、全国各地から約9500人が集まり、「高速増殖炉『もんじゅ』の廃炉が決まったが、これは、私たちが長い間求め続けたきたことであって、脱原発運動にとって画期的な成果」「政府の原子力政策は明らかに曲がり角を迎えた。さらに運動を強化して原発のない日本、核武装とは無縁の日本を実現しよう」と気勢をあげた。

 東京で「脱原発」を掲げる大規模な集会が開かれたのは、今年3月26日にやはり代々木公園で開かれた「原発のない未来へ!つながろう福島!守ろういのち!3・26全国大集会」以来。主催は、作家の大江健三郎、落合恵子、作曲家の坂本龍一さんらが呼びかけ人となって生まれた「『さようなら原発』一千万署名市民の会」。

 開会は正午からだったが、その前から、JR山手線原宿駅から、レインコートに身を包んだり、傘をさして雨の中を会場の代々木公園にへ向かう人の列が続いた。
 会場に着くと、公園の野外ステージの前の広場には脱原発団体をはじめ労組、生協、市民団体などの旗やのぼりが林立し、色とりどりの無数の傘が広場を埋めていた。
 労組では、自治労、日教組、国労、JR総連、私鉄総連、全港湾など旧総評系の組合旗が目立ち、参加組合は北海道から九州にまで及んでいた。生協ののぼりは、パルシステム生協や生活クラブ生協など。もちろん、個人や仲間と連れだってやってきた思われる一般市民の姿もあった。
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             代々木公園の野外ステージ前広場を埋めた集会参加者

 第1部では、東京電力福島第1原発事故で被害を受けた福島県飯舘村の村民が、被災地の現状と課題を報告した。村民は「事故から5年半。メディアは東京の豊洲市場問題一色で、福島のことはほとんど報道されない。たまに報道されると、福島では復興が進んでいる、除染も進んでいるという話ばかり。しかし、まだ多くの県民が避難生活を余儀なくされており、行き場のない、除染廃棄物を入れたフレコンバッグが山積みになるばかり。原発事故による汚染水の処理問題も未解決で、そればかりか台風の影響で汚染水が増えている。これでは、復興が進んでいるとは言えない」と訴えた。
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          野外ステージから原発事故被災地福島の現状を訴える飯舘村の人

 第2部では、「市民の会」呼びかけ人で作家の澤地久枝さんが主催者あいさつをしたが、その中で澤地さんは、まず「きょうの新聞の一面で、高速増殖炉『もんじゅ』を廃止することになったと報じられている。これまで多くの人がやめるよう訴えてきただけに、これは歴史的なことだ」と「もんじゅ」の廃炉を歓迎。言葉を継いで「でも、安倍政権は原発再稼働を推進するばかりか、事故を起こした福島第1原発の廃炉費用を消費者の電気代に上乗せしようとしている。廃炉費用は東京電力が負担すべきであって、消費者にしょわせるなんてとんでもないことだ」と政府と東電を批判、「原発をなくすために、これからも力を合わせましょう」と呼びかけた。

 次いで、福島から参加した武藤類子さん(ひだんれん共同代表)や、詩人のアーサー・ビナードさん、俳優の木内みどりさんらが発言。
 ビナードさんは「広島を訪れたオバマ米大統領は、帰国後、核の先制不使用を言いだした。広島で話したことを具体化しようとしたのだろう。すると、安倍首相がこれに異議を唱えた。安倍さんは被爆国の首相ではないか。こんなこと許されることではない」と述べた。木内さんは「大雨の中、こんなに多くの人たちが集まった。天はなぜよりもよってきょう雨を降らせたのでしょうか。君たち、ほんとうにやる気があるのか、と私たちに問いかけたのではないか」と話した。

 最後に登壇したのは「市民の会」呼びかけ人でルポライターの鎌田慧さん。
 「安倍政権はようやく『もんじゅ』の廃炉を決めた。実に遅すぎた決定だが、それが持つ意味は重大で、日本の原子力政策がターニング・ポイントを迎えていると言いてよい」
 「ただ、政府が『もんじゅ』を廃炉にしても、高速炉の研究を維持すると言っていることに注目しなくてはいけない。それは、イコール核燃料サイクルをやめないということだからだ。そのことは、青森県六カ所にある、原発の使用済み核燃料の再処理工場の稼働を続けると言っていることで明白だ。この再処理工場はこれまで30年間にわたり22回も試運転を繰り返したのにいずれも中止に追い込まれたのに、まだやろうとしている」
 「なぜ、政府は核燃料サイクルをやめないのか。それは再処理工場でプルトニウムを取り出すためだ。プルトニウは原爆の材料になる。つまり、日本の核武装を目指しているからなのだ」
 「日本の原子力政策は破たんしつつある。脱原発を求める国民の声に耳を傾けない安倍独裁政権を打倒しよう」
 
 集会の後に予定されていたデモ行進は雨のため中止となった。
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                のぼりを持って集会に参加した大学生

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