2016.12.05  全琫凖(チョンボンジュン)がやってきた
     韓国通信NO512

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

 朴槿恵大統領のお友だち「スキャンダル」が発端となった「退陣騒動」は本人の辞意表明にもかかわらず一向に収まる様子はない。国政を私物化した全貌を明らかにし、即時退陣を求める声が止まない。日本人からは、「そこまでするのか」と女性大統領に同情する声もあがるのかも知れない。

 民衆の力で政権を変えた体験がない日本人には「革命」は理解しがたいことかも知れないが、今回の政変は1960年に李承晩大統領を追放した4.19革命、1987年の6.29「民主化宣言」に続く「革命」と言ってよい。
 今年の9月、慶尚北道、全羅北道、南道をめぐり、1894年に起きた東学農民戦争の史跡を訪ねた。農民を率いた全琫準たちは農民の疲弊と地方官の横暴ぶりを直訴するためにソウルをめざし、さらに朝鮮侵略のために出兵した日本軍と戦った。政治の不正に対して平等思想を唱える東学農民たちは数十万人の犠牲者を出し朝鮮正規軍と日本軍に敗れたが、今でも誇り高い東学農民革命として記憶されていることを知った。
 光化門広場、世宗通りを埋め尽くすローソクデモを見ながら、これは東学農民革命ではないかと思った。120年以上前の東学農民がいるはずはないが、300万人以上の農民が素手同然で圧倒的な近代的武器に立ち向かった姿と重なって見えた。

<全琫準参上>
 ところが26日に開かれた大集会に全羅道、慶尚道の農民たちが2千台の農耕用トラクターで『全琫準闘争団』を結成して大挙集会に駆けつけたことを知った<『ハンギョレ新聞』11月25日>。
韓米FTA(自由貿易協定)締結以降、暮らしが成り立たなくなった農民たちが、デタラメな政治に怒り、東学農民の革命精神で参加したのだ。トラクターで何日も運転、立ち寄った各地で熱烈な支援を受けながら参加者を増やしていった。抗議集会には交通規制のため入場を阻まれたようだが、全琫準を掲げて上京した農民たちの出現に驚いた。
 南スーダンに自衛隊を派遣した安倍内閣は憲法で禁じられた「交戦」も厭わない。原発再稼働へまっしぐら。野放しの賄賂政治。年金改悪など露骨な弱者切り捨て。これほどデタラメが横行しても日本は静かだ。どこかに全琫準はいないのか。
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