2017.02.14  日米同盟は戦争へ向かうのか
          ―共同声明に「安保第五条」を入れる愚行―

半澤健市 (元金融機関勤務)

 2017年2月10日に行われた安倍首相・トランプ米大統領会談について、すかさず多くの同人が、適切な論評を続けている。
私も、念のため、日米合意にある「尖閣条項」の読み方をファクトに基づき書いておく。結論から言うと、共同声明に「尖閣列島は安保第五条の対象」と書くのは、愚かしく、日米同盟の不安定化の表現だということである。

《二つの重要なファクト》
 主な事実として次の二つを読んでほしい。
■日米安保条約の第五条
各条約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処することを宣言する。(以下略)
■日米防衛協力のためのガイドライン(2015年4月日米で合意)の一節
 ・陸上攻撃に対処するための作戦
自衛隊及び米軍は、日本に対する陸上攻撃に対処するため、陸、海、空又は水陸両用部隊を用いて、共同作戦を実施する。
自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する。必要が生じた場合、自衛隊は島嶼を奪回するための作戦を実施する。(中略)
米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。

《この文章を読み解くと》
 二つの小難しい文章を読み解こう。
「安保第五条」は、米軍が当然に日本を守るとは書いてない。「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処する」と書いてある。米国では、戦争を始めるには連邦議会の議決が必要だ。日中両国が、無人の岩石「尖閣諸島」を巡って戦闘を開始したとしよう。米国が、自国の若者の命を犠牲にする参戦をするだろうか。しない。議会は否決するだろう。

 「ガイドライン」には、自衛隊と米軍は「共同作戦を実施する」と書いてあるが、同時に「自衛隊は作戦を主体的に実施する」、「米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する」と書いてあるのだ。
「主体的」部分の英文は、The Self-Defense Forces will have primary responsibility for conducting operations to prevent and repel ground attacks, including those against islands.である。
primary responsibility は、主語「自衛隊」の動詞は「作戦を主体的に実施する」のではない。「第一の責任を有する」のである。「自衛隊が全部やるべし」と訳してもいいくらいだ。米軍の役目は自衛隊への「支援と補完」に過ぎない。

《専門家が批判してきたテキスト誤読》
 この読み解きは私のものではない。専門家の解釈である。
「第五条」については元外交官の孫崎享氏(まごさき・うける)が、「ガイドライン」については軍事評論家の田岡俊次氏(たおか・しゅんじ)が、繰り返し主張していることである。しかしこれらの辛口コメントは、大手メディアに載ることが少なく、人々の共通認識になっていない。

 日米首脳会談を報ずる政府もメディアも、共同声明を「大成功」いっている。五条確認を共同宣言に載せるのが何が成功なのか。成功どころではない。日米同盟関係は、戦争への道に向かって、大きく揺らいでいる証拠である。一市井人のこの結論は、ファクトと専門家の説得力から、導き出したものである。(2017/02/12)
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