2017.04.22 飼育動物による人身事故
信州ツキノワグマ通信
Newsletter of Shinshu’s Black Bear, No.72, 2017.3.23

林 秀剛 (信州ツキノワグマ研究会)

 偶数年は大量出没? などとうわさされた昨年(2016)、旧牛舎に出没した最後のクマ。8月末日のことです。秋田の重大な人身事故などもあり、監視を続けたのですが、さほど頻繁には現れませんでした。出没情報は、住民の方にも逐次お知らせし、無事に一年を過ごすことができました。(撮影・文 : 林 秀剛)

 昨年夏ごろから、飼育動物による人身事故が多発している。<2016年8月16日>群馬県富岡市の群馬サファリで、巡回中の職員がクマに襲われ死亡、<10月15日>長野県安曇野市豊科で、男性が飼育しているクマにかまれ死亡。クマを檻に戻そうとした男性も軽傷を負う。そして、年を越し<2017年1月23日>千葉県成田市の動物プロダクションで、ライオンの身体を洗う作業中に襲われて、男女2人が重傷、<2月26日>長野県小諸市動物園では、檻の中でライオンに噛まれた飼育員が重傷。<3月13日>和歌山県白浜町のレジャー施設でゾウにより飼育員が死亡。被害者の多くは、ベテランの飼育員や飼育者。なぜ?と思う。慣れ過ぎての過失だろうか?それとも??

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 安曇野市の事故については、県の飼育許可はとっており、檻の安全性には問題ないと報じられた。クマ研にも問い合わせがあり、濱口さんが対応。クマの健康面の問題点などについてのコメントが放映に使われていたが、「きちんと検証しなくては・・・」という重要なセリフは無視。「マスコミ対応は難しいですね」が彼女の感想。
 飼育グマについては、「通信」No.24(2004年4月27日)にクマ研スタート時の経験についての記事を掲載した。その中の事例として挙げたクマを思い出した。 2004年12月、四賀村(現在は、松本市)のMさんの飼育許可申請に関連して、現場に立ち会った。前年(2003年)春、子グマを拾い、飼育を始めたが、大きくなり山に返そうと試みたが、懐きすぎて離れてくれない! ということで、県林務課に相談があり、飼育許可申請となった次第。檻の設置などを条件として、許可が出た。 

 今回の、人身事故多発で、13年振りに、四賀のクマ・ぺぺに会いに行ってきた。だいぶん道に迷ったが、何とかたどり着いた。飼い主のMさんにはお会いできなかったが、ぺぺには会えた。穏やかな顔をみて、可愛がられていると感じ一安心。体重は100㎏ほどありそうだが、肥満ではなく、健康そう。なにより、毛並みはよく、きれい。檻に近づいても、臭気は感じられず、非常に清潔。Mさんが一生懸命面倒を見ていることが感じられた。

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冬眠明けごろの子グマ(ペペではありません)。
たまらなく愛らしい!

 松本保健所にも寄り、最近の状況をうかがったところ、管内の飼育グマは、現在、ペペと安曇野市で人身事故を起こした2頭だけとのこと。担当者はこまめに巡回して、状況を把握している。詳細な資料で説明してくださった。人身事故の原因については現時点ではよくわからないとのこと。また、飼育に関する条例などについてもうかがったが、基本的にはペペの許可申請の時と変わっておらず、環境省告示の「特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目」に従い、第一に危険防止、加えて、動物の福祉にも配慮することが必要とのこと。
 クマの場合、飼育のきっかけは、主に狩猟の際の母グマの捕殺と推定される。子グマは本当に愛らしいので、連れて帰ってしまうのだろうか。狩猟の重要性は重々評価しなくてはならないと思うが、母のいない子グマをつくりださない技術の完成を切望する。

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