2017.05.02 騒ぎ過ぎる日本/平和を模索する韓国
  韓国通信N0523

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

内閣官房 国民保護ポータルサイト
http://www.kokuminhogo.go.jp/shiryou/nkjalert.html
「ミサイルが発射されました 直ちに屋内に避難してください」

政府(内閣官房)は、北朝鮮のミサイルが日本領土・領内に落下する場合に備えて近くの建物等(できれば頑丈な建物や地下街等)に避難するよう注意を喚起している。
「備えあれば憂いなし」だが、北のミサイル発射の映像を繰り返し見せられ、ミサイルが今にも飛んできそうな不安にかられている人には拍子抜けするほど頼りない内容だ。どのような建物が頑丈なのか。地下街が無い地方はどうするのか。無力感に陥るばかりだ。
戦争のことを考えると気持ちが落ち着かない。何しろ、トランプと金正恩という最悪の組み合わせである。安倍首相の「はしゃぎぶり」も不安要素だ。

朝鮮戦争(1950~1953)では、東西冷戦のあおりを受けて北と南に分かれて同じ民族同士が戦った。今回は核保有国の北朝鮮に対して韓国、アメリカと日本が対峙する構図である。米軍基地がある日本も攻撃対象になると政府は見越して国民に警戒を促した。
ミサイルが飛んで来た時のまともな対策が立てられないのは、どのような戦争になるのか、日本が決められないからだ。最悪のシナリオは全面核戦争だが、そうなれば日本は廃墟となる。日本に住むすべての人の命がトランプ、金正恩の胸三寸にかかっている。こんな戦争ってあるのか。あきれるほど「無謀」な戦争だ。トランプ大統領から日本を「守ってやる」といわれ、その口車に乗って国を焦土にしていいはずはない。「平壌宣言」(2002年)で国交正常化の糸口が見えたのもつかの間、拉致問題で日朝関係は最悪の状態になった。しかし、戦争をする必要も理由も見当たらない。

日本に比べると韓国のマスコミは冷静だ。ハンギョレ新聞は社説で「日本の政府もマスコミも騒ぎ過ぎ」(4/22)と報じ、4月25日号では「『北風』に乗った安倍首相の支持率が上昇。北朝鮮の危機を煽り、森友学園事件のスキャンダルを封じ込めた」と報じた。冷静な「真実」報道ぶりだ。
韓国には「対北強硬派」と「融和派」の対立は根強い。今回の大統領選挙でも大きな争点となっている。しかし、二度と南北間の戦争は「あってはならない」という国民の意識は強い。
南北合わせて500万人以上の犠牲者を出し全土が廃墟となった。離散家族は1000万人を越した。朝鮮戦争の記憶と傷跡はいまだに癒されていない。再び戦うことになれば勝者も敗者もなく、半島が全滅することを韓国民は肌でわかっている。
韓国で「北朝鮮が好き」という人に会ったことはない。しかし「北朝鮮と仲良くすべき」と考える人は多い。日本には「仲良くすべき」と考える人は皆無に等しい。韓国では日本のように、「半島有事」などと軽々しく言わない。日本人は、南と北の対立を他人事のように考えている。朝鮮戦争の悲惨な歴史を知らないからだろう。

韓国の主要新聞は今回の事態について危機感をにじませながら、戦争に対して概して抑制的であり、むしろ隣国日本が戦争に「前のめり」になっているのを危惧する。
わが国の雰囲気はもはや「臨戦体制」。原発事故の処理と再稼働問題、辺野古の基地問題、森友学園の疑惑解明などは「大事」の前の「小事」扱いだ。「共謀罪」もやむなし。政府にとっては「神風」に似た「北風」が吹いたというハンギョレの指摘は正鵠を射たものと言える。
「北朝鮮の核保有、挑発行為は断じて許せない」と安倍首相がテレビで繰り返すと国民の支持が上がる。核廃絶の国連決議に日本が反対しても支持率は下がらない。
原爆被災国の日本が核廃絶を訴え、北朝鮮も含めて核兵器の全面廃棄を主張するならスジが通る。世界の恒久平和のために日本の憲法の理念を世界に広げる努力を怠り、平和憲法を投げ捨てて国際紛争の渦中に飛び込もうとすることが、直面する危機であり不安の原因なのだ。
<ミサイルが狙う原発 今こそ原発の廃止を>
北朝鮮との緊張が高まりを見せる中で、かつて読んだ小冊子を思いだした。原発が北朝鮮のミサイルの標的になったらどうなるのか。稼働中の原発はもちろん、行き場を失った大量の使用済み燃料が水素爆発を起こし大量の放射能が流出する危険を、小冊子は鋭く指摘した。
その小冊子とは、2007年に発表された論文『原発を並べて自衛戦争はできない』である。著者の小倉志郎氏は元原発技術者だ。原発事故が起きる4年前に北朝鮮と憲法と原発の関係について明らかにした。
結論から言うと「北朝鮮と戦争をするなら原発は持つべきではない」。原発が破壊されると日本は破滅する。上述した政府のミサイル対策には原発について何も触れていない。戦争をする国は原発を持つべきではないという氏の主張が現実味を帯び始めた。
これはわが国だけの問題ではないと気づき、著者の了解を得て2012年に韓国語に翻訳した。韓国の原発は現在25基。北朝鮮と戦争になれば原発によって韓国は「放射能の海」になる。日本にも被害は及ぶ。原発を抱えて戦争は「してはいけない」のは日本も韓国も同じだ。
<5月3日の憲法集会>
我孫子市では金子勝さんを講師に迎え、最近の世界情勢を踏まえ平和憲法の大切さを語ってもらう。2時半から市民プラザで。1時からは会場前の広場で金子兜太さんの「アベ政治は許さない」のプラカードを全国の仲間と連帯して掲げる。皆さんも一緒に声を上げませんか!
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