2017.05.16 「五」について考える
  小山の教育通信 [2017.5月-2]

小山和智(グローバル化社会の教育研究会事務局長)

五月病シーズンのピークですが、皆様 お加減は如何でしょう?

五原則や五元素など“五”を一組とする感覚は、仏教・ヒンズー教圏の特徴です。起源は 手の「五指」なのでしょうが、親指を「finger」と考えない欧米では、“五”を完全数と感じないだけでなく、「fifth」には“裏切り, スパイ, 破壊…”のイメージもあります。「Olympic symbols」を“五輪”と呼ぶのは 日本だけ。五輪が象徴する“五大陸 (Continents)”の色 (左から青・黄・黒・緑・赤)の、どの色が どの大陸を指すのかの詮索は、無意味です。

「Oceans」は 日本では“五大洋”と訳しますが、太平洋と大西洋を 更に南北に分けて「Seven Seas」と呼ぶ方が、グローバルには一般的です。ただし、10~15世紀、世界文明の頂点にいたアラビア商人(+海賊)にとっての「七つの海」は、南シナ海・ベンガル湾・アラビア海・ペルシア湾・紅海・地中海・大西洋でしたけど…。因みに、北米の「Great Lakes」を “五大湖”と訳すと、ニピゴン湖・セントクレア湖などは 無視されることになります。

大阪夏の陣(1915年) は 旧暦4月26日開戦 (~5月8日) でした。現在の暦で5月下旬から6月上旬です。真田幸村の伝説的な活躍は、今でも子ども達に人気……沢田博史さんの『冥銭のドラグーン』は、もう読まれましたか?
「流鏑馬 <やぶさめ>」は 疾走する馬上から的を射る技術・儀式のことですが、弓矢の代わりに 小銃(rifle)を持つ騎兵を「竜騎兵 (dragoon,cavalry)」といいます。ただし、馬上からの射撃は 照準が難しいので、実戦では、下馬して “伏せ撃ち”するのが普通でした。日露戦争の「騎兵第1旅団」(秋山隊)も竜騎兵です。軽砲や機関砲まで装備していても、文字通りの“機動性 (cavalry)”が命でした。


この時期、新しい定期券を手にしている人が 多いでしょう。定期券は、券面に表示された経路通りにしか 乗れませんし、本人しか使えません。旅行ライターで漫画家の恵 知仁さんによると、2007年 他人名義の定期券を10ヶ月使った生徒に、JRは123万円を請求。複数の学生が不正な定期券を使用していたことが発覚した日本大学では、642万円の支払いに応じたそうです。「知らなかった」では済まされません。

満員電車での迷惑行為のトップは、痴漢ではなくて (注:痴漢は犯罪)、「リュックを背負って乗車」(マナー:リュックは前に) と「ドア地蔵」(マナー:入口付近に立たない) だそうです。前者は「スマホを見たい」という身勝手から、後者は「慣れない通勤・通学路で、降りられなくなるのが怖い」という心理から、と分析されています。いわゆる「新入りラッシュ」(=遅延) の元凶ですが、何度も注意されて、6月頃には 改まるのが普通です。

それでは、例によって他のニュースも。
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東京私立中学合同相談会

日 時  5月21日(日) 午前10時~午後4時
場 所  東京国際フォーラム (東京都千代田区丸の内3-5-1)
内 容  各校の個別ブース、東京大学やJAXA(宇宙航空研究開発機構)による体験講講座、「私立中高一貫教育の価値と魅力」 を知るセミナー、ほか
参加費  無 料(予約不要)

※ 東京の私立中学校173校が集結し 中高一貫校の優れた教育を紹介。

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中国の五行思想は、万物は 木・火・土・金・水 の5種類の元素からなるという説。各々に 青(緑⇒ 春、東)・赤(朱⇒ 夏、南)・黄(⇒ 土用、中央)・白(⇒ 秋、西)・黒(玄⇒ 冬、北) の色がついています。

音楽で使う五線紙は「staff」、楽譜/五線譜は「(staff) score」です。また、ギター教本では 親指を除いた4指を 1~4で示します。「親指も指だよ」と言うと、「toe (足指)と混同するな」と諭されるでしょう。

「冥銭」は 死者を葬る時に棺に入れる硬貨(=三途の川の渡し賃) のこと。中国では、本物のお金はあの世に持って行けないので、薄紙に紙幣のような印刷を施した「冥鈔 (ming2chao1)」を燃やして供養します。

5月17日(水)から、東京ビッグサイトで「教育ITソリューションEXPO」が開幕。21世紀型教育の実践を目指して、32もの特別セミナーもあります。体が一つでは とても足りませんね。

『海峡 27号』(社会評論社刊)に 桑ヶ谷森男先生の論文「新渡戸稲造と柏木義円の朝鮮認識を問う」が、掲載されています。新渡戸稲造に対する印象が大きく覆される一方、柏木義円という論客にも感激しました。二人とも クリスチャンながら、真反対の論調には驚きます。

『月刊 海外子女教育』5月号の特集は「アイデンティティをめぐる帰国生物語」「古典に親しむ」。後者は、国際バカロレア(IB)の「日本語科」が どういうものかを知る 格好の解説です。

日本は、一気に夏になってしまったような陽気です。毛穴が十分に開いていないと、熱中症の危険もあります。皆さま お身体を大切に。ごきげんよう。

小山和智( OYAMA, Kazutomo)
 
 http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/
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(過去のニュースは 下記をご覧ください。)
 http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/shijo-news.htm

<小山和智氏の略歴>
1952年生まれ。海外子女教育振興財団に13年半勤務したほか、ジャカルタ日本人学校 事務長、クアラルンプール日本人学校 国際交流ディレクター、啓明学園 国際教育センター所長、順心広尾学園 校長補佐、上海日本人学校学校 事業計画室長を歴任。現在、グローバル化社会の教育研究会事務局長。国際教育相談員。
著書に『インドネシア・マレイシア駐在員マニュアル』(旺史社)、『海外赴任のためのリロケーションガイド』(NNA他)のほか、ビデオ教材『中国人の交渉術と価値観』(ジオモンド社)など。
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