2017.06.07  “六”について考える
    小山の教育通信 [2017.6月-1]

小山和智  (グローバル化社会の教育研究会事務局長)
       

「六月無礼」(クールビズ) の季節です。今年も暑そうですね。

中国では、“六”は “陸”のイメージと重ねて、十分・正常・安定の数 と考えられてきました。「六法」「六国」「六朝」「六歌仙」など無数の用語があります。「六義」は 『詩経』にある漢詩の分類法で、紀貫之は これを借用して和歌の六種の風体を整理しました。「兼六」は、洛陽の「湖園」が「宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望の 六つを兼ね備える」と 謳われた縁起です。いずれも 日本を代表する庭園の名前になっています。

欧州・中東で“6”は、「“7”が象徴する完全さに達しない」のイメージです。「666」と重なれば 聖書の「number of the beast (獣の数字)」になり、「evil omen (凶兆=縁起悪い)」と忌み嫌われます。
なお、「ろくな~ない (nothing good comes of ~)」を「六な…」と書くことはできません (「陸な…」または「碌な…」にするか、ひらがなで書きます)。また「deep six」は “水葬, 廃棄, 拒否”の意味になります。

さて、もう半世紀以上前のことですが、棚橋絢子先生(東京女子学園 初代校長) の言葉に「ただ書を読み知識を得るだけでは学問とはいえない。学んだ知識を 実際に社会で応用し、物事の道理を悟って はじめて学問と言えるのである。各自がしっかりと自立し 各自の務めを果たすこと、これが社会に貢献することにもなる」があります。教育学者B・S・ブルームの『教育目標の分類体系 (TAXONOMY of Educational Objectives)』(米1956年。分析・分解の一方で 統合・編集の作業を行い、教育全体の構造を把握して 実践に役立てようとする試論) の影響が 色濃く現われています。

帰国生の受け入れと指導に真面目に取り組む学校を除いて、『教育目標の分類体系』は長い間、無視・放置されてきました。しかし最近は、多くの学校が、グローバル化の荒波の中で「自分の頭で考え、自分の意見を持ち、それを人に伝え共有できる力」の意識的な育成の意義を見直す“ツール”とし始めているようです。
「グローバル人材」という用語を、どう捉えるかは様々な意見があるでしょうが、要は「どんな背景や価値観を持つ人間ともチームを組んで働き、より好い結果を出せること」が基本でしょう。あらゆる職場において そのことが要求される時代ですし、多分 AI(人工知能) との付き合い方の真髄も、そこら辺りにあるのだろうと思います。

6月30日(金)の第60回グローバル化社会の教育研究会(EGS)では、この「21世紀型教育の実践」を正面から取り上げます。会場は いつもの聖学院中学・高校(東京都北区) ですので、同校の先生方から“最先端授業”の話題提供をしていただきます。また今回は、高校3年数学の授業も特別に見学させていただけるそうです。「生徒一人ひとりが深く考え、仲間と協働して問題を発見し解決していく」条件を整える際のコツや留意事項についても、話し合いたいと思います。

それでは、例によって他のニュースも。
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嘉悦大学の特別講演会

日 時  6月10日(土) 午後2時~3時半
場 所  嘉悦大学カエツホール (東京都小平市花小金井南町2-8-4)
テーマ  『日本語は世界の人々をつなげる』
      講師:鈴木 孝夫 (慶應大学名誉教授)
※ イリノイ大学、イエール大学、ケンブリッジ大学など 各国の客員教授/研究員の経験のある鈴木先生に、言語生態学的文明論を伺います。
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異文化間教育学会 第38回大会

日 時  6月17日(土)・18日(日) 午前9時~午後5時
場 所  東北大学 川内キャンパス (仙台市青葉区川内27-1)
内 容  [特別課題研究]『異文化間能力を生かす--- 実践に向けて』
     [公開シンポ] 『国際共修:留学生と国内学生の学びあいをデザインする』
※ 異質な文化の接触によって生ずる様々な教育の問題を 学問対象として取り上げ、その研究を推進しています。
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東京六大学野球 春季リーグ戦は、立教大学が15戦を闘い9勝(勝点4)を得て 見事優勝! 18年振り13回目です。卒業生は 待ってました……(感涙)。
また、佐藤琢磨さんも「インディ500」で見事優勝されました。世界最速サーキットを平均時速250kmで完走し、牛乳を浴びる姿は格好いい! あの牛乳は、一口は飲まないと 賞金が減るんだそうですね。

南スーダンに派遣されていた自衛隊PKO部隊が、無事に帰還してきました。規律の取れた優れた集団として 各国の部隊から 高く評価されたことも嬉しいです。しかし、朝のラジオ体操の時間まで潰して、北朝鮮の脅威を煽る政府のやり方は、ナチス・ドイツに似ていて 不愉快です。

夏休みを利用した海外研修や留学のオリエンテーションが行われる時期ですね。海外の高等教育では 今、“チームの総力を最大化する実践力”が重視されていることを理解させておかないと、現地で「何故、こんなことを?」と 面食らったり悩んだりすることが多くなります。
また、医療制度の違いについて正確に理解させておくことも、サバイバル面で大事です。引率者がいない海外研修や留学生を送り出す学校側の指導責任は、とても重いといえます。

それでは皆様、ごきげんよう。

小山 和智 ( OYAMA, Kazutomo)
 http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/
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(過去のニュースは 下記をご覧ください。)
 http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/shijo-news.htm

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