2017.12.07 「核兵器禁止条約」の早期締結を求める
韓国通信NO541

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

今年7月、わが国は国連で採択された「核兵器禁止条約」を署名しなかった。つまり反対した。「唯一の被爆国」と自称して核廃絶を求めてきた日本政府の反対に国内外から驚きの声が上がった。アメリカの核兵器の傘にあるので現実的でないという。核兵器によって平和が脅かされている世界を変えようとするどこが非現実的なのか。まさに詭弁である。政府の釈明に私の語学力はついていけない。北朝鮮の核保有に危機感を募らせ「禁止条約」に反対する理由もわからない。わが国の看板は「核兵器廃絶」だが、本音は核兵器を必要と言っているのに等しい。
我孫子市が「核兵器禁止条約」の早期締結の署名活動をしている。我孫子市の独自の活動ではないことを知った。「平和首長会議」に参加している全国の自治体1741(わが国の自治体約96%)が共同歩調で展開している。皆さんが住む自治体でも同じ取り組みをしている。知ってましたか?
平和首長会議は1982年国連軍縮会議特別総会で広島市長が提案し、世界162ヵ国、日本を含む7,514の都市が参加し、核廃絶はもとより貧困、人権、環境問題に取り組む世界的な団体だ。
政府の「テイタラク」に失望していたところに、この署名活動である。署名用紙の冒頭に趣旨が書かれていた。短いので以下に全文紹介する。

2017年7月、被爆者を始めとした多くの人々の核兵器廃絶への強い願いが実を結び、「核兵器禁止条約」が国連で採択されました。核兵器のない世界を実現させるためには、核保有国とその傘の下にある国々がこの条約を締結することが不可欠です。この署名を通して、皆さんの平和を希求する声を世界に広げ、全ての国が条約を締結するよう促しましょう。
※この署名は、平和首長会議がとりまとめて国連へ提出します。〔提出先〕我孫子市企画財政部企画課 と付記されていた。

<政府に反旗を翻した自治体>
平和首長会議の署名は政府と真逆の主張で、核兵器の「保有国とその傘の下にある国々」へ早期締結を求めている。地方自治とはこういうものだったのか! すっかり愉快な気分で市の図書館にあった署名用紙を教室に持ち込んだ(外国人のための日本語教室。私はそこで毎週土曜ボランティアをしている)。核兵器禁止に反対する人がいるはずはなく、またたくまに署名用紙は署名でいっぱいになった。こんな楽な署名活動は久しぶり。日本語を勉強に来ている外国人に「核兵器禁止条約」を説明するのに少し手間取ったが、理解すると署名は簡単だった。国籍、年齢を問わない地球規模の署名というのも素晴らしい。翌日、3日は駅前で仲間と「スタンディングデモ」。私はサンタクロース姿で一時間。その後にでかけたスポーツジムでも署名用紙を見せたらまたたく間に署名が集まった。エアロビクス仲間の高校生も署名に加わった。世界から核兵器がなくなることを望まない人がどこにいるのだろうか。政府の「言い逃れ」署名拒否は笑いものになっている。

<これも金正恩のおかげ?>
安倍内閣は北朝鮮の核兵器とミサイルで恐怖を煽り、選挙で「勝った」と云っても過言ではない。不評の内閣だが北朝鮮のおかげで支持をつないでいることを、「金正恩サマのおかげ」と皮肉ったことがある。
今回の署名運動、北朝鮮の核に対する恐怖のおかげで、「核兵器禁止」条約」の世論が一挙に拡がり高まったことになる。これも「金正恩サマ」のおかげ。
署名用紙は各自治体のホームページから簡単に引き出せる。
ただ、この署名について疑問を感じた点がひとつある。どうして条約を拒否した国の市民が国連に署名を提出するのか。署名を受け取った国連から、「まず自国の政府に働きかけたら」と言われそうな気がする。そうかもしれない。しかし核廃絶を訴え続けてきた日本が土壇場になって反対した理由に比べたら、一市民として国連の採択を世界的規模で「あらゆる国」に広げようとする署名は筋が通っている。世界中の世論が核保有国と日本を含めた保有国に依存する国々を包囲することになる。そう確信して早速図書館備え付けの回収箱に10名分の署名を投函した。

アメリカに核廃絶を求め、北朝鮮にも核の放棄を求めるなら戦争は回避できる。「最終兵器」で威嚇せず外交交渉をすべきだ。複雑なようで単純な理屈がなかなか理解されないのでもどかしい。北朝鮮を「テロ支援国家」に再び指定して対決姿勢を見せるトランプ大統領とそれに追随する安倍首相からは解決の糸口は見えない。
11月29日、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射によってアメリカ本土までミサイルが到達可能となった。新たな展開にアメリカは大きな衝撃を受けた。韓国も深刻に受け止めているが、世論は「戦争絶対反対」、政府は必死に外交努力を続けている。わが国の外交努力は見えない。
先月13日の話題なので旧聞に属するが、世界フィギュアスケートの第一人者だった(2010冬季オリンピック金メダリスト)キム・ヨナが国連総会で、「平昌五輪は平和と人類愛という五輪の精神を全世界の人々と共有する場になるだろう」、「北の選手にぜひオリンピック競技に参加して欲しい」と全世界と北朝鮮に向けて平和のメッセージを送った。当日の総会ではオリンピック期間中とその前後に総会加盟国の「敵対行為の自制、停戦」を採択した。
「北に近い平昌は危険ではないのか」と心配する友人に「日本よりは安全かも」と私は答えた。先月、東海第二原発が40年ルールを無視して20年の使用延長の申請をした。地元と30km圏内の住民に焦点が集まっているが、東海村から東京まではわずか100kmの距離だ。福島の後始末もてきないで原発を再稼働させるとは狂気の沙汰だ。老朽原発だけに事故が起きる可能性は高い。東京オリンピックどころではない。

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