2018.04.16 安倍首相はトランプ大統領の足を引っ張るな
世界平和七人委が日米首脳会談を前に訴え

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 世界平和アピール七人委員会は4月15日、「米朝会談の成功を願い、日本の貢献を期待する」と題するアピールを発表した。
 世界平和アピール七人委は、1955年、世界連邦建設同盟理事長で平凡社社長だった下中弥三郎の提唱により、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならないを原則に、世界平和実現、核兵器禁止、日本国憲法の擁護を目指して内外に向けアピールを発表してきた。今回のアピールは129回目。
 現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学者、元国連大学副学長)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者、慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙論・宇宙物理学者、総合研究大学院大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家、東京音楽大学客員教授)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学、上智大学教授)の7氏。

 アピールは、6月初めに予定されているトランプ米大統領とキムジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の会談を前に、4月17日からトランプ大統領と安倍首相による日米首脳会談が行われるのを重視し、両首脳に対する七人委の要望を述べたものだ。
 その中で、七人委は、両首脳に「妨害を乗り越えて、朝鮮半島、そして全世界の核兵器の廃絶に向かってほしい」と訴え、安倍首相には、北朝鮮に対する圧力強化を主張し続けるのでなく、「安定した平和を求める国際世論に沿って行動すること」を求めている。
 アピールの全文は次の通り。

米朝会談の成功を願い、日本の貢献を期待する
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進


私たち世界平和アピール七人委員会は、ドナルド・トランプ米国大統領と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のキムジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の会談の合意と成功を願い、韓国のムンジェイン(文在寅)大統領の朝鮮半島の安定化への努力を多とする。
米国と北朝鮮の圧力の応酬の中で、私たちは東アジアの安定した平和を願ってきた。北朝鮮への圧力は、対話路線に導くための手段でなければならなかった。対話路線の兆しが見えた時、トランプ政権は非公開接触を続けてきたことを認め、対話を選んだ。しかるに安倍晋三首相は、その後も圧力強化を主張しつづけ、河野太郎外相は3月31日の講演で「(北朝鮮が)次の核実験の用意を一生懸命やっている」と発言し、核実験場での活動が激減し、3月5日以後止まっていると米国からいわれて、反論を示せずにいる。私たちは日本政府が安定した平和を求める国際世論に沿って行動することを求める。
私たちは朝鮮半島の非核化の実現を望んでいる。しかしこれは全世界、特に核兵器不拡散条約に加盟する米国を含む核兵器保有国の非可逆的かつ段階的な非核化への義務の履行と、日本の拡大抑止(核の傘)依存政策の放棄を伴うものでなければ期待することは難しく、安定した世界の実現につながらない。この意味で私たちはトランプ政権の「核態勢の見直し」に反対した。米国にも北朝鮮にも日本にもタカ派がいて妨害を行う可能性は否定できないが、妨害を乗り越えて、朝鮮半島、そして全世界の核兵器の廃絶に向かうのであれば、相互の敵視政策を転換し、友好関係を樹立することが可能になり、当面の核兵器の危険性も大きく減少させることができる。
日米首脳会談を前にして、安倍首相がトランプ大統領の足を引っ張ることなく背を押して、日本自身も積極的に直接、アジアと世界の平和と安定のために貢献することができれば、その他の懸案の解決への道も開けるものと考える。

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