2008.08.03 見たくない! 民主・公明連立なんて
暴論珍説メモ(40)
田畑光永 (ジャーナリスト)

 なんだか随分先走ったタイトルになってしまったが、今回の福田内閣の改造劇を見ていると、風はそこへ向かって吹きだしたように思えてならない。
 話の順序として、福田改造内閣の性格を見ておく必要がある。この内閣はなんだろう。見慣れた顔が並んでいて、サプライズどころか、新鮮味のはなはだ乏しい内閣といわざるを得ない。その理由はまず伊吹、二階、谷垣というこれまでの自民党三役がそろって財務、経済産業、国土交通と枢要ポストに入閣したこと、そして官房、外務、厚生労働、総務と目立つところが留任したことにある。中山、野田の女性閣僚で新味を出したつもりかもしれないが、最後の小泉内閣での某女史のごときドハデなドレスで人目を引くタイプではないから話題性にも乏しく、内閣の支持率アップにそれほど貢献できるとも思えない。
 ひいて注目点をあげれば、中川(秀直)元幹事長の「上げ潮路線」に対抗して、「財政再建派」(つまり「増税派」)の旗を掲げる与謝野前官房長官を経済財政担当大臣に据えて、中川氏を無役のままに置いたことと、政治家65歳定年説を唱え、自ら次回選挙には不出馬を宣言していた鈴木恒夫氏をあえて文部科学相に初入閣させたことであろうか。
 しかし、中川氏の「上げ潮路線」は、とにかく名目成長率を上げて、税収を増やせば、消費税を上げることは避けられるというのがミソだが、昨今の経済情勢はインフレこそ進みそうだが、成長率を上げることなど望むべくもないのだから、路線そのものが破綻している。
 また鈴木氏の入閣は、そのはったり性のない生真面目な性格でチャンスに恵まれなかった人だけに、悪い人事ではないが、いかにも地味である。それにこの人事は総裁選でのライバルだった麻生前幹事長をふたたび幹事長に引き出すについての取引(鈴木氏は麻生派所属)とも見えるから、純粋に鈴木氏の人柄をかったとばかりも言い切れまい。
 となると、麻生幹事長プラスこういう内閣を布陣した福田首相のねらいはなにか。はっきり言えば、次回総選挙での敗北に備えたのである。次の選挙では前回の小泉郵政選挙のような大勝は望むべくもないことは自明としても、よくいって自・公で過半数ぎりぎり、過半数割れも大いにありうる。現状ではこちらのほうが可能性は高そうで、自民党政権の存続危うしである。だからよく言えば総力体制、悪く言えば連帯責任体制である。町村、伊吹、二階、高村、谷垣、麻生、古賀(選対委員長)と派閥領袖(谷垣は準領袖)をグラウンドに立たせて、責任を持たせたのである。負けても俺だけの責任ではないよ、と。
 そこでタイトルにもどる。福田首相が敗戦に備えるのと同時に、連立与党の公明党も自民敗北に備え始めたと見える。というのも、臨時国会の召集と絡めて今度の改造の時期について公明党が異議を唱えた、その唱えぶりがこれまでと違うように見えたからである。
 公明党の異議というのは、福田首相が改造を早めたのは、早期に臨時国会を召集して、例のインド洋における海上自衛隊の給油活動のための恒久法を「参院否決・衆院再可決」で成立させるための時日(60日)を確保するためであるのに対して、公明党は給油のための恒久法をそこまでして成立させる必要はないとの立場を明らかにしてがんばったのである。
 これまでも公明党は自民党にいろいろ注文をつけることはあった。しかし、それは自民党の言いなりにはならないぞという態度を見せることが目的のパフォーマンスであった。ところが今回はちょっと違った。テロ対策としての給油法の重みについて、自民党とは違う判断を示したのである。一年前は自民党とそっくり同じ口調で給油の重要性を説いていたのに。
 この変化は公明党が自民敗北に備えて、自民離れの口実作りを始めたと見るのが自然ではないか。沈没する船からは真っ先にねずみが逃げ出すというではないか。沈まずに政権を持っているから自民党に価値があるので、それがあやしくなったら連立を続ける理由はない。
 公明党は選挙の票読みにはかねて定評がある。今の自民党は公明党候補のいない選挙区では公明票を自党候補に上積みしてもらっている。公明党にしてみれば負ける党に恩を売っても意味はない。その見極めをつけたのではないか。
 となると、次に起る事態は目に見えている。公明党は政権党に身を寄せることで生きてきたのだから、多数を取りそうな党のほうへ傾くのは必然である。公明党と民主党の小沢党首との関係はこれまでいろいろあった。普通なら今さら小沢・公明の連携は考えられないだろうが、権力に手が届くとなればいかなる対立も怨念も溶けてしまうのが政治の世界である。
 でも、である。自民党の長期政権になにはともあれ終止符を打つことは大いに結構だが、その後が小沢民主と公明党の連立政権ではなにかうそ寒いではないか。見たくない!
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『でも、である。自民党の長期政権になにはともあれ終止符を打つことは大いに結構だが、その後が小沢民主と公明党の連立政権ではなにかうそ寒いではないか。見たくない!』と,論断された田畑様のお説に,強くつよく共鳴いたします。されば,私たち国民(有権者)は,どのような手法・行動で田畑様が仰るような「国民生活を省みない」政治家に,異議を唱えまたは行動を為すべきか。ともあれ,この国の政治そして政治家の現実は,国民自身の在り方をも「炙られている」との思いを抱いた次第です。
清国太郎 (URL) 2008/08/04 Mon 00:04 [ Edit ]
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