2018.05.11  米大使館のエルサレム移転を強行
  抗議のパレスチナ人多数が犠牲(上)

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

米国のトランプ政権は、昨年12月21日の国連総会緊急特別会合での撤回を求める決議(賛成128、反対9、棄権35)を踏みにじり、5月14日に駐イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転する。この日は71年前の1947年にイスラエルが建国を宣言した日であり、イスラエルへのトランプの最大のプレゼントだ。
これに対して、パレスチナ自治政府側は、ガザ地区とヨルダン川西岸地区で、3月30日の「土地の日」から激しい抗議デモを開始、5月15日の「ナクバ」(アラビア語の大災厄)まで連日続けるという。特にガザではイスラエル軍がデモ隊を激しく攻撃、毎日、数百人の住民が死傷している。
「土地の日」は1976年3月30日に、イスラエルが73年の第3次戦争で占領したパレスチナの土地を大規模に接収したのに抗議し、イスラエルとの境界6か所でパレスチナ人が抗議デモ。参加したパレスチナ人6人をイ軍が射殺した日。以後、パレスチナ側は毎年、大規模な抗議デモを行ってきた。一方「ナクバ」は、イスラエル建国宣言の直後、アラブ側が攻撃開始、イスラエル側が応戦し、パレスチナ住民の大掛かりな追い出しを始めた記念日。この第1次中東戦争で故郷の村や町から追い出され、あるいは逃げたパレスチナ住民は48年時点で70-80万人と推定されている。難民となり、パレスチナ各地やヨルダンに居住したが、現在では大幅に増えている。今でも相当数が故郷に帰るのを希望しているが、イスラエルに包囲されているガザでは、イ軍が厳しく拒否。連日、大規模に行われているガザのデモでは、ガザ出身の難民の帰郷要求が掲げられている。
今年のガザのデモに対して、イスラエル軍の越境攻撃が例年よりはるかに激しく、多数の死傷者が出ている。ガザ行政当局と「国境なき医師団」が大きな役割を果たしているガザの病院によると、4月30日までの1か月間に、50人以上が死亡、7千人以上が負傷した。
カタールの国際TV局アルジャジーラの詳細な現地報道によると、国境なき医師団を率いるマリー・エリザベス・イングレス医師は、デモ隊の死傷者の多さは、デモの人数の多さとイスラエル軍の攻撃が単に激しいだけでなく、被害者の傷を深くし、治療を困難にする新型の銃弾と致死性の催涙ガスを多用しているためだと説明している。この銃弾は、残虐兵器として禁止されたダムダム弾のように、身体の中で爆発、殺傷力が大きいだけでなく、手術するのが困難だという。
ガザのデモが終わる予定の5月15日までに、どれほどの数の住民が死傷するか、予想もできない。(続く)
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