2018.05.23  ロシア軍はじめ内戦に参加したさまざまな勢力
  BBCがまとめた「シリア内戦7年間」(2)

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

内戦を戦った勢力
シリア政府の重要な支援者はロシアとイランであり、反政府勢力の主な支援者は米国、サウジアラビアとトルコだった。
以前からシリアに軍事基地をもっていたロシアは、2015年にアサド大統領を支援する空爆作戦を開始したが、それが内戦でシリア政府側を優勢に傾ける決定的な転換点となった。
ロシア軍部はこの空爆は“テロリスト”だけを目標にしたと言っているが、反政府側の活動家たちは、ロシア空軍がいつも反政府勢力の中心勢力と一般市民を殺したと言っている。
イランはアサド大統領を支援するため、数百人の軍隊を派遣し、何十億ドルも投入した。
イランによって武装され、訓練され、経費を供与された何千人ものシーア派民兵がシリア軍とともに戦った。その大部分はレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラだが、イラク、アフガニスタンそしてイエメンからの民兵もいた。
米国、英国、フランスそのほかの西側諸国は、“穏健派”とみなした反政府勢力に対して、様々な規模の支援をした。
国際的な同盟軍は2014年以来、シリアでIS(イスラム国)に対する空爆を実施、クルド人武装勢力とアラブ人武装勢力の同盟であるシリア民主軍(SDF)がISから支配地域を奪い返すのを支援した。
トルコは反アサド政権勢力を長年支持してきたが、SDFはトルコ国内で非合法化されているクルド人反政府勢力が伸長していると非難して、その抑制に力を注いだ。
イランの影響力拡大に神経をとがらせているサウジアラビアは、シリアの反政府勢力の武装と資金援助に熱心だった。
一方イスラエルは、シリアに派遣されているヒズボラに、イランからの武器が供与されることに神経をとがらせ、それを遮断するため空爆を行った。

国民への惨害
数十万人もの死とともに、この内戦は150万人もの国民に不治の障害を残した。うち8万6千人が手や足を失った。
2011年以来、シリア国民の半数以上、53%が生活していた場所から逃れ出た。
少なくとも610万人のシリア国民が国内難民となり、約560万人が国外に逃れ出た。その92%は現在、近隣のレバノン、ヨルダン、トルコに住み、最近では史上最大級の国外難民となって、苦しい生活と戦っている。
国連は、2018年現在、シリア国内で、1,310万人が何らかの人道支援を必要としていると推定している。なお交戦している諸勢力は、人々が必要としている人道支援を妨げ、問題を一層悪化させている。約300万人が、戦闘地域か人道援助機関の援助が届けられない場所にいる。(坂井注:政府軍に包囲されていた首都郊外の東グータ地区から、政府側との取り決めで先月、一部住民戦闘員と住民が退去したため、この人数は若干減ったと思われる)(続く)
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