2018.05.24  BBCのシリア内戦まとめ(3)
  この悲惨な戦いはいつ終わるのか

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

シリア国民はどこへ逃れたのか(UNHCR=国連難民高等弁務官事務所による、2018年2月現在)
▼近隣諸国でのシリア難民登録数
トルコ   3,540,648
レバノン    995,512
ヨルダン    657、628
イラク     247,379
エジプト    127,414
他の北アフリカ  30,104
▼10欧州諸国での難民申請数
ドイツ     525,262
スウエーデン  115,125
ハンガリー    77,256
オーストリア   51,231
オランダ     35,247
ギリシャ     26,048
ベルギー     21,285
デンマーク    20.898
ブルガリア    20、593
フランス     20,348

医療機関への攻撃(PHR=人権医師団による、2017年12月まで)
330医療機関に対して492回の攻撃。医師、看護師など医療担当者847人が死亡した。


歴史遺産の破壊
シリアの豊かな歴史遺産が破壊された。6か所あったユネスコ指定の世界歴史遺産のすべてがひどく破壊された。
首都に隣接する東グータ地区(注:東西約10キロ、南北約8キロ、人口39万3千人、4月に政府軍が占領)は、93%の建物がひどく破壊された。

分裂した国土
政府は国内の大都市の支配を取り戻した。しかし、国土の広い地域がなお反政府勢力とクルド人武装勢力SDF(シリア民主軍)の支配下にある。
最大の反政府勢力支配地域は北西部のイドリブ地域で、260万人以上が住んでいる。同地域は政府、反政府勢力によって停戦地区とする約束が交わされているが、政府軍は、アルカイダ系の聖戦主義組織を目標にしているとして攻撃を続けている。
一方、SDFはユーフラテス川の東側の地域の大部分を支配している。その中のラッカ市はイスラム国(IS)が宣言した「イスラム首長国」の事実上の「首都」となったが、いまやISが支配しているのは、小さな地域数か所に過ぎない。

内戦は終わるのか
シリア内戦を終わらせるためには、政治的な解決が必要だという点では誰もが一致するが、それが近いようには見えない。
国連安全保障理事会は、2012年のジュネーブ声明の実行を求めている。同声明は、「相互一致に基づき組織される」移行政権を想定している
しかし、2014年以降、ジュネーブ2と呼ばれる国連仲介の和平交渉は9回行われたが、ほとんど進展がなかった。
アサド大統領は、反政府勢力との交渉を、ますます望まないようになってきたようだ。
一方、西側諸国は、ロシアが別の和平プロセスを主導し、国連主導の和平プロセスを崩そうとしていると非難している。
このアスタナ・プロセスは、2018年1月、ロシアが主催した「民族対話議会」。しかし、ほとんどの反アサド政権勢力は、参加を拒否した。(了)
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