2018.06.09  「ホテル」がだめなら「野宿」せよ
          韓国通信NO559

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 紆余曲折をへて6月12日に米朝トップ会談が開かれることになった。(但し「ドタキャン」もあり得る) トランプ大統領が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)にこだわらず、話し合いを優先させた。会談の焦点は「終戦宣言」「北朝鮮の体制保証」「朝鮮半島の非核化」である。残念ながら「拉致問題」が中心テーマになる可能性は極めて低い。

 北朝鮮が宿泊代の支払いに苦慮しているという。気が抜けた話で、思わず笑ってしまった。真相は不明だが、ワシントンポスト紙が1日、北朝鮮が「金正恩国務委員長のホテルの宿泊費など代表団の経費を第三国が負担してほしいと要請している」と報じた。
確かに一泊6千ドル(約60万円)は高い。しかし大切な会談をするための宿泊代が払えないとは信じがたい。それほど困っているなら何とかしてあげたらと誰もが思う。
 第三国というならこの際、日本政府がホテル代を負担したらどうか。制裁一辺倒だった日本政府の180度の方針転換となるが、「乗り遅れた」日本がアジアの平和のために貢献できる絶好の機会になる。外交の大切さを熟知する安倍首相なら米朝会談への貢献に異論はないはずだ。無理な話だろうか? 内閣支持率の回復にもつながる。

 安上がりな解決策がある。会談会場近くの公園にテントを張って泊まるというのはどうだろう。経費はとびきり安い。人民のために無駄遣いをしない代表一行の姿に国民は感激するはず。世界に対しても米朝会談への北側の熱意が伝わるはずだ。一石三鳥である。
 私が金正恩だったら絶対にテントに泊まる。寝袋か毛布、水と焼酎とつまみ少々で十分だ。
 2002年、小泉首相(当時)一行が平壌を訪れ、北側の夕食接待を断わり、日本から持ち込んだ仕出し弁当を食べた。その真剣さが「平壌宣言」を生んだことを思いだした。
 トランプ大統領がどんな立派なホテルに泊まっても、「民主主義人民共和国」の国家代表はテントを恥じるべきではない。テントはアメリカを圧倒するはずだ。

「体制保証」を求める愚かさ
 朝鮮半島の平和と非核化の実現に期待したい。その可能性は十分ある。
 しかし「非核化」と「体制保証」が取引されることに疑問がある。アメリカは「体制」を保証する必要はない。内政干渉をしないことを約束するだけで十分だ。金日成、金正日、金正恩と三代にわたる特殊な権力継承と翼賛政治体制の保証は新たな内政干渉を生みはしないか。北朝鮮の体制の選択は国民が自主的にすべきもの。保証は「体制」の維持に踏み込むことになる。
 好ましくない政権を戦争、内乱、陰謀によって転覆させてきたアメリカによって北朝鮮の権力は「安堵」するが、国としては「従属国」になるに等しい。南北統一の懸念材料にもなる。
 米朝会談の成功は北朝鮮の脅威を利用してきた安倍内閣に痛打となる。「憲法改悪」、「戦争法」、辺野古の米軍基地、軍事増強など戦争準備の前提が崩れる。
 「核兵器禁止条約」を拒む理由も無くなる。朝鮮半島の非核化によって南北ともに「核兵器廃絶条約」への加入が見えてきた。私たちが「冷戦思考」と決別する日が迫っている。
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