2018.06.13   第2次大戦後70余年の敵対関係に終止符
          史上初の米朝首脳会談に成果
    
伊藤力司 (ジャーナリスト)

今春3月以来世界の耳目を集めてきた史上初の米朝首脳会談が6月12日に予定通りシンガポールで開かれ、トランプ米大統領と金正恩・北朝鮮国務委員長(労働党委員長)が会談後、合意文書に署名した。第2次大戦後70年余にわたって対決し、1950~53年には数百万の犠牲者を出した朝鮮戦争の当事者だったこの両国がついに敵対関係に終止符を打った。

会談後1時間余にわたる記者会見を開いて説明したトランプ大統領によると、合意文書は1.北朝鮮が完全な非核化に取り組む2.米側は北朝鮮の体制保証を確約する3.米朝間の国交正常化を進める4.北朝鮮は朝鮮戦争で戦死した米兵の遺骨を返還する-の4項目合意を明らかにしている。

この日の会談は現地時間午前9時(日本時間午前10時)から、双方の通訳を交えただけの両首脳会談が45分間。その後両首脳の側近や政府高官を交えた公式会談が約1時間、さらに双方のメンバーを拡大したワーキング・ランチ(昼食会)と3段階で話し合いが続けられた。どの会談も開会前には報道陣のカメラが許可され、いずれもリラックスした雰囲気を映し出していた。

この合意文書には今回首脳会談の概要が書かれているだけで、一番問題になる北朝鮮の核・ミサイルの廃棄や検証をどうするかについては何も書かれていない。書かれているのは金正恩委員長が、本年4月27日付のパンムンジョム(板門店)宣言―朝鮮半島の非核化を宣言した金正恩・文在寅(韓国大統領)両首脳の発言―を再確認し、朝鮮半島の完全非核化に向けて取り組むとした誓約だけである。

ということは、北朝鮮の核やミサイルの廃棄は一片の文書に書き込めば済むというものではない。南北間で時間をかけてひとつひとつ検証して潰していかなければならないということだろう。それには米国は北朝鮮の専門家だけでなく、国際原子力機関(IAEA)の専門家など、幅広い科学技術者の共同作業が必要になる。

トランプ大統領は1時間余り記者会見を続け、記者団からの様々な質問に答えた。金正恩氏をいずれホワイハウスに招待するとか、自分もいつの日か北朝鮮の首都ピョンヤンを訪れたいとか、ごきげんのあまり言いたい放題。
Comment
管理人にだけ表示を許可する
 
TrackBack