2018.10.30  大変革進行中の中国みたまま(1)
     ―スマホ利用の爆発的広がり―

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 中国を9日間、中国通の友人と旅行し、変わりつつある現代中国を見、中国の友人たちと語り合ってきた。昨年の武漢、湖南省旅行に次ぐ中国旅行で、中国社会がスマホをはじめITの利用の飛躍的な拡大で大きく変化しつつあることを、改めて衝撃的に感じた。
 今回行ったのは、上海、北京、東北部の長春、瀋陽の4都市。上海―北京、長春-瀋陽は高速鉄道、北京―長春は空路で移動した。各地で同行友人の仕事・研究上の親しい中国人たち、日本に留学し同行友人が何かと支援してきた学生たち、そして私のゼミ,大学院にいた中国東部の朝鮮族自治州出身の女性に案内をしてもらい、話し合うことができた。
 最近は日本の空港でも実施されるようになったが、空港の入国審査で、顔写真を撮られパスポートの個人データが、国内の空港、鉄道、銀行などで利用されるようになった。空港でも街の至る所にある銀行の無人窓口で口座を作れば、外国人でもスマホで金額にかかわらず、大口でも少額でも支払いができる。預金の範囲内ならば、街頭の小さな店でも使える。使えないのは露天商ぐらいではないか。数時間後には、スマホに使用金額と口座残高のデータが送られてくる。もちろん現金でも支払いはできるが、スマホ支払いの方がだいぶ多いと見受けた。
 中国総人口は14億人を超えている。40歳以下のネット・SNSユーザーだけで、5億人を超えているというが、買い物の支払い程度のスマホ利用者は、もっと多いのではないか。どんどん路線が延長されている空路も鉄道もほとんど予約はスマホで簡単にすませ、予約番号と身分証やパスポートを窓口に出せば買える。空路も鉄道も満員になる路線が多いから、いきなり窓口で買おうとしても買えないことが多々あるという。
 外国人旅行者にとって一番困るのは、とくに大都市では、流しのタクシーがいないことだ。スマホでタクシーを呼べば、所属会社にかかわらず、近くの空車が応答し、近い車を選ベばやってくる。スマホ上の地図を見ながら、あと何分で来るかが分かる。
 このように一般庶民までスマホを利用でき、さらに利用者が増え続けるのは、スマホ本体と通信料金が極めて安いからだ。
 スマホの本体は1万2千円ぐらいから買え、通信料金も日本の3分1以下のようだ。同行した友人も、新しい中国製スマホを1万2千円ほどで買い、月額最低料金は千円ぐらいで電話と中国版LINEのWechatを使いまくっていた。大手3社はじめ日本の通信会社はスマホ本体と電波使用料は高すぎ暴利すぎるとおもう。
 わたしは、周恩来首相、毛沢東主席の死後、改革開放が始まった1978年に軍事問題研究者のグループで訪中して以来、たびたび中国を訪問する機会に恵まれた。昨年秋8年ぶりに訪中し、中部の武漢と湖南省を旅行した。その印象を本ブログにも報告、その中で中国社会の大きな変化の兆候について書いた。今回はその変化が確実に進んでいることを上海と北京、そして日本が支配した旧満州(中国は偽満州帝国と呼ぶ)の長春(旧瀋陽)、瀋陽(旧奉天)で再確認した。
 昨秋も今回も、歩き回ったどこでも感じたことは、まちがきれいになったことだ、かつてのように、ごみが街頭に散らばっていることはなかった。ゴミ一つない、などというと、そんなはずはない、どこを見ているのか、と反中派は信じないだろうが、事実、道路にゴミがなく、樹木が手入れされ、花が多く、政府や共産党の宣伝文句を書いた紙が減り、スローガンは決められた掲示板などの場所に整理され、街歩きの気分の邪魔にならない。北京、上海に行く機会があれば、ぜひ街を歩き回ってほしい。この変化は何を意味するのだろう。(続く)

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