2018.11.21 グーグル、中国へ再進出か?
    「ドラゴン・フライ」構想に米国内で批判広がる

隅井孝雄 (ジャーナリスト)
 
▼中国のネット規制に沿ったシステムを構築
 グーグルが中国への再進出を計っていることが明らかになり、ネット規制との関連で問題となっている。
 グーグルは2010年、中国で検閲は避けられないと判断して撤退した。ところが今回、改めて中国政府の検閲システムに沿ったシステムを構築して、再参入する計画が明らかになった。ワシントンポストの報道によると、「ドラゴン・フライ」と呼ばれるシステムを構築して中国進出を計画中であることをCEOのサンダー・ピチャイが公式に認めたという(10/16)。
 中国国内での検索エンジンは、いずれも厳しい検閲のもとにある。言論の自由に制約が生じるがそれを承知の上で、中国政府の用語、内容規制を組み込んだシステムを運用するグーグルの方針に、アメリカ国内では批判の声があり、グーグル社内でも批判の動きが広がっている。
 中国でインターネットの検閲では、「天安門」という3文字が知られているが、2010年人権活動家の劉暁波氏がノーベル賞を受賞して以降は、「人権」、「ノーベル賞」も表記できなくなった。もちろんGoogle, Facebook, Twitter, YouTubeなどの西側の代表的な検索、情報サイトの多くに検閲のため中国内では運用されていない。
 国際メディアではBBCウエブサイトが丸ごとブロックの対象となっている。CNN,NBC,ワシントンポストなどのウエブサイトは、規制言語以外はアクセスすることができる。

▼検索履歴に電話番号紐づけか?
 グーグルが中国から撤退したのは2010年。人権活動家のGmailのアカウントにハッカー攻撃が仕掛けられたからだ。しかしそれから10年、中国のネットユーザーの数は8 億7千万人を越えたことから、グーグルCEOのサンダー・ピチャイは、何とか再参入を果たしたいと、ひそかに「ドラゴン・フライ」計画を練ってきたものとみられる。
 「ドラゴン・フライ」ではユーザーの検索履歴のうちから、中国政府が不適切と思われるものを自動削除するとともに、検索履歴を使用した端末の電話番号と紐づける機能が搭載されており、政府による利用者監視が容易になるとIT専門ライターのジャネット・バーンズ氏は指摘している(9/17 Forbes)。

▼グーグル社員1,400人、計画中止要望、14国際諸団体も要望書
 しかし中国に適合した検閲機能付きの検索エンジンは、アメリカ国内はもとより国際的にも強い反発を招いている。グーグル社内ではおよそ1400人の社員が、計画を中止するよう、要望書をピチャイCEOあてに提出したといわれる(ワシントンポスト10/16)。さらに、「アムネスティー・インターナショナル」、「国境なき記者団」、「ヒューマンライツ・ウオッチ」、「ジャーナリスト保護委員会(PJC)」、「電子フロンティア財団」、「民主主義とテクノロジーセンター」など14国際組織が連合して「ドラゴン・フライ」プロジェクトの中止を申し入れた。
 また、アメリカ政府も関心を寄せており、ペンス副大統領も「ドラゴン・フライの計画は中止すべきだ」と語った(10/15 朝日新聞)
 ピチャイCEOは、中国のネットユーザーが検索力を拡大するとともに、ネット上で詐欺まがいの被害から遠ざけることに役立つ方策を検討中だと説明、また、中国再進出はまだ確定したわけではないと釈明している。
グーグル中国進出写真
写真説明:上海で開かれたDegital Entertainment Expo に出展したグーグルの表示。ワシントンポストの紹介記事の見出しは「グーグルは中国進出という大きな間違いを冒す寸前にある」

 
 
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